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デビュー以来24連勝を飾ったアジア系アメリカン、IBFスーパーライト級9位

林壮一ノンフィクションライター
(C)Esther Lin/SHOWTIME

 新進気鋭のアジア系アメリカン、IBFスーパーライト級9位のブランドン・リーがKO勝ちを飾り、戦績を24戦全勝22KOとした。

(C)Esther Lin/SHOWTIME  140パウンドで計量をパスしたリー
(C)Esther Lin/SHOWTIME 140パウンドで計量をパスしたリー

 試合前からKO宣言していた22歳のリーだが、10回戦に上がり、心身共に充実しているところをアピール。対戦相手のホアン・ヘラルデスは、契約ウエイトだった142パウンドの体を作れず、前日計量で2パウンドオーバーだった。その時点で勝負はついていたようだ。

(C)Esther Lin/SHOWTIME
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 24戦目にして10回戦を経験したリーだが、5ラウンド開始のゴングを聞くのも初めてだった。

 第7ラウンド、パワーで上回るリーは、調整に失敗したヘラルデスを右ストレートで沈め、試合を決めた。公式タイムは同ラウンド2分11秒。

(C)Esther Lin/SHOWTIME
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 試合後、リーは言った。

 「試合の映像を見直さねばなりませんが、今夜の自分のパフォーマンスはトレーナーでもある父にとって、満足いくものではなかったようです。父は完璧主義者なので、もっと早いラウンドでのKOを望んでいました。でも僕としては、自分がアウトボクシングを出来ることも見せたかった。

 ホアンの動きを観察し、彼の右と僕の右のどちらが早く当たるかを計っていました。こちらはジャブを多用し、アウトボクシングしながら『右は使わないんだな』と思わせ、そのうえでKOのタイミングを窺っていました。自分は誰とでも戦いますよ」

(C)Esther Lin/SHOWTIME
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 試合前の記者会見で、リーは次のように語っていた。

 「一瞬一瞬、自分の能力の全てを出し尽くすのが自分の戦い方です。ヘラルデスはスピードがあって、足の運びも巧みないい選手です。現時点ではベストな相手だと思います。将来について何かを語る気は無いのですが、間違いなく24勝目を挙げる日になるでしょう」

 リーはカリフォルニア州立大学サンベルナディーノ校で刑事司法を専攻し、文武両道を己に課しているファイターでもある。

(C)Esther Lin/SHOWTIME   144パウンドだったヘラルデス
(C)Esther Lin/SHOWTIME 144パウンドだったヘラルデス

 試合開始時点でIBFスーパーライト級9位にランクされていたリーには、更に大きな舞台が用意されそうだ。2022年中に世界タイトル挑戦が実現するだろうか。面白い存在だ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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