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197センチのサウスポーがWBCスーパーウエルター級タイトル挑戦者決定戦に勝利

林壮一ノンフィクションライター
(C)Esther Lin / SHOWTIME

 身長197センチ、リーチ203センチのスーパーウエルター級サウスポー、WBC4位のセバスティアン・フンドラが、同2位のスペイン人、セルヒオ・ガルシアを3-0(118-110、117-111、115-113)の判定で下した。WBC同級挑戦者決定戦として認められた一戦なので、2022年中に、この長身選手のタイトル挑戦が具体化する可能性はある。

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 この日がアメリカ合衆国でのデビューとなったガルシアも、182センチであるからスーパーウエルター級の選手としては背が高い方だろう。33戦全勝14KOと、戦績も申し分の無いものだった。

 しかし、試合は序盤からフンドラの距離で進んだ。長いリーチを生かしたジャブがビシビシとガルシアを捉える。WBC2位が接近戦を挑もうとステップインするところに、フンドラは左ストレート、左アッパーを見舞ってペースを握る。

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 とはいえ、2~4ラウンドのガルシアは、そのレコードが伊達ではないことを示した。フンドラのパンチを浴びながらもひたすら前に出て、自身のパンチを打ち込んでいく。4回には鋭いオーバーハンドライトをヒットし、5回にはフンドラの鼻から血が流れた。

 しかし、フンドラの懐に飛び込むのが精一杯なのか、ガルシアは攻めながらも消耗していく。

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 長身のサウスポーも決して見栄えのいいボクシングではないのだが、ポイントアウトに成功した。

 戦績を18戦全勝12KOとしたフンドラは、試合後に語った。

 「これまでとは違う、成長した自分を見せたかった。自分の距離を保ったことが勝因だ。身長とこの戦いは別物だよ」

(C)Esther Lin / SHOWTIME
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 勝者は、次戦がタイトル挑戦となることを切望している。

 「WBC2位に勝ったんだから、指名挑戦権を得られる筈。準備万全だから、チャンピオンは俺にチャンスを与えてほしい」

 現在WBC同級王座に就くジャーメル・チャーロは、彼との試合にサインするだろうか。話題となるファイトとなるには、フンドラではまだ役不足であろう。両者には、大きな差があるように見受けられるが……。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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