元WBCスーパーミドル級王者が故郷のリングで7回TKO勝ち
24戦全勝21KOながら、体重オーバーでWBCスーパーミドル級タイトルを失った過去を持つデビッド・ベナビデスが6年ぶりに故郷、アリゾナ州フィニックスのリングに登場した。
本来、ベナビデスは元IBF王者のホセ・ウスカテギと対戦する予定だったが、ウスカテギのステロイド使用が判明し、16勝(6KO)2敗1分けのケイロン・デイビスが代役に抜擢された。
地元出身のスターを負けさせるわけにはいかない、というプロモーターの心理も分かるが、ベナビデスとデイビスは、とても同じ階級の選手には見えなかった。
計量こそベナビデスが169パウンド、デイビスが167.45パウンドでパスしたが、元世界チャンプは身長、リーチ共に6センチのアドバンテージがあり、両者がリングに上がるとその差はもっと大きく感じられた。
デイビスも気力で喰らい付くが、終始ベナビデスの距離でのファイトが展開された。
元WBC王者は258の強打を放ち、137発をヒットした。4ラウンド終了以降、デイビスのセコンド陣はダメージを気遣っていたが、7回にタオルを投げ、試合を終了させた。
試合後、勝者は言った。
「タフな試合になったが、終わりまでコンディション良く戦えた。デイビスがグロッキーなことは感じていた。俺にワンパンチでKOする力は無いが、全てのラウンドでポイントを取っていたと思う。そういう練習をしていたんだ。
素晴らしい勝利だった。デイビスと彼のスタッフの勇気、戦う姿勢を心から称える。実にハートのある男だよ。だからこそ、ファンが喜ぶ試合になったよね」
無傷の25連勝(22KO)となり、WBC指名挑戦権を持つベナビデスは、当然のことながらサウル・”カネロ”・アルバレス戦が話題となる。
「誰もが俺とカネロのファイトを見たいだろうよ。カネロが俺をどう評価していても、気にならない。でも、指名挑戦者であることは事実だ。俺との試合を実現させるべきだね。ま、ジャーモール・チャーロでも誰でもチャンスがあるなら俺は戦うよ」
ベナビデスにとっては会心の勝利であったようだが、彼がカネロの牙城を崩すのは難しそうだ。それよりも、咬ませ犬としてリングに上がったデイビスの姿が痛々しく、何ともやり切れない気持ちにさせられた。