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デビュー以来28戦全勝26KOのハードパンチャーが1回KO勝ち

林壮一ノンフィクションライター
Photo: Esther Lin/SHOWTIME

 デビュー以来27戦全勝25KOを飾って、IBF3位、WBA4位、WBO5位、WBC6位にランクされるウエルター級の注目選手、ジャロン・"ブーツ"・エニス(24)がラスベガスのリングに登場した。

 2021年4月10日以来のファイトだった。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20210413-00232143

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
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 対戦相手のトーマス・ドゥロルメ(31)も、前回のエニスと同じ4月10日の興行に出場しており、半年強ぶりのリングだった。ただ、ドゥロルメは前回のファイトで敗れており、世界戦線からは後退していた。 

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20210415-00232152

 試合前のドゥロルメの戦績は、25勝(16KO)5敗1分け。

 ドゥロルメはイスマエル・サラスのコーチを受け、再浮上の機会を窺っていたが、試合は呆気なく、そしてアッという間に終了した。

Photo: Esther Lin/SHOWTIME
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 エニスは試合開始のゴングから、ノックアウトを狙って思い切りよくフルスイングしていく。ジャブに威力があり、飛び込んでの左フックにも力が籠っていた。

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
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 ファーストラウンド59秒、接近戦でエニスの右を浴びたドゥロルメが前のめりにダウン。ドゥロルメはカウント8で立ち上がるが、足がふらついていた。

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 このチャンスにエニスは一気に畳み掛ける。クロスレンジで左右のボディブローを見舞い、ドゥロルメの顔面ががら空きとなったところで、サウスポースタンスからの左ストレートをクリーンヒット。

 ドゥロルメは腰からキャンバスに沈んだ。

 2度目のダウンからも起き上がろうとしたドゥロルメだが、ダメージは深刻で、そのまま試合終了が告げられる。

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 会心の勝利を飾った後、勝者は言った。

 「すぐに終わったな。まぁ、自分にとってはOKだ。時間を掛けるまでもなかったよ。特に焦りもなく、ジムで練習しているように自分のペースで戦えた。いいノックアウトだっただろう? 自分の技術と能力を見せたかった。この機会を与えてくれた人々に感謝する。次はビッグネームと戦いたいね。

 2年前から世界タイトル挑戦に向けて準備してきた。エロール・スペンス・ジュニア、ヨルデニス・ウガス、ショーン・ポーター、テレンス・クロフォード、キース・サーマンら、トップ選手との対戦を希望する。俺は今、IBF3位だから、同タイトルを持つエロール・スペンス・ジュニアに次戦で挑みたい」

写真:ロイター/アフロ

 敗者の参謀、イスマエル・サラスは「最初のダウンはラビットパンチだ! 反則じゃないか!!」と抗議中だが、再戦にはならないだろう。

 サラスはWBAスーパー王者のヨルデニス・ウガスのトレーナーでもあるので、WBAタイトルマッチでエニスを迎え撃つのも面白い。

 エニスはこの勢いのまま、どこまで上れるだろうか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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