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11戦全勝10KOのフェザー級サウスポー

林壮一ノンフィクションライター
(C)Sean Michael Ham/PBC

 10戦全勝10KOのパーフェクトレコードでリングに上がったマリエク・モントゴメリーと、9勝(5KO)3敗2分けのアレーム・ジュマホノフとの10回戦は見応え十分だった。

(C)Sean Michael Ham/PBC
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 両者の戦績を比較し、モントゴメリーがデビュー以来継続中のKOで圧勝するかと思われたが、ジュマホノフの驚異的な粘り強さが光った。初回から、ショートレンジでの打ち合いが続く。

 スピードも的確さも手数もモントゴメリーが優っていたが、ジュマホノフも下がらずにひたすら喰らい付く。放ったパンチの数は下回るものの、必死で繰り出すコンビネーションが試合を白熱させた。

(C)Sean Michael Ham/PBC
(C)Sean Michael Ham/PBC

 ジュマホノフはモントゴメリーの懐に入り、ショートパンチの連打で流れを引き寄せようとする。耐えながら何度もチャレンジを繰り返す様が、アリーナを盛り上げた。

 とはいえ、ポイントで大きくリードされ、深いダメージも負っていたジュマホノフは、8ラウンド終了後のインターバルでドクターチェックを受ける。それでも、9ラウンドに渾身のオーバーハンドライトを叩き込み、モントゴメリーのお株を奪った。

(C)Sean Michael Ham/PBC
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 100-90、99-91、98-92とワンサイドの判定でモントゴメリーが勝者となったが、敗れたジュマホノフも男を見せた。実力差があるにせよ、モントゴメリーのKO記録を止めたファイターとして、この日会場にやって来たファンに記憶されるであろう。

(C)Sean Michael Ham/PBC
(C)Sean Michael Ham/PBC

 試合後、勝者は言った。

 「いい気分だよ。我々のチームは4試合前から10ラウンドフルに戦えるよう、準備してきた。ペース配分、距離の取り方などを考えてね。俺とコーチであるケニー・ポーターの相性は最高さ。最高のトレーニングキャンプを終え、今日を迎えることができた」

 白星を加えたモントゴメリーは、ジュマホノフから多くを学んだに違いない。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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