WBAウエルター級王者、ヨルデニス・ウガスが急遽、パッキャオと対戦
8月21日のマニー・パッキャオ(42)vs.エロール・スペンス・ジュニア(31)戦の前座でWBAウエルター級王者、ヨルデニス・ウガスが、アルゼンチンのファビアン・マイダナの挑戦を受けることとなっていた。
昨年9月に空位となっていた同タイトルの決定戦に勝利し、ベルトを巻いたウガスの戦績は24勝(12KO)4敗。この試合をモノにすれば、パッキャオvs.スペンス戦の勝者との統一戦が具体化しそうな気配であった。
ラスベガスでキャンプ中のウガスは言っていた。
「ファビアン・マイダナが非常にいい選手だということは、知っている。今日、ウエルター級で俺が最も対戦を避けられている男だってことは間違いない。だから、試合を受けてくれたマイダナに感謝している。多くのBIGネームが俺にはチャンスをくれないんだ。この試合では、ファンの期待に応えてみせるさ。
(トレーナーの)イスマエル・サラスとは親しい。俺にとって大切な人だ。相性も素晴らしく良く、家族のような関係だ。練習しているラスベガスのジムには、オリンピアンや将来を嘱望される選手が揃っている。次のレベルに行けるよう、内容のあるスパーを重ねている。
どんなチャレンジャーを相手にしても、俺がタイトルを防衛することは、皆が分かっているさ。でも、なかなかTOP選手は俺と戦いたがらないんだよ。タイトルを持っているのにな。俺は世界王者であることに誇りを持っているし、WBAにも心から敬意を払う。指名挑戦者とやりたいね。
今回勝てば、パッキャオvs.スペンス戦の勝者や、ショーン・ポーター(2019年3月9日に、ウガスがWBC同級タイトルに挑み判定負けを喫した相手)とのリマッチ、テレンス・クロフォード、キース・サーマンら、俺が望む相手との試合が実現するように思う。自分がベストだと証明するためにも、奴らとは戦いたいね」
と。
しかし今回、ウガスは思いがけない形でパッキャオとの対戦が実現する。現地時間9日、ネバダ州アスレチック・コミッションが行ったメディカルチェックで、エロール・スペンス・ジュニアの左目網膜裂孔が判明。スペンスは翌10日に本人の地元、テキサス州ダラスに戻り、11日に手術を受けることとなった。
スペンスは、声明を出した。
「8月21日にパッキャオと戦えなくなったことに、非常に失望しています。試合を楽しみにしていましたがドクターの診断により、自分の眼の状態が分かりました。できる限り早く手術し、治療しなければ僕はリングに上がれません。
すべての人に謝罪します。早く戦えるようにしたいですね」
今回の興行を手掛けるPremier Boxing Champions社とFox TVは、急遽スペンスの代わりとしてセミファイナルに出場予定だったウガスをパッキャオと戦わせることにした。
ウガスは語る。
「何階級をも制した偉大なるパッキャオと戦えることを光栄に思う。心の底から彼を尊敬している。サラストレーナーと立てた作戦を駆使し、最高の戦いを見せるよ。ファンに自分の実力を分かってもらいたいね。同時に、スペンスの早い回復を祈る。
誰もが知っているように、俺は世界王者になるという夢を持ってアメリカにやって来た。今こそキューバのベストファイターが、ボクシング史に名を刻む時だ。愛する祖国に自分の戦いを捧げる。自分が自由のために戦う姿を、キューバ国民に見てもらいたいね」
パッキャオにとっては、2年ぶりのリングである。21日は、どんなファイトとなるであろうか。