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元WBAウエルター級チャンプのラストマッチ

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Sean Michael Ham/PBC

 元WBAウエルター級王者のサウスポー、ルイス・コラーゾが、現地時間7日、「最後の試合」と公言してリングに上がった。

 39勝(20KO)8敗の40歳が最後の相手に選んだのは、リトアニアの期待を背負い、13戦全勝9KOと勢いに乗るエイマンタス・スタニオニス(26)。

Photo:Sean Michael Ham/Premier Boxing Champions
Photo:Sean Michael Ham/Premier Boxing Champions

 コラーゾがタイトルを獲得したのは16年以上も前のことである。ミゲール・アンヘル・ゴンザレスを下して1度防衛に成功するも、2006年5月13日にリッキー・ハットンに判定負けして王座から転落した。

 ゴンザレスは15年前、ハットンが9年前に引退していることからも、いかにコラーゾの息が長かったかがお分かり頂けるだろう。

 最終戦にEASYな相手ではなく、上り坂の若手とのファイトを希望したところに、元王者のプライドを感じた。

Photo:Sean Michael Ham/Premier Boxing Champions
Photo:Sean Michael Ham/Premier Boxing Champions

 しかし、若さを武器にしたスタニオニスにペースを握られる。手数もフットワークもスピードにも、差があった。

 第4ラウンドの途中、至近距離で打ち合っていた際、スタニオニスのヘッドバットがコラーゾの右頬を直撃。これによって、元チャンピオンは試合続行不可能となる。

 偶然のバッティングによるものと判断され、試合はノーコンテストとなった。

Photo:Sean Michael Ham/Premier Boxing Champions
Photo:Sean Michael Ham/Premier Boxing Champions

 試合後、スタニオニスは言った。

 「コラーゾは出てきましたね。迎え撃ち、自分の強さを見せようと思っていたのですが…。それほど大きな激突とも感じませんでしたが、彼にとっては深刻なダメージとなったようですね。

 こんな結果ですから、失望は大きいです。彼はタフで、僕は戦士ですから、決着をつけたかった。自分のコンディションは良かったので、可能な限り早くリングに上がりファンに素晴らしいファイトを見せたいです」

Photo:Sean Michael Ham/Premier Boxing Champions
Photo:Sean Michael Ham/Premier Boxing Champions

 コラーゾも語った。

 「私の陣営は、スタニオニスをテストするつもりだった。私と彼が同時に動いたことがクラッシュの原因だね。こんなことは頻繁に起こるさ。ボクシングを愛しているし、今でも情熱を持っているけれど、流石にフラストレーションを覚えるよ。

 まぁ、人生の次章が始まるけれどね」

 ルイス・コラーゾはサバサバしていた。ボクシングをやり切ったのだろう。40歳での新たな挑戦に声援をおくりたい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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