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我慢比べの10回ラウンドを制した13戦全勝11KOのミドル級

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 ウルグアイの首都、モンテビデオ出身のアミルカー・ヴィダル・ジュニアは、祖国やアルゼンチンで白星を重ね、9戦全勝8KOでアメリカ進出を果たした。2019年11月15日のことである。

 米国初見参で初回KO勝ちを飾り、2戦目も無敗の相手を2回で沈める。そして、このほど18勝(11KO)2敗2分けのイマニュエル・アレームと対戦した。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 ニューヨークで生まれ、5歳にしてヴァージニア州リッチモンドに移り住んだアレームは、12歳からボクシングを始めてアマチュアで69勝17敗。デビューから16連勝を飾り、1引き分けを経験した後、14戦全勝13KOの期待の星を6ラウンドKOで下して株を上げる。

 が、2017年8月以降は4戦して1勝2敗1分けと、低迷していた。新進気鋭のウルグアイ人ファイターを喰って、再浮上のきっかけを掴みたいアレームは、気迫を漲らせていた。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 両者は初回から後退せずに打ち合う。ヴィダルもアレームもハートの強さを見せた。ラウンドが進むに連れ、ウルグアイ人ファイターのボディブローが光り、有効打も優っていく。パンチ力もヴィダルに一日の長があった。

 結局、97-93が2名、1名が95-95の採点でヴィダルが勝者となった。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 試合後、ヴィダルは語った。

 「本物の相手と素晴らしいファイトがやれたと思う。何ラウンドかはポイントを失ったが、明確に勝利しただろう。今の俺は日々、階段を上がっているところさ。次の試合に向けても準備はOK。俺のことを覚えてほしい」

 一方のアレームも言った。

 「会心の試合ではないけれど、ヴィダルが7ラウンドも取っていたなんて納得できないね。試合の後半は自分が接近戦を制したと感じたが…」

 見応え十分の一戦だっただけに、両選手がこのファイトを次への糧とすることを祈る。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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