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悪しきジンクスをPlayOff初戦で破った大ベテラン

林壮一ノンフィクションライター
シュートフォームの美しさは誰からも評価される(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現地時間22日、ついにNBAのPlayOffが始まった。東西それぞれの地区で2試合ずつが行われ、東地区はレギュラーシーズンで順位が上だったチームが勝利を挙げた。その一方で、西地区は下位チームが先手を取った。

26歳のセルビア人センター、ニコラ・ヨキッチ
26歳のセルビア人センター、ニコラ・ヨキッチ写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 西地区第6シードでPlayOffに出場しているポートランド・トレイルブレイザーズは、3位のデンバー・ナゲッツを123-109で下した。

 今日、ナゲッツのエースは、セルビア出身のセンター、ニコラ・ヨキッチである。この日も34得点16リバウンドと、ダブル・ダブルの活躍を見せた。ヨキッチの背番号は「15」。

 ブレイザーズのシックスマンである、大ベテランのカーメロ・アンソニーは、かつてナゲッツの大黒柱として、「15」を付けていた。10年前、ナゲッツからニューヨーク・ニックスにトレードされて以来、アンソニーはアウェイゲームで古巣から白星を挙げたことがなかった。この10年間でデンバーにおけるゲームは10連敗。

36歳の経験はブレイザーズにプラスをもたらす
36歳の経験はブレイザーズにプラスをもたらす写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 22日のアンソニーは、7732名の観客の前で21分35秒間プレーし、18得点3アシスト1リバウンドをマーク。ついにジンクスを破った。

 特に圧巻だったのは4分51秒コートに立った1Qで、5本中4本のシュートを決めて12得点。ここぞ、という場面で放った3ポイント3本をすべて成功させ、ブレイザーズにリズムを呼び込んだ。1Qだけで12得点し、5月3日に総得点でNBAトップ10入りを果たした大ベテランらしい存在感を見せた。

ナゲッツ時代のアンソニー
ナゲッツ時代のアンソニー写真:ロイター/アフロ

 ナゲッツのファンからはブーイングを浴びせられたアンソニーだが、試合後「いい時間だった。やっと勝てたな。デンバーは俺にとって、容赦ない罵声が飛んでくる特別な場所なんだ」と笑顔で語った。

 ブーイングをエネルギーに変えたアンソニー、今後のPlayOffでの戦いぶりが楽しみだ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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