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197センチのスーパーウエルター級が、13度目のKO勝ち

林壮一ノンフィクションライター
C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 身長180センチ、リーチが187センチのホルヘ・コタ(33)は、スーパーウエルター級として小さな選手ではない。

 が、今回の相手、セバスティアン・フォンドラ(23)は細身ながら身長197センチ、リーチ203センチと規格外であった。

Photo:Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
Photo:Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 サウスポー同士の一戦となった同ファイトは、初回こそコタが乱打戦に持ち込み、コンビネーションをヒットしたが、2ラウンドは距離を詰めて体をつけるだけで精一杯となる。少しでも離れれば被弾するため、コタは容易に下がれない。

 3ラウンドは縺れ合いながら、互いにアッパーで活路を見出す展開となった。

Photo:Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
Photo:Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 そして第4ラウンド、接近戦からの打ち合いを制したフォンドラのパンチが再三コタを捉える。左目尻をカットし、鮮血をほとばしらせながらも応戦していた33歳のダメージを重く見たレフェリーが試合を止めた。

 正式なTKOタイムは2分35秒。

 FOXが売り出すフォンドラは、自身の戦績を17勝(12KO)無敗1分けとした。

Photo:Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
Photo:Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 フォンドラは試合後、次のように話した。

 「来てくれたファンの前で素晴らしい試合が出来て嬉しいです。声援もブーイングも全て聞こえました。我々はパンチを交換し、コタの方が深刻なダメージを負ったからこそレフェリーが止めたんですよ。個人的には、4回のもう少し早めに終わるかなと感じましたが。

 初回、コタの足がグラグラしていたのを目にしました。でも、彼は手を出し続けた。再度足にきている様子を見た時は『殺すつもりでいかねば』と感じました」

 勝利の喜びに沸くフォンドラだが、その体形的なアドバンテージを活用したようには見えない。恵まれた長いリーチを生かすには、やはりジャブだろう。フットワークも見られなかった。

 如何なる課題を掲げ、克服していくかが、この若者の未来を左右しそうだ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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