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5連敗の後……

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
右の脹脛を痛め、4/16、18、20と3試合を欠場したエース、リラード(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現地時間4月27日、ポートランド・トレイルブレイザーズのテリー・ストッツ監督は試合後のZoom会見で笑みを浮かべていた。

 ブレイザーズは4月18日から25日までに5連敗を喫し、なんとかしてチームを再建しなければならなかった。5連敗のうち最初の2試合は、エースであるデイミアン・リラードが右の脹脛を痛めて欠場。

 連敗中、1点差のゲームが2回、2点差で落としたゲームが1回と、足掻き苦しみながら、27日に敵地であるインディアナでペーサーズと対戦した。

監督となって9シーズン目
監督となって9シーズン目写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 1Qこそ34-35でビハインドを負ったブレイザーズだが、2Q終了時に73-62とあっさりと逆転する。最大43点もの差をつけ、最終Qはセカンドユニットに経験を積ませながら133-112の圧勝であった。

 会心の勝利に、ストッツ監督の頬が緩むのも当然だ。

9本の3ポイントを決めたアンファニー・シモンズ
9本の3ポイントを決めたアンファニー・シモンズ写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 この試合で爆発したのは、シューティングガード、アンファニー・シモンズであった。13本のシュートを放ち、9本を成功させての27得点。リラードの23得点を超えた。その9本は全て3ポイントである。7本連続でのゴールは、目を見張った。アシストとリバウンドも4ずつマークした。

 1月中旬頃から、監督に3ポイントシューターとしての能力を評価されてはいたが、ここに来て確かな成長を見せる。今季はダンクコンテストでも優勝を飾り、伸び盛りの21歳だ。

 シモンズは、今日のNBA選手には珍しく、大学や他国のプロリーグを経験せずに高校卒業後にNBA入りしている。

2018年のドラフト1巡目24位のシモンズ
2018年のドラフト1巡目24位のシモンズ写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ストッツ監督は言った。

 「彼にとってはスペシャルな夜になりましたね。非常に柔らかいタッチで、ネットを揺らし続けました。いい仕事ぶりでした。

 今日は我々のディフェンス力が、勝ちに結び付きましたよ。チーム全体が活気付き、自信を持って次の試合に臨めることが大きい。この勝利によって、我々はエネルギーに満ちています」

 試合後、シモンズも語った。

 「ハーフタイムまでに4本決めて、感触が良かった。今日は活躍できるなって思っていたんだ。

 ただ、どれだけいい仕事をしても、接戦となっても勝たなければ意味がない。とにかく勝利に向かうだけさ」

23得点5アシスト3リバウンドのリラード
23得点5アシスト3リバウンドのリラード写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 翌28日、ブレイザーズはメンフィス・グリズリーズ戦を迎える。5連敗中、4月23日、25日とカモにされた相手であったが、好調を維持し、130-109で勝利した。

ポートランドでのグリズリーズ戦は、当初1月20日、22日に予定されていたが、グリズリーズから新型コロナウィルス感染者が出た為、3カ月延期された。
ポートランドでのグリズリーズ戦は、当初1月20日、22日に予定されていたが、グリズリーズから新型コロナウィルス感染者が出た為、3カ月延期された。写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 リラードは15本のシュートで成功が6と普段より振るわず、シモンズも8分の3とペーサーズ戦ほどは光らなかった。それでも、2Q途中で33点もの差を付け、危なげなく試合を運んだ。スターティングの3名が20得点以上し、それに続く選手が18得点、15得点と、全員で勝利を掴んだ。

 前夜同様、4Qでは主力を温存し、普段ベンチを温めているメンバーを投入して白星を挙げた。グリズリーズに連敗した数日前とは、見違えるチームとなった。

21分4秒の出場で8得点したシモンズ
21分4秒の出場で8得点したシモンズ写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 トンネルから抜け出し、吹っ切れた感のあるブレイザーズ。しばらくAWAYでの試合が続くが、残り少ないレギュラーシーズンで、どこまで順位を上げられるだろうか。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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