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5月1日に再起戦を迎える元WBCライト級王者

林壮一ノンフィクションライター
(写真:ロイター/アフロ)

 2013年7月27日にWBCライト級暫定王座決定戦として荒川仁人と対戦し、判定勝ちを収めたオマール・フィゲロア・ジュニアが、5月1日にリングに上がる。対戦相手は、26(20KO)勝4敗2分けのアベル・ラモス(29)。

 荒川戦の後、WBC正規王者に認定されながらも、相次ぐケガや体重超過で長期政権を築けなかったフィゲロアも、はや31歳。

 目下、28勝(19KO)1敗1分けのフィゲロアにとっては、2019年7月20日にキャリア初の黒星を喫して以来のカムバック戦となる。

 フィゲロアを下したヨルデニス・ウガスは、2020年9月6日にWBAウエルター級王座決定戦でアベル・ラモスにも勝利して同タイトルを獲得した。

 5月1日は、ウガスに敗れた者同士のサバイバルマッチである。

2015年5月9日のリッキー・バーンズ戦では体重をオーバーした
2015年5月9日のリッキー・バーンズ戦では体重をオーバーした写真:ロイター/アフロ

 先日催されたオンライン会見で、フィゲロアは語った。

 「ファンが楽しめるファイトをご覧に入れるよ。あまり試合について考え過ぎないようにしている。もし、自分がそのラウンドでポイントを稼げたら、そうする為に最大限のアレンジをしたってことさ。(対戦相手の)アベルがどう出てるかで試合内容も変化するだろう。今は彼の事で頭がいっぱいだ。決して簡単な相手じゃないし、未来について思いを巡らす余裕など無い。自分に出来る唯一の事は、5月1日にベストを尽くすことだ。

 どんな競技でもトップ選手はベストコンディションを作るのが難しい。体重に関しても、信じられないことが起こりうる。俺には体を治療する時間が必要だった。今、100パーセントに近い非常にいい状態にある。かつて感じたことの無い充実度だよ」

2019年7月20日のヨルデニス・ウガス戦で0-3の判定負け
2019年7月20日のヨルデニス・ウガス戦で0-3の判定負け写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 「3~4歳からボクシングをやってきたけれど、ここ数年は苦しい時期を過ごした。実際に負けるまで、敗北が何を意味するのか理解できていなかったんだ。ただ、1敗が俺に違った見解をもたらしたのも事実。

 自分のキャリアは新たな章に入った。いかに俺が成長しているかを、その目で確かめてくれ。まだ、ベストな自分を創っている最中なんだ」

 さて、元チャンピオンは、どのような新章を迎えるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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