IBFスーパーフライ級王者、ヘルウィン・アンカハスが9度目の防衛に成功

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 IBFスーパーフライ級王者、ヘルウィン・アンカハスと挑戦者ジョナサン・ロドリゲスとの一戦は打ち合いとなった。

 序盤、左ストレートを武器としたサウスポーのアンカハスは、距離を取りながら戦っていた。が、ラウンドが進むにつれ、接近戦が展開される。ロドリゲスもボディブローやロングレンジからのアッパーで活路を見出そうとしたが、チャンピオンの牙城は崩せなかった。

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 前日の計量で、ロドリゲスは0.4パウンド、オーバーした。慌てて下着を脱ぎ、マスクも外して再び秤に乗り、リミットいっぱいの115パウンドでパスした。

 この光景を目にした折、私の脳裏を過ったのは1999年9月に行われたWBC/IBF統一ウエルター級タイトルマッチ、オスカー・デラホーヤvs.フェリックス・TITO・トリニダード戦である。

 勝利を確信したデラホーヤは、最後の3ラウンドを流してポイントを失い、僅差の判定で敗れた。その慢心が計量時にも表れており、全裸で秤に乗らなければ147パウンドにはならなかった。

 そんな僅かな心の隙が、明暗を分けた。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20170711-00073145/

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 ロドリゲスは挑戦者であるにも拘わらず、飢えを見せなかった。頭突きを混ぜながら前進したが、心身共に研ぎ澄ましたチャンピオンを超える動きは出来なかった。

 8ラウンド終盤、じわじわとコーナーに詰めたアンカハスのワンツーの連打を浴び、堪らずダウン。挑戦者にとって、プロ生活初のダウンを喫した。

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 試合後、9度目の防衛に成功したアンカハスが、「ロドリゲスは試合を止めてほしいようだったね。ちらちらとコーナーを見ていたよ」と語ったように、意気消沈したことは間違いなかった。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME 
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 結局、117-110、116-111、115-112でアンカハスが勝利を掴む。慢心が宿った状態で世界王座には就けない。

 「まぁでも、ダウンから起き上がって試合を続けた彼に敬意を払うよ。今日の勝利をとても嬉しく思う。(コロナ禍により)1年4カ月ぶりの試合だから、早くリングに上がりたかった。待ち疲れた。でも、SHOWTIMEで自分のファイトが放送されることは喜びだ。

 僕のキャリアのなかで、最も厳しいファイトだった。大きな舞台で9度目の防衛戦をやるのだから、ハードに練習した。その成果が出せて幸せだよ」

 アンカハスは余裕たっぷりに、そう話した。

 ロドリゲスは「1-2の判定負けという気がするけれど…。ジャッジもチャンピオン側の人間だったようだな」とコメントした。

 挑戦者にとって米国における初のファイトとなったが、計量といい、この発言といい、チャンピオンに相応しい男ではないようだ。

 先日、急死した伝説の王者、マーベラス・マービン・ハグラーなら、こんな言葉は吐かない。敗者の弁が空しく響いた。