WBAライト級タイトル挑戦者決定戦
先週末に行われたWBAライト級挑戦者決定戦は、メキシカンのブルファイター、イサック・クルズ・ゴンザレスが、アルゼンチン人のホセ・マティアス・ロメロを3-0の判定で下した。
21勝(15 KO)1敗1分けとなった22歳のゴンザレスにとって、12ラウンドを戦うのはプロデビュー以来初めてのことであった。
母国には「メキシコのタイソン」と称するメディアもあるように、身長163センチのゴンザレスは、ライト級においてかなり小柄な選手である。頭を振って相手に接近し、左右のフックを叩きつけて行くスタイルは、マイク・タイソンと似ていなくもない。
だが、元統一ヘビー級チャンピオンほどコンビネーションにバリエーションがない。タイソンは「0.4秒間に6発のパンチを出せ」と指導され、スピーディーなコンビネーションを習得したが、ゴンザレスはとても、その域には達していない。
メキシコやアルゼンチンといったスペイン語圏の選手たちは、ファイトを「ペレア」と呼ぶ。下がることを好まず、打ち合って勝つボクシングを身上とするファイターが多い。
この日の両者もそうであった。ゴンザレスはフルラウンド、前身する姿勢を崩さなかった。
身長で10センチ、リーチで18センチ優るロメロは、ジャブで試合をコントロールしようとした。282発のジャブを放ち、89をヒット。しかし、ゴンザレスのパワーがやや上回った。
短躯のメキシカンは459発のパワーパンチを繰り出し、そのうちの145がアルヘンティ―ナを捕らえた。145分の91はボディーショットで、少なからずローブローも見せた。第6ラウンドには減点を告げられている。
結局、118-109、114-113、115-112の3-0でゴンザレスがWBAライト級の指名挑戦権を得た。
試合後、勝者は言った。
「今日のパフォーマンスは良くなかった。でも、勝利してトップコンテンダーとなれたことは素直に嬉しい。ジャッジがどんな印象を持ったかは分からないが、自分は積極性でアピール出来たように思う。
ロメロは打ち合いを避けていたね。彼のクリンチには飽き飽きさせられた。レフェリーは注意すべきだったよ。まぁ、勝者としてメキシコに帰れることが喜びだね」
24戦全勝8KOでこの日を迎え、初黒星を喫したロメロは述べた。
「納得のいかない判定ですね。自分はドローだったと感じました。出来ることはやったし、今日の戦いぶりには満足しています。彼は突進型ですが、私は距離を取って捌いたでしょう。今日の為に、十分に準備したのに……」
ゴンザレスの次戦の相手は誰か? ワシル・ロマチェンコを下してIBF/WBAスーパー/WBO/WBCフランチャイズ統一ライト級チャンピオンとなったテオフィモ・ロペス・ジュニア(23)か? あるいはWBA正規タイトルを持つジャーボンテイ・デービスか?
いずれにしてもチャンピオンが有利だが、ペレアに向けて己を追い込め!