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22戦全勝20KOの新星アジア系スーパーライト級ファイター

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 第3ラウンド1分38秒、相手の左フックに合わせたカウンターの右フックが炸裂。ブランドン・リーのパンチを食らったサムエル・ティはマリオネットのようにキャンバスに崩れ落ち、試合は終了した。ノックアウトタイムは、同1分43秒。

 ティはこのラウンドの開始31秒にもリーの打ち下ろしの右を浴びてダウンを喫しており、ダメージは深刻だった。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
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 現地時間3月10日、リーは20回目のKO勝ちを飾り、戦績を22戦全勝とした。前日計量では139.75パウンドと、成長過程にある21歳ながら、2016年のプロデビュー以来もっとも絞れた体でリングに上がった。  

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 1999年4月25日生まれのリーは、当初、父のボビーからボクシングの手解きを受ける。兄と共にボクシングジムに通い始めたのは5歳の時。その後、アマチュア時代に3度全米王者となった。アマチュア戦績は、181勝9敗。

 家族構成はメキシコ人の母と9つ上の兄。母方の祖父と叔父たちにボクシング経験者がいた。 

 スペイン語は話せるが、韓国語は数えるほどの単語しか知らない。ただ、2国の文化には興味を持ち、自身のルーツにも誇りを感じている。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 高校の最終学年でプロに転向した頃は、学校から帰宅する時間が15時。仮眠をとり、17時~18時の間にジムへ行き、練習終了は20時。高校とジムと自宅のみの生活で、110%ボクシング漬の日々を送った。家族もまた、自分を110%支えてくれたと感謝の意を示す。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 影響を受けたボクサーとして名を挙げるのは、マイク・タイソン、フィリックス・トリニダード、フロイド・メイウェザー・ジュニア、GGG、ロマチェンコ。一発に自信を持っているが、フットワークも使えると己を評価する。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
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 リーは年内にWBAかIBOの世界タイトルを目指す一方、大学で刑事司法を学んでおり、文武両道を己に課している。

 SHOWTIMEが売り出すアジア系ファイター、ブランドン・リー。アメリカ社会において、どこまでの人気を得られるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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