ニューヨークに戻ったNBA史上最年少MVP選手
ニューヨーク・ニックスは、デニス・スミス・ジュニアと次回のドラフト2巡目指名権をデトロイト・ピストンズに与える条件で、デリク・ローズを獲得した。
アメリカ時間2月7日に両チームによって話し合われ、ニックスが声明を出したのは翌8日。ニックスのオフィシャルサイトには早速、「ようこそデリク・ローズ」なる文章が躍っている。
今更述べるまでもないが、2011年、NBA史上最年少である22歳でMVPに選ばれたデリク・ローズは、「Too BIG(存在自体が大き過ぎ)、Too Strong(強過ぎ)、Too Fast(速過ぎ)、Too Good(良過ぎる)男」と称えられた。
が、左膝前十字靭帯、右膝半月板と度重なるケガに泣く。デビューから8シーズン在籍したブルズでは、256試合を欠場した。そして2016年6月22日にブルズからニックスへのトレードが告げられた際、ドキュメンタリー制作チームの前で彼は号泣した。
その後も故障に苦しみ、9年間で4度、膝にメスを入れた。常に自身の体を労わりながら、クリーブランド・キャバリアーズ、ミネソタ・ティンバーウルブズ、デトロイト・ピストンズを渡り歩く。
2018年10月31日にはキャリアハイとなる1試合で50得点を挙げ、復活をアピールしたものの、右足、右肘痛めてコートを離れた。
2019年にピストンズに移籍してからも右足首や鼠径部のケガと戦いながらのプレーを余儀なくされる。
ゲーム前は誰よりも入念なウォーミングアップとシュート練習をこなし、コートに入ればいぶし銀の働きをするのだが、MVP時の彼を目にした者にとっては、どうしても痛々しさを感じてしまう。
しかし、古巣のユニフォームに袖を通した今のローズは明るい。SNSでもファンに向け、こんな言葉を綴った。
「あなたにとって、後世に残したいものって何ですか??? 今でも独自のお宝を探していますか? あるいはクリスタルショップで働くことに満足していますか? 人生の経験って、いつも人間の根幹に向かっての挑戦ですね。特に自分の技術をマスターさせたい時は挑戦です。
特別な集団に身を置いて感情を爆発させたり、その群れから離れたりしても、自分の気持ちを捨てることや、歩んだ道のりについてネガティブ気持ちを持ってはいけません。何故なら、あなたの物語は既に描かれたのですから。
嫌悪感、ジェラシー、不純な愛はいつだって身近にあるものです。それらは今のあなたにとってマイナスでしかないから、笑顔で払いのけることが神の恩恵です。一息入れて、邪念を捨て、自らの素敵な経験で人生を彩っていきましょう。
バスケ人たちはいつも、メッカでプレーしてみろと私に言ってくれました。今回、セカンドチャンスを得たんです。今度こそ、いい成績を残してみせます! その為に、自分を築き上げました。自分の血の中には、バスケットボールが入っています」
昨シーズン、ポートランド・トレイルブレイザーズ戦後の控室で私はローズに話を聞いた。その折、彼は「出来る限り長く現役を続けたい」と言った。
新たな背番号は4。現地時間9日に行われたマイアミ・ヒート戦では20分20秒コートに立った。チームは96-98で敗れたが、ニックス内では2位となる14得点を挙げた。
今回のニックス入団が、ローズにとって実りあるものとなることを、心から祈る。