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NBA便り~20点差をひっくり返された慢心~

林壮一ノンフィクションライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 本来なら2万人近いファンで埋まるモダ・センター。ポートランド・トレイルブレイザーズにとっては、今季7戦目。3試合目のホームゲームであった。

 無論、新型コロナウイルスの影響で、観客はいない。

 対するシカゴ・ブルズは3勝4敗でポートランドに乗り込んでいた。どうしてもイーブンとしておきたかった。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ブレイザーズの立ち上がりは良かった。ロバート・コビントン、C・J・マッカラム、デイミアン・リラードが次々に3ポイントを決め、流れを掴む。

 1Qの半分が過ぎた時点で、ブレイザーズの得点は20。それには6本の3ポイントが含まれていた。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 2Q2分19秒が経過した時点で、ブレイザーズは47-27と大差をつける。誰もが勝利を確信していたであろう。

 しかし、そこに穴があった。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ブレイザーズの選手たちは3Q、4Qと、ブルズの追い上げを感じながら、ひたすら3ポイントを打ち続ける。

 結局、この試合で試みた3ポイントは合計で51本。成功率は37.3パーセント。序盤のように綺麗に決まらなくなり苦しい状況に置かれても、とにかく3ポイントを選択した。

 最終Qの2分44秒で追いつかれ、残り6分36秒で逆転される。カーメロ・アンソニーの3ポイントシュートで再度リードした局面もあったが、108-111で敗者となった。

 テリー・ストッツ監督は試合後、3ポイントの失敗よりも、後半からブルズがギアを上げたことを敗因として挙げた。2012年から同チームを率いるストッツは、サバサバとした表情で試合を振り返った。

写真:代表撮影/USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 この黒星を、長いシーズンの一つの負けと捉えるか、チーム内の大きな反省点として受け止めるか。

昨シーズンは背番号8が、チームを支えた
昨シーズンは背番号8が、チームを支えた写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 個人的には、本コーナーで取り上げたばかりのトレヴァー・アリーザが今季もブレイザーズの一員で、今夜のブルズ戦に出場していたら、勝ち切れたように思えた。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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