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石田順裕に踏み台とされたカークランドが36歳にして、明日リングに上がる

林壮一ノンフィクションライター
(写真:ロイター/アフロ)

 27戦全勝24KOの戦績を誇り、WBOミドル級4位だったジェームス・カークランドが、石田順裕に初回KO負けを食らったのは2011年4月9日のことだった。しかもファーストラウンドに3度倒されての敗戦。

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 当然のことながら石田の名は一躍世界中に知れ渡ったが、27歳だったカークランドは、この黒星で世界戦線から大きく後退した。

写真:ロイター/アフロ

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 カークランドは石田戦の3カ月後に再起。2013年12月7日までに5連勝し、再び上を狙う。

 が、もともとダークな世界の住民で塀の中と娑婆を行ったり来たりの人生である。1年半のブランクを作った後、カネロ・アルバレス戦を迎え、3回KOに散る。

 ここで引退を決めた筈であったが、昨年8月、11月とリングに上がり、無名選手を相手にKO勝ちする。そして、来る26日(現地時間)にも試合が組まれた。

 36歳となったカークランドに、輝かしい未来があるようにはとても思えない。この男もまた、他にカネの稼ぎ方を知らないから、リングに戻って来たタイプか。

写真:ロイター/アフロ

 カークランドは言う。

 「プレッシャーが俺を守ってくれる。12月26日が楽しみで仕方ない。自分の能力を駆使して、ファンに最高のパフォーマンスをお届けする」

 対戦相手は26歳のメキシカン、ファン・マシアス・モンティル。21勝4敗2分けで、白星は全てノックアウトで飾っている。

 モンティルは話した。

 「この試合に勝利すれば、いかなる物が手に入るか良く分かっている。過去の試合よりずっと力を入れて準備中だ。僕のキャリアで、最も大きなチャンスだと思う」

 KO決着となりそうだ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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