コロナで志望校を断念しなければならない米国の高校生アスリート
NBAのプレシーズンマッチが始まった。現地時間11日の金曜日は5試合、12日は7試合、13日は6試合が行われる。そして22日より、新シーズンが始まる。
将来NBA入りを狙うような高校生選手は最後のシーズンでアピールし、名門大学への進学を目指す。
既にスカウトされているトップ中のトップは、内定を得た。が、Division1の大学の練習会に出て自身を売り込もうと考えていた選手にとっては、その目論見が完全に外れた。
州によって差はあるものの、新型コロナウィルス感染拡大を受け、高校生活の集大成となる筈の公式戦がキャンセルされた。また4月15日まで、ディビジョン1の大学はスカウト活動を停止しろとNCAAが正式にアナウンス。練習会が企画できない。
西海岸の高校で州王者の座に就き、複数の大学からスカウトを受けている17歳の少年は「まだ進路が決まっていないから匿名で」と言って、私の取材に応じた。
「やっぱりD1(Division1)とD2では熱の入れ方が違うと思うので、D1を目指していました。でも、4月15日まで待ってトライアウトを受けても、受かる保証はない。ならば、声を掛けて頂いているD2にしようかな、とも考えます。D2なら、『行く』と告げればもう決まるので…。
以前、僕に興味を持ってくれたD1の監督からは『2021年卒業の子は、大変な時間を過ごしているね。こちらが選手を見に行きたくても不可能だし、キャンプも禁止。実際に目の前でプレーしてもらわないと、何とも判断できない…。だから新入生は獲らずに、コミュニティーカレッジ(2年制の短大)や、トランスファー(編入)での獲得を検討している。どうしてもウチに来たいのであれば、prep-schoolかコミュニティーカレッジ、その他の大学で自分を高めておいてくれ、くらいしか言えないな。多くのNCAA Division1の学校が似たような状況だと思うよ』と説明されました。もう高校卒業が迫っていますから、落ち着かないです……早く決めたいですね」
NCAAには、日本の大学のように1部と2部の入れ替え戦が無い。D1のレベルが最も高く、優秀なアスリートが集うのは間違いないが、Divisionの違いは、実は大学の規模なのだ。「2万人収容のアリーナを持つ、5万人収容のフットボール場を持つ、アスリート育成、活動費に〇〇ドル費やせるから我が校はDivision1に登録している」といった調子である。
D2以下の学校でも日本のプロ以上の設備が整い、十二分にバスケットボールに打ち込むことができる。ただ、スポンサーが払う金額をはじめ、大会の規模はやはりD1が図抜けている。
あらゆる競技において、2021年に大学に入学するアスリートは数が少なく、冬の世代として語られてしまうのか。あるいは、D2のレベルが飛躍的に上がるか。いずれにしても、若者の夢が潰れないことを祈りたい。