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WBC/IBFウエルター級タイトルマッチ、間も無くゴング

林壮一ノンフィクションライター
写真:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 WBC/IBFウエルター級チャンピオン、エロール・スペンス・ジュニア(30)が、WBC/WBAスーパーライト、WBCウエルターと2階級を制したダニー・ガルシア(32)を迎える一戦のゴングまで、残すところ数時間となった。

Photo:RYAN HAFEY/ PREMIER BOXING CHAMPIONS
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 試合前日に行われた計量で、王者スペンスは146.5パウンド(66.45kg)、

Photo:RYAN HAFEY/ PREMIER BOXING CHAMPIONS
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 挑戦者ガルシアは146.75パウンド(66.56kg)でパスした。

Photo:RYAN HAFEY/ PREMIER BOXING CHAMPIONS
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 試合直前の両者の言葉をお届けしよう。

 まずは、26戦全勝21KOのチャンピオン、エロール・スペンス・ジュニア。

Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
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 「ホームタウン(テキサス州アーリントン)での試合は、長年の夢だった。非常に意味のある一戦だ。一秒たりとも無駄にしたくないね。

 2冠王者である自身を保つために、己を律し、厳しいトレーニングを続けて来た。日々、子供たちの顔を見て、モチベーションを上げていたよ。自分が進むべき道に障害となる物は見当たらなかった。2月からずっと、この試合に向けて準備して来たんだ。

 完璧に仕上げた。コーチの指摘もきちんと受け入れている。新たな自分を見せたい。そして頂点に上り詰めたい。その為にやるべきことを、ジムでやったよ。

 ダニー・ガルシアという危険な選手を選んだからこそ、内容のあるトレーニングを重ねられたと思っている。彼のような選手と戦うことで、自分は次のレベルに行けるだろう」

 2019年10月10日の午前2時53分、飲酒運転中だったスペンスは、愛車、フェラーリ488スパイダーを運転中に大事故を起こした。事故以来の試合ということで、ダメージを懸念する声も聞こえてくる。

Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 「過去の自分よりも鋭い動きが出来ている。色んな疑問を持たれているようだが、自分が2冠チャンプに相応しい男だという事をリングで証明する。その為にも、偉大な選手と戦いたかった。

 事故からは、人生がパーフェクトに運ばないってことを学んだ。自分は未熟な部分がある。でも、この試合で勝者となるのは俺だ」

Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
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 一方、36勝(21KO)2敗のダニー・ガルシアは話した。

 「テキサスにはいつも、素晴らしい時間を与えてもらっている。テキサスでのファイトって、楽しみで仕方ない。2012年には自分にとって最初のタイトルをヒューストンで獲った。多くのファンが温かく、地元のようだった。本当に特別な場所だよ。だから、敵地という感覚はまったく無い。仕事に集中するだけだね。

 スペンスとの対戦を希望したのは1年以上前。まぁ、実現のタイミングが今だったってことだろう。非常にいいトレーニングキャンプをこなした。やるべき事はすべてやったと言い切れる。心身ともに充実しているよ。ベストな自分でリングに上がるよ。

 自分の不利を予想する人が多いが、気にしていない。俺はグレイトなチャンピオンであり、グレイトなファイターだ。だからこそ、この試合を迎えるんだ。試合当日は、自分が何者であるかをお見せする。

 本当に素晴らしいチャンスだ。世界タイトルを獲得する事は、これ以上ない幸福な感情に包まれる。でも、敗北や失敗が人間としての成長に繋がることもある」

Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 「自分は8年もトップレベルのファイターとして戦ってきた。その価値を理解している。ジムではあらゆるトレーニングをやった。アウトボクシングもインファイトも可能だし、相手のペースで打ち合うことも、距離を取ることも出来る。様々なパートナーとのスパーリングをやったからね。

 準備は万全だ。言いたい事を何とでも言えばいいさ。俺は人生を懸けてリングに上がる。そして勝つ」

PHOTO:FROM RYAN HAFEY/ PREMIER BOXING CHAMPIONS
PHOTO:FROM RYAN HAFEY/ PREMIER BOXING CHAMPIONS

 ゴングまで、あと半日。いかなる結末が待ち受けているか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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