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無敗のポーランド人ヘビー級世界ランカー、アダム・カナッキは21連勝を飾るか? 間もなくゴング

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions

 <Baby Face>というニックネーム通り、いつ見ても愛嬌を感じさせるアダム・カナッキ(30)。現在20戦全勝15KOで、WBAヘビー級4位にランクされている。ポーランド人であるカナッキは7歳で祖国を離れ、アメリカ・ニューヨークにやって来た。両親が、新天地で2人の息子の未来を拓きたかったのだ。

 ポーランド人ボクサーというと、元統一ヘビー級王者リディック・ボウに反則を繰り返して失格負けを食らい、レノックス・ルイスに95秒で派手にKOされhttps://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20180111-00078831/、マイク・タイソン戦でも不可解な棄権でリングを降りたアンドリュー・ゴロタを思い出す。

 カナッキは、そのゴロタをロールモデルとしてグローブを嵌めた。2006年、2009年にニューヨーク州ゴールデングローブ王者となる。2007年、2008年は同2位に終わっている。

 2009年10月30日にプロデビューし、白星を重ねて来た。と同時にポーランド人コミュニティーのヒーローとなった。カナッキは「タイソン・フューリーvs.デオンテイ・ワイルダーIII」の勝者への挑戦を熱望している。今日はその前哨戦的ファイトとして、WBA7位のロバート・ヘレニウス(フィンランド)戦を迎える。

Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions
Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions

 同ファイトは「WBAヘビー級タイトル挑戦者決定戦」と名付けられている。試合2日前の記者会見で、カナッキは言った。

 「このブルックリン、バークレイズセンターで戦うことが本当に好きです。私のキャリアのほとんどは、こちらのリングでのファイトですから、まさに第2のホームのように感じています。

 世界戦というのは、やはりモチベーションが上がりますね。ロバートも必死で練習して来たでしょうが、タイトル挑戦は、私こそが相応しい。もう、タイトルマッチを待ちきれません」

Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions
Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions

 「ポーランド人ファンの声援は素晴らしいです。彼らの叫び声は、終盤にプラスアルファの力をもたらしてくれるんですよ。私がゴロタのファンだったように、次世代の若者たちの活力になれたらいいなと考えます。 だからこそローバートを倒し、次に結び付けたいですね。

 今回は目を見張るようなKOを狙っていきます。私がヘビー級最強であることを世界中にお見せしますよ。そして、必ず世界ヘビー級王座に就いてみせます」

 可愛らしい顔で、カナッキは話し終えた。

Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions
Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions

 2メートルの長身を誇り、戦績が29勝(18KO)3敗のロバート・ヘレニウスも語った。

 「自分はグレイトファイトをやるチャンスを得、懸命にトレーニングして来た。リングに上がることが待ち遠しい。2週間前にアメリカに到着した時と今では、体の感覚が違う。アラバマにあるデオンテイ・ワイルダーのジムで調整できたことがプラスになった」

Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions
Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions

 「カナッキ戦に向け、何ラウンドもスパーをこなした。非常にいい仕上がりだよ。ここ数年間で、今が一番自信を持っている。過去に右手首の骨折や他のケガにも悩まされたが、この2年くらいコンディションがいいんだ」

Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions
Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions

 36歳であるヘレニウスにとっては、世界戦戦に踏み止まる最後のチャンスか。カナッキは、ゴロタを超えられるか? ゴングまで半日を切った。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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