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悪役、ルイス・ネリも明日WBC Silverバンタム級タイトル戦を迎える

林壮一ノンフィクションライター
WBCヘビー級タイトル戦の前座に出場するネリ(写真:REX/アフロ)

 ルイス・ネリ。

 ご存知のように2017年8月15 日に山中慎介を下してWBCバンタム級王座を奪取するが、試合後に禁止薬物の使用が発覚。およそ半年後に組まれた山中との再戦ではウエイトオーバー。今尚、この男を許せない日本人は多い。

 それでもネリは30戦全勝24KOという戦績を武器に、明日、大舞台に上がる。手にしたWBC Silverバンタム級タイトル防衛戦が用意されたのだ。前回のファイトも明日の一戦も、井上尚弥が戦った選手が相手であるため、日本のボクシングファンは嫌でもネリの名に反応せざるを得ない。

 

 明日、ネリが迎え撃つのは、井上が5月にグラスゴーで下したエマヌエル・ロドリゲス。WBCヘビー級タイトルマッチの前座として組まれ、FOX PPVでもオンエアされることとなった。 

Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 ネリは試合2日前に行われた記者会見で、次のように述べた。

 「ワイルダーvs.オルティス戦の前座に出場できるということで、非常にエキサイトしている。この試合に向け、100%完璧と表現できる準備をして来た。俺の対戦相手が強いということは理解しているが、自分の頭の良さとボクシングIQの高さが勝利に導いてくれるだろう。俺とフレディ・ローチは、素晴らしいゲームプランを立てている。我々はKOで勝利する自信を十分に持っている。内容のあるKO劇を飾れるように、ローチの指導のもと、ハードなトレーニングを積んだ」

 フレディ・ローチはマニー・パッキャオの参謀として有名だが、ジョニー・タピア、ジェイムス・トニー等、<問題児>とされるチャンピオンを指導したキャリアがある。手綱の締め方、緩め方は現在のボクシング界でトップと呼んでいいだろう。あのモハメド・アリが初めて黒星を喫した、ジョー・フレージャーのセコンドだった名将、エディ・ファッチの教えを直に受けたトレーナーなのだ。

Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 ネリは、

 「バンタム級には多くのビッグネームがいるが、それらの王者と戦うためにも、まず、ここでいい試合を見せなければ。他のチャンピオンに対するプレッシャーは何も感じないし、ロドリゲスと拳を交えた他の選手のことも気にならない。どうすれば勝てるかを理解しているし、それを実行するまでだ」

 と続けた。

 個人的には、ローチがいかなる指示を出すかに興味が湧く。どんなファイトとなるだろうか?

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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