Yahoo!ニュース

NBAの巨星ステフィン・カリー来日決定!

林壮一ノンフィクションライター
カリーは3連覇を成し遂げて来日することができるか?(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 レブロン・ジェームスがいない今シーズンのプレイオフにおいて、NBAの顔として大車輪の活躍を見せるステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォーリアーズ)。今シーズンもFinalに進出し、トロント・ラプターズを相手に目下1勝1敗。手に汗握る熱戦が続くなか、このタイミングでカリーの来日が発表された。

 6月22日(土)、23日(日)の2日間、東京都内で「Underrated Tour, powered by Rakuten」が開催され、カリー自ら、高校生を指導するのだ。

Photo:Courtesy of the Underrated Tour
Photo:Courtesy of the Underrated Tour

 楽天のプレスリリースにはこう書かれている。

 「Underrated Tour」は、可能性を秘めているものの過小評価されている高校生のバスケットボール選手を対象としたバスケットボールの特別訓練キャンプで、今年1月19日に米国ロサンゼルスで初開催され、ワシントンD.C.、フェニックス、シャーロット、フィラデルフィア、オクラホマ、オークランドでも実施されました。8箇所目の実施で今シーズン最後のツアー開催地に選ばれた東京は、米国以外で

「Underrated Tour」が実施される唯一の都市です。

 過去7回のキャンプの経験も踏まえ実施される今回は、日本の高校生バスケットボール選手に、2日間のパーソナルトレーニングを行い、若いアスリートたちに自身の能力を発揮する機会を提供します。具体的には、トレーニングセッションや基本練習、そしてゲストスピーカーを迎えたコート外のレクチャーまで、最高レベルのプログラムを予定しています。カリー選手のパーソナルスキルの開発とパフォーマンスのコーチを担うブランドン・ペイン氏もセッションに加わり、カリー選手の能力向上をサポートした戦術や手法を伝授します。

 自身も過小評価されていた過去を持ちながら、今ではNBAのワールドチャンピオンにまでなったカリー選手は、従来のアメリカのバスケットボール業界におけるキャンプモデルを打破しようとしています。彼自身が高校時代に評価されず、選抜された学生だけが参加できるキャンプに招聘されなかったという経験から生み出された「Underrated Tour」は、いかなるバックグラウンドを持つ人にもチャンスを与え、途方もない夢であっても、カリー選手自身が叶えたのと同様に、その夢を実現できるよう応援します。

 ステフィン・カリー選手は次のようにコメントしています。「『Underrated Tour』のコンセプトはとてもシンプルです。現時点では

評価されていなくとも、弱点だと思われている部分が実は長所になり得るとスカウトマンに証明する機会を求めている高校生たちのためのキャンプを創出することです。かつての自分のように、バスケットボールをこよなく愛しているけれど、従前のキャンプに参加するには力が足りていないと判断されてしまっている高校生たちのためのキャンプです。私自身、『身長が足りない』、『フィニッシャーではない』というレッテルを繰り返し貼られて、今の自分になる前に、様々な制限が付きまといました。『Underrated Tour』はそれらのレッテルを

取り払います。このツアーを日本でも開催し、日本のバスケットボールの新時代の先導役を務めたいと思っています」

==============================================================

 本コーナーで何度も記して来たが、日本のバスケットボールは本場アメリカと比較すれば、20年、いや50年遅れている。日本の少年少女がバスケットボールと出会った折に行う”ミニバス”は、世界中で日本にしかないルールだ。ゾーンディフェンス禁止、3ポイントライン無し、ちょっと体に触れたらファール……と、世界との差は広がるばかりである。本場アメリカでは、小学生でも高学年になればマウスピースをしてコートで“戦う”。

 こうした状況下で指導陣も育つ筈がない。バスケットボールの本質を理解せず、ただ根性論を押し付けるだけの輩が何と多いことか。だからこそ、桜宮高校のバスケ部主将は自殺に追い込まれたのではなかったか。カリーの語る「力が足りていないと判断されてしまっている選手」というのは、そんな無能指導者が下した評価に過ぎない。

 こんな素晴らしい機会はない。未来のある若者は、NBAの超一流選手から、是非、本場のバスケ、本物のバスケを味わってほしい。日本の指導者が目覚めるきっかけとなることも願う。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事