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WBOミニマム級タイトルに挑んだ谷口将隆の復帰ロード

林壮一ノンフィクションライター
撮影:山口裕朗

 2.26にWBOミニマム級タイトルに挑み、判定負けを喫してから6週間。谷口将隆の復活ロードを取材した。

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 ビック・サルダール戦(2.26)の2週間後からトレーニングを再開しました。あの世界戦の映像を何回も見直しましたね。踏み込みが出来ても、その後が続きませんでした。1発当たったのに、3発、4発を当てられずに見てしまったんです。

 “パンチを打った後に続けること”を今のテーマとしています。シャドウボクシングの時から、ストレートを放った後の連打をイメージしていますね。

 ジャブで主導権を得ることも大事ですよね。当たらなくてもジャブを出し続ければ、ペースを握ることができます。とにかく先手を取らなければ。

 今回、自分の最大の弱点はメンタルだと気付かされました。先日の田口良一さんと田中恒成の試合を見ても、凄くそう感じます。田口さんは打たれながらも、常に前に出ますよね。それが相手には苦痛でしょう。悪い状況を打破できる強引さがあります。田口さんのような気持ちや力強さが僕には無かったんですね。

 全体的には、そこそこ通じたんじゃないかなとも思いました。ただ、サルダールと僕の間にある差が無茶苦茶大きいことを教えられました。WBOアジアパシフィックタイトルと、WBO世界王座では雲泥の差です。何かを変えないと、世界には届かないんだなと。深層心理の部分を鍛えねばなりません。

撮影:著者
撮影:著者

 世界戦の前、僕はロードワークを6キロこなしていました。今は、爆発力を身に付けねばと思って、6キロに100Mダッシュ10本を加えています。また、他者の練習や試合を見るようにもなりました。2019年3月16日に催されたIBF 世界ウェルター級タイトルマッチ、エロール・スペンス・ジュニアvs.マイキー・ガルシア戦もじっくりTV観戦しましたね。エロール・スペンス・ジュニアはサウスポーですから、勉強になりますね。またYOUTUBEでは、長谷川穂積さん、西岡利晃さんを見ています。

撮影:著者
撮影:著者

 自分では死に物狂いで戦ったつもりですが、映像を目にすると歯痒いんですよ。お客さんは僕以上にそう感じたでしょう。「そこで行けよ!」「何で行かないんだ!!」というシーンが何回もありましたから。日々の練習から、自分を追い込んでいくしかありません。

 次の試合は7月くらいかな…またリングに立てることを本当に幸せに思います。

 

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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