40歳のマニー・パッキャオはエイドリアン・ブローナー戦で何を見せるか?
12月17日に40歳の誕生日を迎えたパックマン。「不惑」となって初となる試合を、自身の持つ世界タイトルの防衛戦とできるところに、マニー・パッキャオの価値がある。
ファイト3日前の記者会見でパッキャオは語った。
「(19日は)きっとエキサイティングな試合となるだろう。見る人に喜びを与え、幸せをお届けしたい」
ジョージ・フォアマンは別格として、40歳の世界戦で私が思い出すのは、シュガー・レイ・レナードだ。1997年3月、レナードは昔の名声に酔いしれ、6年ぶりにリングに上がった。全盛期を100とするなら、1もいかない無残な姿を晒し、ヘクター・カマチョに敗れた。ボロボロになったレナードは、己の価値を著しく下げた。※過去記事https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20170706-00072827/
だが、今回のパッキャオは、現役の世界チャンピオンとして、29歳の挑戦者を迎え撃つのだ。
「前回の試合(7月15日)では、非常に手ごたえを感じた。リッキー・ハットン(2009年5月2日)やミゲール・コト(2009年11月14日)らと戦った昔の感覚が蘇ってきた。今回の試合は、ジェフ・ホーン(2017年7月2日)に負けた自分が回復してからの大きなチャレンジとなる。人々は私のキャリアは既に終わったと言った。しかし、私自身は決して自分に失望してはいなかった。激しい練習を重ねていたからこそ、ルーカス・マティセをノックアウトできたのだ。
40歳になって初めての試合は、自分にとってのチャレンジである。リングでの戦いを通じて、見る人全てに、自分が持っている何かを証明する。年齢を表す数字は単なる数に過ぎない。いかに試合に向けて準備するか、ハードワークするかが大事だ」
黄色い肌を持つ我々ジャパニーズも、フィリピン人であるパッキャオも、米国においては異国人であり、マイノリティーである。余程秀でたパフォーマンスをしなければ、チケットは売れない。PACMANのキャリアを振り返れば、彼にはチューンナップ試合が無かった。常にハードな相手とのファイトを間断なく続けて来た。彼をボクシング界のスターダムに押し上げたのは、メキシコの英雄たちを次々に血祭りに上げたからである。
フロイド・メイウェザー・ジュニアがKOを狙わず、己の技術を披露しながら手抜きファイトをする一方で、オープニングベルから試合終了のゴングまで、必ずKOを狙うパッキャオのスピリッツにファンは酔いしれたのだ。
挑戦者のブローナーは、記者会見で、そのメイウェザーの名を出した。
「人々はパッキャオとメイウェザーの再戦についてばかり言及するが、メイウェザーは既に引退した男。俺の過去の5試合を振り返ってくれよ。5人とも世界チャンピオンクラスの1線級だぜ。
俺はこのベガスで人生を変えてみせる。負けるためやリングで寝るためにここに来たんじゃない。勝つためにベガスに来たんだ」
両者が対峙するのは、日本時間20日(日)。個人的には40歳のPACMANの戦いぶりに注目している。いかなる姿を見せてくれるか。