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元世界王者に訊く。村田諒太の相手、アッサン・エンダムとは?

林壮一ノンフィクションライター
アッサン・エンダムは2度、五輪に出場している(写真:ロイター/アフロ)

村田諒太の相手、アッサン・エンダム(フランス)の戦績は、37戦35勝(21KO)2敗。37戦中、3度、米国のリングに上がっている。

米国初上陸となった2012年10月20日はWBOタイトルを懸けて、ペーター・クィリンとグローブを交えた。同ファイトはエンダムにとって、キャリア初の敗戦となった。そればかりでなく、6度のダウンを喫したことが関係者に強烈な印象を残す。採点は3名のジャッジ全てが115-107。SHOWTIMEで放送されたこともあり、米国マーケットでの価値は非常に低いものとなる。

この試合をTV観戦した元IBFクルーザー級チャンピオンのケルビン・デイビスは振り返る。

「ハートは伝わって来たけれど、テクニックもパワーも特別なものは感じなかった。スピードはちょっとあるかな…という程度だね。彼が現役選手であること、しかも世界タイトルマッチを戦うポジションにいることに、驚いているよ」

その後、エンダムは2014年に2度、サンタモニカのリングに上がり、共に判定勝ちを収めた。とはいえローカルな興行のノンタイトル戦に過ぎなかった。

「正直、名前も忘れていた」(デイビス)

エンダムはその後、IBFタイトル決定戦で2度目の黒星を喫しながらも、WBA暫定王者にまで這い上がって来た。

村田をアマチュア時代から見続ける、某指導者は言う。

「スピードはエンダムの方がありますね。序盤は離れて戦い、エンダムがペースを握るんじゃないかな。でも、試合終了までは逃げ切れない。村田はスタミナがあるし、中盤以降に得意の接近戦にもっていけると思います。きっと捕まえられますよ。打撃戦になれば、村田が有利。あの右がヒットすれば勝機は十二分にある。村田が勝つと見ますね」

試合まで、残すところ2日となった。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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