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連覇を狙う臙脂色の名門

林壮一ノンフィクションライター
元Jリーガー、古賀聡監督の手腕に期待(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

昨シーズン、早大サッカー部は関東大学リーグで19年ぶりに優勝した。4連覇中だった専修大を阻んでのVだった。

早大が獲得できる超高校級プレーヤーは、毎年2名。競技実績(全国大会でベスト4、8以上など)、小論文、面接で合否が決まる自己推薦で入学するケースが5〜8名ほど。その他の部員は、一般入試をパスして入学して来る。まさしく文武両道だ。

就任6年目にして、Vを成しえた古賀聡監督は言う。

「プレーもそうですが、人間的にチームのリーダーにふさわしい、人間力を持った選手を求めます。過去の価値観に固執してしまうタイプよりも、吸収する力が大事です。学習する能力がある選手が多いとは思います。ただ、エリートとして育ってきた分、素直に要求を受け入れられない選手もこれまでに多くいました」

<選手としてよりも、人として大きく生きろ>

<真面目にひたむきに、泥臭く戦え>

それが早稲田ア式蹴球部の伝統である。

昨年度の優勝は、4年生の人間性によるものだと古賀監督は言い切る。

某ライバル校の監督は語った。

「一人一人が自分の役割と責任感を理解し、堅実なサッカーをする印象がある。効率よく得点する。ある程度ボールを持たせてはくれるが、フィニッシュはさせてくれない」

この言葉を受けた古賀監督は、「どのチームよりも、熱く、速くボールを奪う、執着して戦う」ことをテーマにしています、と述べた。

「サッカーを通じて人として成長するのではなく、素晴らしい人間がサッカーをするから早稲田は強いんだ、という状態を目指しています。プレーヤーとしての成長の前に、必ず人間性が問われることを伝えますね」 

昨年度のレギュラーメンバーからは、5名が残った。連覇に向け、臙脂色のイレブンはどんな戦いを見せるだろうか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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