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謝罪・無期限謹慎となった広末涼子さん「急転回」W不倫騒動の気になる事柄

篠田博之月刊『創』編集長
大きく報道された18日のキャンドル・ジュンさんの会見(筆者撮影)

 この間、芸能界の大きな話題となったのが、女優の広末涼子さんとレストランオーナーシェフ鳥羽周作さんのW不倫騒動だ。『週刊文春』のいわゆる文春砲が火をつけたものだが、衝撃をもたらした同誌6月22日号には、岸田総理の最側近とされる木原誠二官房副長官の不倫スキャンダルもすっぱ抜かれていたが、広末さんの騒動があまりに波紋を広げたことで、政治家スキャンダルの方はかすんでしまった感もある。

 これがこんなにも大きな騒動になったのは、当初報道を否定していた当事者2人が全面謝罪という急転回の事態になったこと、それを受けてテレビや新聞までもが報道に踏み切ったという事情もある。既に第1弾の報道直後から広末さん出演のCM打ち切りといった影響は出ていたのだが、2人が不倫を否定し、報道が疑惑にとどまり続ければ、ここまで騒動が拡大することにはならなかったかもしれない。当事者が認めたことで一般紙までもが(ウェブニュースが中心だが)報道するという社会的ニュースになった。

「交換日記」の一方的公開(『週刊文春』6月22日号)筆者撮影
「交換日記」の一方的公開(『週刊文春』6月22日号)筆者撮影

当初の否定から一転謝罪という大転回

 なぜ2人が一転して不倫を認め謝罪するという展開になったかといえば、『週刊文春』6月22日号の第2弾記事に2人が交わしていた交換日記が詳細に公開されるという驚くべき事態があったためだろう。2人の全面謝罪はその第2弾発売の前日14日だった。第1弾の記事を読む限り、これを書いた時点で同誌がその交換日記の存在を知っていたとは思えないから、この急転回は、第1弾の報道に対して関係者が反応し、新たな情報を提供した結果と考えるのが普通だろう。

 そしてもうひとつの予想外の展開は、6月18日の広末さんの夫、キャンドル・ジュンさんの会見だろう。芸能事務所に属しているわけではないからと、自分で芸能マスコミに連絡し、当日は受付まで自分で行うという異例の会見だった。しかも、囲み会見で報道陣が矢継ぎ早に質問攻めにするというやり方に陥らぬよう、記者を1対1で椅子に座らせ個別に質疑を行った。

 そういうスタイルも含め、広末さんの夫が話した家族の詳細な話はニュースとなり、情報番組や翌日のスポーツ紙で大々的に報じられた。

 既にジュンさんは広末さんに離婚を迫られたのを機に別居しているそうなので、結果的にそうなった面もあるのだろうが、夫婦の話し合いはなされておらず、自分独自の判断でその会見を行ったという。

タガの外れた感のあるプライバシー報道

 不倫問題というのは当然、家族のプライベートな事柄だから、本当は当事者や家族がしっかり話し合い、その結果として報道への対応も考えていくべきなのだが、現実には報道先行で事態が進んでいくことも少なくない。家族にとって大事な話を当事者の口からでなく、週刊誌などの報道によって知らされるという状況だ。「公」と「私」の倒錯と言うべきこの状況によって心配なのは、当事者が置き去りにされたまま事態が進展していく危険性だ。

 ジュンさんの会見については率直で素朴な物言いを含めて世間にはやや好感を持って受け止められた雰囲気もあるのだが、メディア先行という事態が家族や当事者にとって良いことなのかどうか。

 この何年かの不倫報道で、当事者同士のラインのやりとりなどが一方的にすっぱ抜かれるのは当たり前になってしまった感があるが、こうしたプライバシー報道のあり方はどうなのだろうか。かつてベッキー報道でラインの中身が公開された時には世間も驚きを持って受け止めたが、その後はラインや手紙の公開は当然のものとして受け取られている感もある。

 プライバシー報道については、何やらタガがはずれてしまったという印象が拭えないのだが、それを考えるために今回の騒動を少し細かく振り返ってみたい。

 例えば、さすがにこれはまずいのではという印象を抱いたのは、昨年末から起きた篠田麻里子さんの不倫騒動だ。これについては当時、ヤフーニュースで記事を書いた。

https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20230109-00332110

元AKB篠田麻里子さんめぐる不倫スキャンダル報道は、どう見ても行き過ぎではないのだろうか

 週刊誌の不倫スキャンダルが当事者双方のある種の思惑の手段として使われるというのはもちろん以前からあったことだが、メディアを経由することでプライベートな問題は社会性を帯び、相手に対する社会的制裁という側面も加わる。歯止めを失うと、これはいろいろな問題を生起することになるのは明らかだ。プライバシー報道のあり方については、そろそろ真剣な議論がなされるべき時期ではないかと思う。

第1弾に対しては「絶対にありません」と否定

 そんな思いを念頭に置いて、現在までの広末さんの不倫騒動を整理していこう。

 最初の報道は6月8日発売の『週刊文春』6月15日号「“革命児シェフ”と広末涼子W不倫」だった。同記事にも書かれているように、広末さんと鳥羽さんは、5月16日発売の『FLASH』5月30日号にもプライベート写真を掲載されている。「広末涼子『オファー殺到』の美谷間」というこの記事は、2人が特別な関係であることを把握できていなかったようで、どうということはない内容だ。だが、こんなふうに接触する機会をマスコミに補足されていたということは、2人の交際は周囲には知られた事柄だったということなのだろう。

第1弾の6月15日号では当事者は不倫を否定(筆者撮影)
第1弾の6月15日号では当事者は不倫を否定(筆者撮影)

 『週刊文春』の記事には関係者の匿名コメントも掲載され、2人の関係を怪しいとにらんだ同誌記者が尾行や張り込みを行っていたことがわかる内容だ。5月時点で広末さんが事務所関係者に「早く離婚したい」と話していたという証言も書かれている。

 同誌は尾行を続けて2人が一緒にいる写真を押さえ、満を持して6月4日に広末さんを直撃、同時刻に鳥羽さんにも電話取材を行った。

 しかし、「不倫の事実はない?」という記者の問いかけに広末さんの答えはこうだった。

「はあ、ありません! 絶対にありません! 子ども三人いるんです。ありません!」

 きっぱりと不倫を否定したのだった。

 かなりの枚数の写真を掲載しているから、同誌はそれなりの自信を持ってはいたのだろうが、ここで終わっていれば、その後の展開はなかっただろう。

一転して謝罪と「無期限謹慎」処分

 『週刊文春』6月22日号「広末涼子W不倫“交換日記”」は、ある意味、衝撃の内容だった。2人が交わした手紙や交換日記の詳細な中身が公開され、写真も掲載されていたからだ。その内容を前提に同誌が再び2人の携帯を鳴らして直撃を試みたのは6月12日夕方だった。2人とも電話には応答しなかったため、同誌は広末さんの事務所と鳥羽さんに事実確認の質問状を送っている。

 木曜発売の同誌の締切は12日の月曜、校了は13日火曜日だが、校了までに2人からの回答は得られなかったという。しかし、実際には2人は仰天し、対応を相談していたに違いない。『週刊文春』は15日発売の22日号に載せる予定の手紙や交換日記の内容を把握していることを伝えたはずだ。そして発売前日、広末さんはスタッフのインスタグラムで直筆文書を公開、鳥羽さんも自身のツイッターで不倫の事実を認め、謝罪したのだった。

 広末さんの謝罪文は全文、スポーツ紙などでも大きく報じられた。

《鳥羽様のご家族に悲しい思いをさせてしまったこと、辛い気持ちにさせてしまったことを何よりも申し訳なく思っています。

 私自身の家族、3人の子どもたちには、膝をつき合わせ直接、「ごめんなさい」をしました。彼らは未熟な母親である私を、理解し認めてくれました》

 広末さんの夫のジュンさんの会見によると、この騒動がここに至る前に、広末さんが離婚を求めていたことは子どもたちも聞かされていたというが、この展開を子どもたちは果たしてどう理解したのだろうか。広末さんは、子どもたちが「未熟な母親である私を、理解し認めてくれました」と書いているが、実際はそう簡単なことではないように思う。

 所属事務所も、広末さんに対して「無期限謹慎処分」を発表した。既にイメージを第一とするCMについては次々と打ち切りが決まっていたが、今後予定していたテレビの仕事なども白紙になったという。光文社の『STORY』の連載も中止になった。同誌は40代を中心とする女性向けの雑誌で、42歳の広末さんの生き方そのものを雑誌のイメージとつなげていたのだが、さすがに連載をそのまま続けるのは困難と判断したようだ。

夫は日記流出への関与を否定

 その間、芸能マスコミの間で話題になったのは、いったい誰が交換日記などを『週刊文春』に提供したのかということだ。不倫騒動でこんなふうに当事者しか知らないはずの材料が週刊誌などに流出した時は、不倫の被害者にあたる関係者が漏らしたというのが一般的な見方だ。しかもこの場合、情報提供は8日から11日の間になされたと思われる。

 芸能マスコミが注目したのは、11日の福島県での震災復興支援イベントでキャンドル・ジュンさんがこんな意味深なコメントをしたことだった。「自分自身の家族は今、大変なことになってます。しっかりとこの後、けじめをつけますので皆さんお楽しみに」

 18日の会見の時に、「報じられた手紙や交換日記は、ジュンさんが公開したという話もあるが」と聞かれたジュンさんは、交換日記のことは「一部は知っていた」としながらも、自分が公開に関わったという点については「それはないです」と否定した。

 ジュンさんは、会見のなかで、自らこの問題を解決しようと鳥羽さんのもとを訪れたが会えなかったという話をしているし、報道各社に送った会見についての文書では「この記者会見を終えましたら、プライベートに関することに関してはすべてノーコメントを貫きます」と書いていたという。報道に伴うリスクも把握しているのだろう。会見でも、さらなる報道やネットでの誹謗中傷がなされれば「次は私が命を絶とうと思います」と語っていた。

 プライバシーが公開されることのプラスマイナス、マスコミ報道の危うさも理解したうえで、覚悟を持って行動を起こしたジュンさんの行為が、家族や当事者同士にどんな影響を及ぼすことになるのか。もしかするとその詳細は報じられることはないのかもしれない。何よりも心配なのは3人の子どもたちへの騒動の影響だが、果たしてどうなるのか。

 当事者たちが納得のいくような形で騒動が収束することを期待したいが、一方で、報道する側もいろいろなことを問われている気がしてならない。

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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