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「日本に行かなくても食べられるのが嬉しい」。意外に多い日本スイーツの韓国進出

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
スイーツは笑顔を呼ぶ(ペイレスイメージズ/アフロ)

韓国の友人との雑談で知ったのだが、韓国の女性たちの間で日本のパンケーキ専門店が人気らしい。

以前、韓国のSNSで「日本の有名パンケーキ店で“虫テロ”の被害に遭った」という書き込みが波紋を呼んだことがあるが、そんなネガティブ意見は今やどこ吹く風。パンケーキを楽しみに日本にやって来る韓国人観光客もいるという。

(参考記事:「東京のパンケーキ店で虫テロに遭った」という韓国人観光客の書き込みが波紋

日本でもパンケーキが人気で、ハワイ発の「エッグスンシングス(Eggs'n Things)」やシドニー発の「ビルズ(bills)」など世界中の名店が次々と日本で出店しているからだろうが、日本発のパンケーキ専門店も人気だという。

なんでも1月25日には日本で人気のパンケーキ専門店が韓国初上陸を果たすらしく、それが多くのメディアで取り上げられたというのだから相当なものだ。

その店は「日本旅行の際に食べるべきデザート」として口コミが広がり、韓国のネットユーザーたちの間では日本が生んだ“奇跡のパンケーキ”とも呼ばれているらしい。

気になって店名を韓国のポータルサイトで検索してみると、「もうわざわざ日本に行かなくても済むのが嬉しい」「私の人生最高のパンケーキ、韓国へようこそ」といった書き込みが多数見受けられた。

「東京で食べた時、感動のあまり涙を流してしまった」というものまであったのには驚いたが、韓国の人々の日本スイーツ好きを感じたのは、今回が初めてではない。

過去に「いちご大福」ブームが巻き起こったときは、行列は苦手なはずの韓国人たちが、出来上がり時間に合わせて店頭に長蛇の列を作る風景も見られた。

昨年は、日本のコンビニでお馴染みの「もちロール」ブームが起き、韓国コンビニ大手のCUが日本のローソンから直輸入。20万個がたった10日で完売したこともあった。

日本を訪れる韓国人観光客たちがかならず買っていく日本の商品には、もともと日本のさまざまな種類のお菓子がランクインしているが、日本のお菓子やスイーツは韓国でも人気なのだ。

(参考記事:韓国人観光客が必ず買っていく「日本の商品」BEST 7

そんな中で今回の日本のパンケーキ専門店の韓国初上陸の話を聞いて、いろいろ調べてみると、意外にも韓国に進出している日本のスイーツ店は多かった。

例えば、焼きたてチーズタルト専門店「ベイク チーズタルト(BAKE CHEESE TART)」や、同じくチーズタルト専門店「PABLO(パブロ)」、アップルパイ専門店「RINGO」(韓国での名称は「RAPL」)、「クロッカンシュー ザクザク」「小樽洋菓子舗ルタオ」などなど。

どの店も味のクオリティの高さはもちろん、スタイリッシュな内装デザイン、そして希少性などが相まって大評判らしい。韓国には日本の外食チェーンも多数進出しているが、スイーツ専門店も韓国進出を果たしているのだ。

そして、そういった食文化の交流を聞くと不思議と気持ちが和む。ただでさえ日韓関係の悪化が叫ばれ、ギスギスした空気が漂うせいかもしれないが、日本と韓国の人々が同じものを食べ、同じように「おいしい」と言える間柄であることに、妙な安堵感も覚える。

何れにしても、日本発のスイーツが韓国で愛されるのは、喜ばしいことだ。たかがスイーツであっても、日韓は「ハンソッパブ(同じ釜の飯)」を食べた仲になれるのだから。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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