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プレミアリーグ開幕。ソン・フンミンがトッテナム主将に選ばれた理由を韓国はどう見ているのか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
ソン・フンミン(写真:ロイター/アフロ)

韓国サッカー界のスーパースターにして今やアジアを代表するサッカー選手となったソン・フンミンが、今季は名実ともにトッテナムの“アイコン”となる。

昨日から開幕したイングランド・プレミアリーグに合わせて、トッテナムは公式サイトに「ソン・フンミンをキャプテンに任命した」と発表した。

「韓国代表の主将でもあるソン・フンミンは2015年8月にレバークーゼンから加入して以降、トッテナムで9回目のシーズンを迎えようとしている。ソン・フンミンは2019-2020シーズンのバーンリー戦でのワンダーゴールでFIFAプスカシュ賞を受賞し、2021-2022シーズンには23ゴールでゴールデンブーツ(得点王)を獲得した。昨シーズンはEPL通算100ゴールを決めた初のアジア選手になった」(トッテナム公式サイト発表の和訳)

これと併せてソン・フンミンも公式サイトを通じてコメント。

「とても大きなクラブのキャプテンを任されてとても光栄だ。とても誇らしい瞬間でもある。僕はすでに選手たちにピッチの内外で皆がキャプテンのように意識しなければならないと伝えた。新しいシーズンの新しいスタートだ。このユニフォームとキャプテンマークのためにすべてを捧げる」

昨季は負傷に悩まされ苦しんだ部分もあったソン・フンミンだが、今季はプレシーズンから好調。韓国ではこの夏、イ・ガンイン(パリ・サンジェルマン)、キム・ミンジェ(バイエルン・ミュンヘン)など新たにビッグクラブに移籍した選手が話題になったが、依然として最大級の関心が集まるのは韓国代表のキャプテンを務めるソン・フンミンであることは疑いの余地はない。

(参考記事:「日本に彼らのようなワールドクラスは…」韓国人選手のビッグクラブ入りに見る“脱アジア”の可能性)

そのソン・フンミンがトッテナムでもキャプテンを務めることになった背景には、チーム事情もあるだろう。

これまでキャプテンを務めてきたGKウーゴ・ロリスの退団が濃厚で、ロリス不在時にはゲームキャプテンを務めていたハリー・ケインは8月12日にバイエルン・ミュンヘンに移籍した。そこで今季からトッテナムの指揮を執るアンジェ・ポステコグルー新監督が任命したのが、ソン・フンミンだった。ポステコグルー監督はトッテナム公式サイトを通じて次のようにコメントしている。

「ソン・フンミンはピッチ内外で素晴らしいリーダーシップを発揮しており、新しいキャプテンとして理想的な選択だ。私たちは皆、彼が世界的な選手であることを知っており、ロッカールームの誰からも尊敬されている。人気のために選んだのではない。彼が成し遂げた成果がある」

この発表を受けて今朝から大々的に報じるのが韓国メディアだ。

「トッテナム、ソン・フンミンをキャプテンに任命…海外でも“キャプテン・ソン」(一般紙『東亜日報』)

「ソン・フンミン、11年ぶりに韓国人プレミアリーグ主将に」(テレビ局『TV朝鮮』)

「レジェンドの道は続く…ソン・フンミン、トッテナムのキャプテンに」(スポーツ新聞『スポーツソウル』)と、多くのメディアが大々的に報じている。

韓国人のプレミア主将はパク・チソン以来。何が違う?

2018年ロシアW杯以降、キャプテンマークをその腕に巻いてきたソン・フンミン。韓国人選手がプレミアリーグのキャプテンを務めるのは、同じく韓国代表のキャプテンだったパク・チソン(2014年6月に引退) 以来2人目となる。

ただ、ふたりの状況はやや異なる。マンチェスター・ユナイテッドで活躍したパク・チソンだが、キャプテンマークを着けたのはマンUの次に選んだQPRレンジャーズ(2012年-2013年シーズン)だった。

対してソン・フンミンはプレミア進出後トッテナム一筋で、そのトッテナムでキャプテンにまで上り詰めた。『スポーツソウル』サッカー班記者がいう。

「パク・チソンの場合は韓国代表から引退してキャリアの晩年にあり、当時のQPRもプレミア昇格したばかりの新興クラブだった。対してトッテナムはプレミアの“ビック6”のひとつであり、ソン・フンミンはプレミア進出以降、トッテナム一筋。文字通り強豪クラブで一から信頼を勝ち取り、リーダーシップも評価された証と言っていいでしょう。年齢的にも選手として全盛期にあるソン・フンミンが、今度はトッテナムのキャプテンとしてどんな活躍を見せるのか。期待は高まるばかりです」

そんなソン・フンミンが属するトッテナムの今季開幕戦は、敵地で行われるブレントフォード戦。日本時間で8月13日22時にキックオフされる。

韓国だけではなくアジア出身プレミアリーガーとして、さまざまな記録を塗り替え、記憶にも残る活躍を見せてきたソン・フンミン。今季は強豪クラブのキャプテンとしてそのリーダーシップにも注目が集まりそうだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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