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Jリーグ経験者の青年監督がKリーグで快挙。G大阪、柏で活躍のパクはいま…

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
今年6月、取材に応じたパク・ドンヒョク監督(写真=著者撮影)

韓国Kリーグ2(2部)の忠南牙山FCで監督を務める元Jリーガーが、通算指揮試合数で大台に達した。

忠南牙山は8月26日に行われた金泉尚武とのKリーグ2第28節で0-4と敗れた。結果は大差の敗戦となったが、チームを率いるパク・ドンヒョクがこの試合でKリーグ通算200試合目の指揮を達成した。

パク・ドンヒョクは1979年4月18日生まれの44歳。現役時代は1998年の第31回アジアユース選手権や2000年のシドニー五輪などに出場し、2008年のKリーグ年間ベストイレブンにも選ばれた。

(参考記事:日本と韓国のサッカー黄金世代が語り合った伝説の“チェンマイの夜”【完全再現】)

2009年にガンバ大阪に加入すると、同年夏からプレーした柏レイソルでは2010年のJ2リーグ優勝、2011年のJ1リーグ優勝を経験し、2014年シーズン限りで現役を引退した。

引退後は蔚山現代のスカウトやコーチを経て、2017年に兵役の代替制度である義務警察のチームだった牙山ムグンファ(忠南牙山の前身)のコーチに就任。翌2018年より監督に昇格し、当時Kリーグ最年少の39歳という若さながらチームをKリーグ2優勝に導き、自身も最優秀監督賞を受賞した。

結局、義務警察制度の廃止によって1部昇格の資格は剥奪されたが、チームが2020年より地方自治体が運営する市民クラブ「忠南牙山FC」に生まれ変わると、パク・ドンヒョクは初代監督として指揮を継続。チーム年俸総額が最下位レベルという限られた戦力のなかでも、昨季には市民クラブ転換後最高順位の11チーム中6位という成績を残した。

今季は25試合消化時点で8勝6分11敗の勝ち点30とし、13チーム中10位と下位に位置しているが、前身の牙山ムグンファ時代から率いて6年目となる指揮官にはクラブやサポーターの支持も厚い。

「兄貴分的リーダーシップ」と呼ばれる統率力はもちろん、無名の発掘と育成に長けた指導力も評価され、一時はU-20やU-23など世代別韓国代表の新監督候補に挙げられたこともある。

写真提供=韓国プロサッカー連盟
写真提供=韓国プロサッカー連盟

200試合指揮達成に際し、クラブを通じて「現在の地位に安住することなく、継続的に発展できる指導者になりたい」とコメントしたパク・ドンヒョク。今後も監督として実績を積み重ね、将来的にはJリーグの舞台で采配を振るう姿も見てみたいところだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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