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魅惑の“マッスル美女軍団”で中国進出も目論む韓国の皮算用

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
イベントで入賞したマッスル美女たち(写真:SPORTS KOREA)

“マッスル美女”ブームで沸く韓国で、新たなイベントが開催された。その名も『HTVコリアフィットネススター・チャンピオンシップ大会』。7月2日にソウル市内のイベントホールで行われた。

韓国では近年、“奇跡のDカップ女神”ユ・スンオクの出現によって一躍有名になった『マッスルマニア』や、あのアーノルド・シュワルツェネッガーなども輩出したNABBA(全米アマチュアボディビルディング協会)主催の『NABBA コリアグランプリ』など多数のボディビル・コンテストが行われているが、『HTVコリアフィットネススター・チャンピオンシップ大会』は初めての開催にもかかわらず参加者の数は300人を超えたという。

この事実だけでも韓国の“マッスル”ブームの盛り上がりを窺い知ることができるが、その参加者たちがマッスルスター(ボディビルダー)、マッスルクイーン、フィジークスター(ビーチマン)、モデルスター(スポーツモデル)、ビキニスター(ビーチウーマン)、ポールスター(ポールダンス)の6部門で、互いの健康美とボディラインを競い合う本気度が凄い。まさに女性らしさを保ちつつ日々のトレーニングで“鋼の美ボディ”を作り上げた“マッスル美女”たちのオンパレードだったようだ。

(参考記事:写真20連発!! 韓国ソウルで行われた“マッスル美女”たちの大会がド迫力!!

韓国の市場調査会社が全国の20〜60代の男女1000人を対象にした『健康および外見管理トレンド』調査によると、「顔よりもスタイルが良い人が羨ましい」と答えた人が60.8%もおり、2人に1人が「多少の費用がかかってもスタイル管理に投資したい価値がある」と答えたそうだが、そうした韓国人の意識が“鋼の肉体”に向けられていることを、改めて示したとも言えなくもないだろう。

ただ、昨今の“マッスル”ブームの牽引者となった“奇跡のDカップ女神”ユ・スンオクや、“脱アジア級の美ボディ”レイヤンなど、すでにタレント化している有名“マッスル美女”たちの出場はなかった。

強いて有名どころの参加者を挙げれば、『NABBA コリアグランプリ』入賞経験者として招待された“国宝級ヒップラインのビキニ女神”シム・ウトゥクや、この夏ブレイクした “才色兼備の美肌ピラティス伝道師”ヤン・ジョンウォンの実の姉でアナウンサーとして司会を務めたヤン・ハンナくらいである。

日本女子プロゴルフツアーの昨季賞金女王で日本でも人気絶大の人気プロゴルファーと同姓同名の“マッスル美女”も現れるなどユニークな話題もあったものの、新たな“マッスル・クイーン”の誕生とはいかなかった。

(参考記事:人気プロゴルファーのイ・ボミと同姓同名の“マッスル美女”にスターの予感!?

ただ、それでも関係者は今回のイベントが大成功だったと自信をのぞかせている。その理由のひとつに挙げているのが、中国の関心だという。今回のイベントを視察するために、中国でフィットネス事業を展開する事業家たちが韓国を訪れたらしい。それを知ったメディアが「HTVコリアフィットネススター、中国に韓流フィットネスを伝播するか」という記事も掲載したほどでもある。

本欄で以前も紹介したが、ダイエット&フィットネス市場でも世界で韓流ブームを起こしたいという願望が韓国の業界内にあるだけに、このニュースはポジティブに受け止められている。

まして関心を示したのは、ダイエット&フィットネス市場が右肩上がりで成長している中国。新華社通信によると、中国70都市でフィットネスジムに通っている人の割合は、2011年から2015年にかけて年間400~500万人のペースで増加しているという。

そんな中国に韓流ダイエット&フィットネスのノウハウを売り込めれば、ビジネス・チャンスも広がる。

実際、かつて日本で”モムチャン・ダイエット“を大流行させたチョン・ダヨンはいち早く中国進出を果たしており、成功を収めているらしい。一部の関係者たちの間では、中国を皮切りに日本にも韓流ダイエット&フィットネスを流行させたいという思惑もある。「ドラマやK-POPといった韓流コンテンツの成功に倣い、日本攻略こそが世界市場進出への足かがりになる」と語るフィットネス・トレーナーもいるほどでもあるのだ。

(参考記事:“モムチャン・ダイエット”で日本でも一世を風靡したチョン・ダヨンは今どこで何をしているのか

韓国業界関係者たちにとって、“マッスル美女”たちを韓流フィットネスの“アイコン(象徴)”とし、その“マッスル美女”たちが一堂に集まる各種ボディビル大会やイベントを、最高のショウケースにして世界進出を目指す韓流ダイエット&フィットネス。はたしてその思惑通りに行くだろうか。韓国の“マッスル”ブームは今、新たなステージを迎えようとしているのかもしれない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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