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「大会軽視」と批判される日本。毅然と反論しつつも、唯一、弱みがあるのは……

清水英斗サッカーライター
調整中の日本代表(写真:ロイター/アフロ)

平均年齢22.3才。やはりと言うべきか。東京五輪世代を主としたチームで、コパ・アメリカに出場した森保ジャパンは、南米側から「大会軽視」と批判を受けている。

ベネズエラのラフェエル・ドゥダメル監督は「U-23の選手を多く連れてきて、大会を軽視している。日本のようなゲストチームには賛同できない」と日本を名指しで、不満を示した。パラグアイのエドゥアルド・ベリッソ監督の場合、「アメリカ大陸のチームがプレーすることでコパ・アメリカは意味を成す」と、他大陸からゲストチームを招待すること自体に、異論を述べている。

基本的に南米サッカー連盟は、加盟国が10しかないため、国際大会を開くためのチーム数が足りない。きりも悪い。そこで2つのゲストチームを加え、12カ国でコパ・アメリカを開く。それが通例だ。

今回はアジアから、日本とカタールが招待を受けたわけだが、万全のA代表を送り込んだカタールに対し、日本は若い五輪世代を送り込んだために、上記2人の監督に限らず、南米メディアからも批判されている。

しかし、エクアドル戦前の記者会見で、森保一監督が反論したように、日本にとってはどうにもならない問題でもある。フルメンバーを揃えたいのは山々だが、所属クラブの了承が得られないのだ。コパ・アメリカは、日本にとっては異なる連盟の大会であり、選手の招集を強制できない。

アジアカップ直後の今年2月、森保監督は欧州クラブを歴訪し、コパ・アメリカに選手を招集するべく説明に回り、理解を求めた。ところが、結果は当然NG。結局、呼ぶことが出来たのは、岡崎慎司、川島永嗣、柴崎岳、中島翔哉のほか、堂安律を除くU-22世代の海外組だけだった。

南米側の気持ちはわかる。だが、日本としても最大限の努力と交渉をした上で、今回のメンバーにたどり着いた。「理解してほしい」と、森保監督は記者会見で南米メディアに事情を説明している。

日本の主張の弱みは……

森保監督の主張は、当然だろう。Aマッチデーではない期間で、さらに異なる連盟の公式大会。日本の立場からベストメンバーを派遣することが困難であることくらい、招待する南米側も初めからわかっているはず。何を今さら、という感は正直ある。

ただし、日本にとって唯一、ツッコミを受けると弱い点もある。それは、このコパ・アメリカの期間中、Jリーグを中断しなかったことだ。

J1の試合が通常通りに行われているため、コパ・アメリカに関しては、欧州クラブだけでなく、Jクラブも、U-22の選手以外は派遣を渋った。いや、難色を示すのは当然だ。優勝や降格がかかっているのに、主力を3節以上にもわたって抜かれれば、クラブにとっては致命傷になりかねない。

だったら戦力の不均衡が生まれないように、一律でJ1を中断するしかない。もっとも現在の日本代表は、海外組の比率が多いため、たとえJ1を中断しても、フルメンバーとは言い難い。とはいえ、さすがにC代表だの、研修生チームを出しただのと、揶揄されることはないだろう。

日本は国内リーグを中断せず、コパ・アメリカに参加した。この点に関してだけは、「コパ・アメリカを軽視している!」と怒られても、返す言葉がない。

そんな日本とは違い、カタールの場合は、そもそもA代表に国内クラブの選手が多く、その国内リーグも秋春制であるため、今はオフシーズンだ。コパ・アメリカでフルメンバーを組むのに、障害が少なかった。対照的に日本は、コパ・アメリカでフルメンバーを組もうとすれば、障害だらけ。そこで五輪チームを送り込んだために、批判の的になってしまった。

 

ただ、今回に関しては、これでもいい。日本はU-22世代+オーバーエイジ数名を派遣したことで、東京五輪に向けた最高の準備が、コパ・アメリカで出来ている。「軽視!」の批判は甘んじて受けつつ、今回だけは、着々と自国五輪に向け、準備をさせてもらったほうがいい。もし、日本が金メダルを取ることがあれば、南米大陸に足を向けて寝られないだろう。

しかし、今後はどうか。毎回毎回、サッカー界においてそこまで五輪が大切かと言えば、そうではない。継続的にコパ・アメリカに参加することを優先すれば、五輪チームではなく、国内リーグを中断し、可能な限りのメンバーを集めることが不可欠だ。

もちろん、J1を中断すれば、他の月が過密日程になる。昨年もワールドカップイヤーで、真夏の連戦に苦しんだのに、2年連続で過密日程を引き受けるキャパシティーが、果たしてJリーグにあるか。これも難しい。今後の課題になるだろう。

今回受けている世俗的な批判は、気にするほどのことではない。仮に日本がフルメンバーを送り込んだところで、3敗すれば、「日本は、アジアは、コパ・アメリカにふさわしくない」と揶揄されたに違いない。裏を返せば、五輪チームであっても、勝てば、風向きが変わる。実際、2-2で引き分けたウルグアイ戦の後は、日本を称賛する声も増えた。フルメンバーだろうと、五輪メンバーだろうと、究極的には結果でねじ伏せる。それがこの世界の掟。25日に行われるエクアドル戦、勝てばいい。それだけだ。

だが、そうした今回の評判云々ではなく、将来的に日本のサッカーが、コパ・アメリカへの参加をどうスケジュールに位置付けていくか。これは議論が必要。長期的な視点が求められる。

サッカーライター

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合を切り取るサッカーライター。新著『サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点』『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』。既刊は「サッカーDF&GK練習メニュー100」「居酒屋サッカー論」など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材に出かけた際には現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが最大の楽しみとなっている。

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