確認しよう!「風邪で欠勤しても、罰金を払う義務は無い」

風邪を引いたらアルバイトは休みましょう!(写真:アフロ)

セブンーイレブン加盟店で、アルバイト学生が風邪で病欠したところ罰金・給与天引きしたことが、大きく報道されています。

コンビニエンスストア最大手、セブン-イレブンの東京都武蔵野市内の加盟店が、風邪で欠勤したアルバイトの女子高校生(16)から9350円の「罰金」を取っていたことが分かった。セブン-イレブン・ジャパンは「労働基準法違反に当たる」として、加盟店に返金を指導した。

出典:毎日新聞記事

法律的な問題を整理しよう(3つの違法)

このケース、複数の違法行為があるのですが、一番問題なのは

風邪で病欠しても罰金を払う義務はない!〔違法1つめ〕

のに、罰金を払わせていることです。

病欠しても罰金を払う必要は無いという、当たり前の結論です。

労働者が使用者に対して「罰金」を支払う義務が発生するのは、何かしら法的根拠が必要です。

ですが、このケースは、記事を読む限りだとそもそも、法的根拠らしきものすらなさそうです。

ちなみに、仮に法的根拠らしきもの(例えば、病欠で罰金を払う約束をした書面)があったとしても、間違いなくこのケースは無効になります(無効となる根拠の一例は、損害予定の禁止を定めた労基法16条)。

非常識な内容でも、労働者に約束させれば正当な法的根拠となるわけではありません。

またこのケースが問題なのは、

罰金の払わせ方(=給与天引き)〔違法2つめ〕

です。

給与の天引きは、労基法24条に反して違法です。基本的に、給与天引きは許されません。

親会社セブン&アイ・ホールディングスの広報センターは、こんなコメントを残しています。

広報センターの担当者は毎日新聞の取材に「加盟店の法令に対する認識不足で申し訳ない」と話した。「労働者に対して減給の制裁を定める場合、減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が賃金総額の10分の1を超えてはならない」と定めた労基法91条(制裁規定の制限)に違反すると判断したという。

出典:毎日新聞記事

このコメントは、間違っているとは思いませんが、このケースの本質を踏まえたものではありませんし、誤解を生みかねないといえます。

このケースが労基法91条違反であるのはその通りです〔違法3つめ〕。ですがが、労基法91条は、そもそも「減給」(=本件では「罰金」)が認められることを前提に、その限度額を規定した規定。ですが、このケースで最も重要なのは、病欠しても罰金を払う義務はない、ということ。1円も払う必要は無いのですから、限度額の問題はこのケースで全く重要では無いのです。

この広報センターのコメントを読んで、「罰金は払わせても良いが、金額が大きすぎただけ」と勘違いしていただきたくはありません。

大切なのでもう一度。病欠を理由に、たとえ1円だって罰金を払う義務はありません

社会的な問題

このケースを、単に特定のコンビニで起きた異常な問題だと捉えて欲しくありません。「ブラックバイト」という言葉が生まれるほど、学生アルバイトは数多くの違法行為を強いられていてます(例えば、強制買取、シフト強要など)。

学生のアルバイトは、年齢が若く社会経験のなさから、一般の社会人よりも違法な働き方を押しつけられやすく、しかも泣き寝入りを強いられがちです。ワークルールの知識がないと、自分が被害者(違法な働き方をさせられた)ことさえ、認識できず、被害を社会の厳しさであるかのように誤解して受け入れされかねません

こういったケースを放置していると、こんな学生アルバイト経験者が社会人になり、その後のブラックな働かされ方を受け入れてしまう土壌を作り出します。学生アルバイトが、ブラック企業の登竜門になりかねないのです。

こういった被害で泣き寝入りしないようにするためには、まずは自分の働かされ方が違法だと認識することが必要です。学生時代から、誰もがきちんとしたワークルール教育を受けられる機会をつくることが重要です。

実は、この国会でワークルール教育推進法が成立しワークルール教育を進める起爆剤となるのではと期待されています。

真の「働き方改革」実現のため、ぜひこの国会で成立させて欲しいです。