2.5次元ミュージカル『テニスの王子様』や『ハイキュー!!』で人気となり、今では大劇場でのグランドミュージカルにも次々と起用されている注目の俳優・木村達成(たつなり)さん。昨年上演の『プロデューサーズ』では、女装のゲイ役に挑戦し、新境地を開拓。ハマリ役だと高い評価を受けた期待の若手俳優から飛び出した野望とは!?

-ここ数年、本当に多くの舞台で活躍されていますね。俳優になるきっかけは?

 将来を想像して、自分には表に立つ仕事の方が合っているんじゃないかと思ったのがきっかけです。事務所に所属して最初のオーディションが、若手の登竜門といわれる『テニスの王子様』でした。それに受かって、18歳で海堂薫役でデビューしてからは、舞台にのめり込んでいきました。

-『テニスの王子様』をやって、『NARUTO-ナルト-』『ハイキュー!!』と2.5次元の世界に入っていったんですね。

 そうです。2.5次元の世界は確立されていますからね。共演者は同年代が多くて、女性がいない現場だったので、高校の男子の部室みたいでした。他愛もない話をしてふざけ合って、まさに青春。充実してました。

-女性ファンがたくさんついてくれましたね。

 戸惑いはあったけど、あんなにチヤホヤされるのは初めてで(笑)。とてもうれしかったです。ファンレターはかなりいただきました。原作があるシーズン物で、僕の前にも多くの方が演じてきたので、「誰々はこうやってました」とかダメ出しももらいました。でも、「木村君のこのシーンがよかった」というのは、本当に励みになりました。

-そこからどういう経緯でグランドミュージカルに?

 2.5次元をやっていた頃、ミュージカル関係者が「ボイストレーニングを受けてみたらどうか?」と声をかけてくださったんです。気がついたら、『ラ・カージュ・オ・フォール』(鹿賀丈史と市村正親が夫婦役を演じるミュージカル)への出演が決まっていました。

 最初からすごい作品に参加することになったんですが、今でも感謝しているのは、素敵な人たちにめぐり会えたこと。鹿賀さん、市村さん、森公美子さん…言い切れていないけど、素敵な方々に最初に出会えたのが本当によかったです。

-それまでいた世界とは違いましたか?

 違うといえば違うし、初めてづくしで緊張の連続でした。『ラ・カージュ・オ・フォール』は長く続いている作品だから、今回はどんなジャン・ミッシェル(主人公の息子役)なのかと品定めされている感じで怖かったです。

-昨年上演の『プロデューサーズ』は高い評価を受けていましたね。手応えがあったのでは?

 『プロデューサーズ』で演じたカルメンは、女装のゲイ。強烈なビジュアルでしたが、外見から役に入ることに抵抗がない2.5次元から来た自分にとっては、その辺は強みだったかもしれません。手応えですか?全然ないです!あれで正解だったのかも分からないし、今後、「この路線でいける」という自信にもなってないです。

 世界観としては、映画『プラダを着た悪魔』をイメージしていましたけど、演出の福田雄一さんには「気持ち悪い動きをして」くらいしか言われなくて。だから、稽古場では自分の中で最大限気持ち悪いと思われる動き(歌舞伎の六方と欽ちゃん走りを足して2で割ったような独特な横歩き)を、何パターンもやりました。まさか、それが褒められるとは。「よかった」という感想は確かに聞きましたけど、実感がないからか、からかわれていると思っていました。次にああいう役が来たら、もう少し楽しめると思います。

-観劇中、あまりにも細いウエストが気になっていました。

 ウエストは…62cmです。本番の間に66cmから62cmになって、ベルトの穴が3つ開きました。今もベルトが意味をなしてない(笑)。ああいう舞台衣装(体のラインが分かるタイトなニットにパンツルック)だから、グルテンフリーで小麦を抜いたりもしたんですけど、皆さんの前に立ち続けたら、勝手に細くなっていきました。食事は、普段は自炊をしています。ある日は、10時頃にゆっくり起きて、テレビを見ながら朝昼兼用のご飯を作って食べて、夕飯を作ったら19時前までに食べる。ちゃんとしてますよ。

 ちゃんとしてるのに、周囲からは「やべぇ奴」って思われてます(笑)。“あまのじゃく”“お調子者”“破天荒”と言われます。舞台で地方に行って、朝起きたらスニーカーが片方ない。どこかで片方だけ忘れて帰ってきてるんです。ガキですね。マネジャーには「小学生!」って言われてます。でも、小学生は変な見栄も張らないし、中学生みたいにすれてないし、僕、めちゃくちゃ素直ですよ!最初は嫌われることもありますけど、知り合うと最終的には好きになってもらえます。

-今後、やりたい役は?

 こういうのって口に出して言ってもいいんですか?いいのかな、きょうは、思い切って言いますね!『ルドルフ ザ・ラストキス』をやりたいです。2019年に『エリザベート』でルドルフ(皇太子役)をやりましたが、3時間の上演で出演時間が20分なんです。2幕の20分間だけ、主役のようになれるんですけど、『ルドルフ ザ・ラストキス』だと、ルドルフが主役なんです。これまで井上芳雄さんしかやってないんです。やりた~い!!!3年後、30歳でやるのが目標です。

 あとは、言うだけ言わせてください!『ウエスト・サイド・ストーリー』のトニー(主役)、『モーツァルト!』のヴォルフガング(主役)をやりたいです。ミュージカルに来て3年の若者が、腕をブンブン振り回してます!!

 舞台以外にも挑戦していきたいです。とはいえ、以前、『弱虫ペダル』というドラマに出演した時は地獄でした(笑)。朝7時入りで、てっぺん(深夜0時)越えて、タクシーで帰って翌朝5時入り。劇中では自転車を漕ぎながらセリフもあって、運動量が半端じゃなかった。

 環境も違いましたね。舞台だと、お客さんの反応がある、拍手をいただけるんです。拍手って、中毒性があるんですよ。それが映像だと無言ですから、まだ慣れない部分もあります。でも、いろいろなジャンルで、いろいろな“顔”を見せていきたいという目標があるので。

 戦争映画にも出たいです。きのうは何回目かの『ハクソー・リッジ』、おとといは『硫黄島』…と、大体の作品は観ています。僕たちは戦争を経験していない。経験した方も年々少なくなってきている。この悲劇を次の世代に伝えていくことは大切で、若い世代で僕のファンの方が観てくれて、少しでも広まってくれればと思っています。

 2021年は舞台もいくつか控えていますし、ドラマも派手な役ではないけどゲストで出ていたりするので、見つけてほしいです!

【インタビュー後記】

高貴な顔に180cmの長身、ちょっと鼻にかかる声や笑い方はとてもセクシー。それなのに、なぜか母性をくすぐられるような子犬系男子。これが木村さんの印象です。これまでの舞台を含めてもいいイメージしかないのですが、本人は「悪い!悪い!」と完全否定。私が見えていないのか、本人の謙遜なのか、はたまた価値観の違いなのかは謎ですが、今の感覚を持ったタレント性があるのは間違いありません。少し気を抜いてラフに話す、夜のラジオが似合いそうです。

■木村達成(きむら・たつなり)

1993年12月8日生まれ。東京都出身。2012年にミュージカル『テニスの王子様』でデビュー。『ハイパープロジェクション演劇 ハイキュー!!』などに出演して人気となる。近年は『ラ・カージュ・オ・フォール』『ロミオ&ジュリエット』『エリザベート』『ファントム』『プロデューサーズ』などのミュージカルに多数出演。2020年には音楽劇『銀河鉄道の夜』で初主演を務めた。4月末からNHK大河ドラマ『青天を衝け』(第11~13話)、5月にNHK『半径5メートル』に出演。また、4月に舞台『魔界転生』が開幕。6月にも『The Last 5 Years』を控える。