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今さらでもオススメしたい Nintendo Switch「ファミリーコンピュータコントローラー」

鴫原盛之ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表
「ファミリーコンピュータ コントローラー」(※筆者撮影。以下同)

任天堂が運営している有料サービス「Nintendo Switch Online」に加入すると、かつてファミリーコンピュータ(※以下「ファミコン」)やスーパーファミコン、ゲームボーイなどのゲーム機用に発売された懐かしのゲームソフトを、Nintendo Switch本体で多数遊ぶことができる。

加えて同社では「Nintendo Switch Online」加入者限定で、ファミコン用コントローラーのデザインと操作感を再現した「ファミリーコンピュータ コントローラー」を販売している。

「Nintendo Switch Online ファミリーコンピュータ」のゲーム選択画面を表示したところ
「Nintendo Switch Online ファミリーコンピュータ」のゲーム選択画面を表示したところ

筆者は「ファミリーコンピュータ コントローラー」が発売された2018年当時から、かつて慣れ親しんだコントローラーを使ったほうが、Nintendo Switch本体に付属のJoy-Conよりも正確な操作ができる、つまり楽しく遊べると確信していた。だが、お金を払うのも荷物が増えるのも面倒だからと、久しく買わずに放っておいた。

先日、遅ればせながら「ファミリーコンピュータ コントローラー」を購入したところ、筆者の見立ては間違っていなかったと改めて実感した。今さらではあるが断言しよう。「Nintendo Switch Online」でファミコン用ソフトを遊ぶのであれば、本コントローラーを使ったほうが絶対に楽しい。

その理由は、本コントローラーが元祖ファミコンのものと同様に操作しやすいだけでなく、2プレイヤー側のコントローラー「IIコン」に搭載されていたマイクの機能もちゃんと再現しているからだ。

懐かしのマイク機能も再現した「IIコン」
懐かしのマイク機能も再現した「IIコン」

「IIコン」のマイクでしか体験できない遊びも再現

「IIコン」にマイクが搭載されたことで、具体的に何が楽しめるのか? その答えは、数々のファミコン用ソフトに仕込まれた、マイクを利用した遊びが「Nintendo Switch Online」版でも体験できることである。

例えば「ゼルダの伝説」には、ウサギに似た敵キャラクターのポルスボイスを、マイクに向かって叫び続けるだけで瞬時に倒せる裏技がある。まともに戦うと手強い敵を、マイクで一掃したときは実に快感だ。

Nintendo Switch版「ゼルダの伝説」でも、マイクを利用してポルスボイスを倒せる裏技がちゃんと再現されている (C)Nintendo
Nintendo Switch版「ゼルダの伝説」でも、マイクを利用してポルスボイスを倒せる裏技がちゃんと再現されている (C)Nintendo

「スターソルジャー」では、マイクで叫びながら特定の地点にショットを撃ち続けると、ボタンを押したままで自機が超高速で連射できる効果が得られる、隠れキャラクターの「黄金の指」を出すことができる。

また本作には、タイトル画面でセレクトボタン4回、「Iコン」のセレクトとA、Bボタンと十字キーの右、「IIコン」の左を同時に押しながらマイクに叫んでスタートすると、最初から高難度の裏モードが遊べる隠しコマンドも存在する。

「スターソルジャー」では「IIコン」のマイクを使用して、3面の序盤に隠された「黄金の指」を出現させることができる (C)Konami Digital Entertainment
「スターソルジャー」では「IIコン」のマイクを使用して、3面の序盤に隠された「黄金の指」を出現させることができる (C)Konami Digital Entertainment

「光神話パルテナの鏡」では、お店で「IIコン」のAボタンを押しながらマイクに向かって叫ぶと、アイテムの値段を負けてくれる(逆に怒られて値上げされる場合もあるが……)変わった裏技も使える。

「光神話パルテナの鏡」には、マイクに叫ぶとアイテムの値段を変えられる裏技がある (C)Nintendo
「光神話パルテナの鏡」には、マイクに叫ぶとアイテムの値段を変えられる裏技がある (C)Nintendo

上記のほかにも、ゲーム選択画面を表示中にマイクに向かって叫ぶと、プレイヤーのアイコン画像が拡大表示される演出も用意されている。さらにゲーム選択画面では、入力したボタンの種類によって「スーパーマリオブラザーズ3」に使用されたマリオの移動音をはじめ、パワーアップ音、絵合わせ(スロット)の回転音、壁やブロックにぶつかったときの効果音などが鳴るのもこれまた楽しい。

ゲーム選択画面では「スーパーマリオ3」の効果音が鳴る演出なども楽しめる (C)Nintendo
ゲーム選択画面では「スーパーマリオ3」の効果音が鳴る演出なども楽しめる (C)Nintendo

「ファミリーコンピュータ コントローラー」の続報が近日発表?

現在では、レトロゲーム好きを自称する人の多くが、すでに生産やサービスが終了して久しいファミコン用ソフトを、任天堂以外のメーカーが発売した非公認ゲーム機、いわゆる互換機を使って遊んでいることだろう。

あくまで筆者の私見だが、今までに世に出た互換機のほとんどは、残念なことにマイクが搭載されていないため、上記のような方法でマイクを使った遊びを楽しむことができないのが現状だ。

よって「ファミリーコンピュータ コントローラー」を使用すれば、かつてファミコンに夢中になったベテランはもちろん、互換機でしか遊んだことがない若い世代も新鮮な体験ができることだろう。

今から数十年も前に発売されたゲームソフトが、現行のプラットフォーム、つまりNintendo Switchで遊べるだけでもすごいことだが、ソフトだけでなくコントローラーの機能も再現されているのは、過去のゲームを次世代に伝えるアーカイブの観点からも喜ばしい。

「ファミリーコンピュータ コントローラー」を、Nintendo Switch本体にセットした状態でもゲームが遊べるが、この状態ではマイクの機能がオフになるので注意
「ファミリーコンピュータ コントローラー」を、Nintendo Switch本体にセットした状態でもゲームが遊べるが、この状態ではマイクの機能がオフになるので注意

ところで、筆者は本稿を執筆するにあたり、任天堂のホームページをチェックしていたら気になる情報を見付けた。

「本製品は、現在Nintendo Switch Online加入者限定商品ですが、今後一般販売を予定しています。(2024.1.12)」
※任天堂のホームページより引用。本製品とは「ファミリーコンピュータ コントローラー」を指す

なぜ任天堂はNintendo Switch Online専用の、それもファミコン用ソフトを遊ぶためだけに作られたコントローラーを一般販売するのか? その理由は現時点では定かではないが、もしかしたら同社では本コントローラーを利用した新たなサービス、例えばファミコン用ソフトだけが遊べるサブスクなどの準備を進めているのかもしれない。今後の続報には、ぜひとも注目したいところだ。

それにしても、1983年の発売から40年以上の月日が流れたゲーム機が、今なお新たな話題を提供し続けるとは……。ファミコン恐るべしである。

(参考サイト)

・「ファミリーコンピュータ&スーパーファミコン&ゲームボーイ Nintendo Switch Online」(任天堂のホームページ)

ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表

1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などにも参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は「ファミダス ファミコン裏技編」「ゲーム職人第1集」(共にマイクロマガジン社)、「ナムコはいかにして世界を変えたのか──ゲーム音楽の誕生」(Pヴァイン)、共著では「デジタルゲームの教科書」(SBクリエイティブ)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)などがある。

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