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大人気ゲーム「ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム」 遊んで気付いた唯一の”涙目ポイント”

鴫原盛之ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表
「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」のゲーム画面(※筆者撮影)

遅ればせながら、Nintendo Switchの人気ゲームソフト「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」で、筆者は無事にエンディングまで到達した。

本作は、5月12日の発売からわずか3日で世界累計での販売本数が1,000万本を超え、先日公開された任天堂の2024年3月期の第1四半期決算によると、その本数はさらに増えて1,851万本を突破していることが明らかになった。

筆者も本作を発売日に購入し、日々楽しませていただいている。本作は、世界を混乱に陥れたラスボスを倒すことが最終目標となるが、ただフィールド上を歩き回っているだけでも敵キャラクターとのバトル、住人たちとの出会い、アイテム類の収集、隠された祠(ほこら)や洞窟の探索、さらにはイカダ、車、飛行機といった乗り物が自作できるなど、いろいろな遊び方ができるのが実に素晴らしい。

巨大な敵とのバトルシーンより(※筆者撮影。以下同)
巨大な敵とのバトルシーンより(※筆者撮影。以下同)

国内だけでなく、海外の有名ゲームメディアでも、本作は総じてほぼ満点の高スコアを与えている印象で、まさに絶賛の嵐である。筆者も本作のストーリー展開、キャラクターデザイン、バトルの難易度のいずれも特に不満はない。

だが唯一、本作には前作の「ゼルダの伝説 ブレスオブ ザ ワイルド」に比べ、明らかに遊びにくくしているマイナスポイントがあるように思えてならない。

そのマイナスポイントとは、携帯またはテーブルモード、つまり本体内蔵のモニターを見ながらプレイした場合の「文字の読みにくさ」である。

携帯、テーブルモードでも快適に遊べる配慮を

本作では会話の最中に、相手が心の中に秘めた思いや葛藤などのセリフを表示する際に、急にフォントサイズが小さくなったり、文字色が薄くなったりすることがあるが、特に後者の演出のせいで文章が読みにくくなるケースがしばしば見受けられる。

写真ではわかりにくいが、携帯またはテーブルモード時にフォントサイズが小さく、かつ表示色が薄くなると文章が読みにくくなってしまう
写真ではわかりにくいが、携帯またはテーブルモード時にフォントサイズが小さく、かつ表示色が薄くなると文章が読みにくくなってしまう

マップ画面に表示される洞窟などの名称も、最大まで拡大してもフォントサイズがかなり小さいため、読解不能とまでは言えないが正直読みにくい。また、地名は背景色に似た茶色系で書かれているため、文字が背景に溶け込んでしまうのも読みにくい理由の一因である(※ロード中の待ち時間に表示される、各種データでも同様のことが起きている)。

加齢による老眼の進行という、筆者の個人的な理由もあるとはいえ、文字の読みにくさはストレス以外の何物でもない。筆者は前作を軽く200時間以上プレイしているが、文字が読みにくいなどと思ったことは一度もなかったのだが……。

ロード中の画面より。右上に表示される各データの値が、背景色とよく似ているため読みにくい
ロード中の画面より。右上に表示される各データの値が、背景色とよく似ているため読みにくい

この問題は、テレビやPCのモニターに接続するだけで簡単に解決するものだ。だがNintendo Switchは、自宅のテレビにつないで遊ぶ据置機としても、外に持ち出して遊ぶ携帯機としても遊べることを特長とするゲーム機である。よって、本作の文字の読みにくさは本機のコンセプトから逸脱し、携帯およびテーブルモードを軽視している印象をプレイヤーに与えているように思えてならない。

本体内蔵のモニターでも文字がもっと読みやすくなるよう、本作のオンラインアップデートの実施をしてはどうだろうか。また本作に限らず、今後リリースされるすべてのソフトにおいても携帯、テーブルモードでも快適に遊べるための配慮をお願いしたい。

※筆者補足:本稿は、2017年に発売された初期型のNintendo Switch本体で検証したうえで執筆している。

(C)NINTENDO

ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表

1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などにも参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は「ファミダス ファミコン裏技編」「ゲーム職人第1集」(共にマイクロマガジン社)、「ナムコはいかにして世界を変えたのか──ゲーム音楽の誕生」(Pヴァイン)、共著では「デジタルゲームの教科書」(SBクリエイティブ)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)などがある。

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