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胸熱な思い出がよみがえる! ハンカチ必須のスーファミ感動シーン7選

鴫原盛之ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表
「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」ゲーム画面(※筆者撮影、以下同)

今年の11月21日で31周年を迎えた任天堂のゲーム機、スーパーファミコン。発売されて久しいが、今なお移植、あるいはリメイク版が配信されて気軽に遊べるスーパーファミコン用ソフトがいくつもあるのは、本当に喜ばしいことだ。

現在までに、スーパーファミコンでは約1500種類のゲームが発売され、有名、無名およびジャンルを問わずプレイヤーの胸を熱くさせ、涙がこぼれ落ちるほど感動する数々の名シーンや演出が誕生した。

以下、今月14日に掲載した拙稿「今でも遊べて面白い! スーパーファミコンの傑作ソフト7選」に続き、筆者の独断と偏見で選んだ、ぜひ一度は見ていただきたい感動のシーンが登場する、今でも遊べるおすすめの7タイトルを紹介する。

1:「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」(任天堂/1991年)

1986年にファミコンディスクシステム用ソフトとして第1弾が発売されて以来、現在も人気を集めるアクションアドベンチャーゲームのシリーズ第3弾にあたる。作中には、エンディングを筆頭に感動的なシーンがいくつも登場するが、筆者としてはあえてオープニングの場面を推したい。

床に就いていた主人公の剣士リンクは、城の地下牢に閉じ込められたゼルダ姫の助けを求める声を聞いてふと目を覚ます。直後、降りしきる雨の中を駆け抜けて薄暗い城内に入ると、リンクに先んじて敵と戦っていた叔父が倒れており、叔父はリンクに剣と盾を託すと間もなく絶命してしまう。これから大変な冒険が待ち受けることを予感させる、悲しいながらもプレイヤーのモチベーションをぐっと高めてくれる名シーンだ。

リンクはゼルダ姫を救出後、隠し通路を利用して教会へと逃れ、神父に姫を託して外に出ると、ここで初めて元祖「ゼルダの伝説」のメインBGMをアレンジした曲が流れ出し、本格的な冒険の始まりをプレイヤーに告げる演出もこれまた素晴らしい。

敵の弱点や行動パターンを見抜いて倒したり、ダンジョンなどに仕掛けられた数々のトリックを解き明かしたりする楽しさも満載で、今月の21日で発売からちょうど30周年を迎えたが、その面白さは今なお色あせない。

本作はNintendo Switch Onlineをはじめ、Wii Uとニンテンドー3DSのバーチャルコンソールでも配信中で、2017年に発売されたニンテンドークラシックミニスーパーファミコンにも収録されている。

「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」より。オープニングから孤軍奮闘するリンクの姿に心を打たれるシーンが続く(※Nintendo Switch Online版)
「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」より。オープニングから孤軍奮闘するリンクの姿に心を打たれるシーンが続く(※Nintendo Switch Online版)

2:「タクティクスオウガ」(クエスト/1995年)

少数民族の解放軍を率いることになった、少年デニムを主人公とするシミュレーションRPG。

会話イベント中に、プレイヤーが選択した内容によってルートが分岐し、ルートによってエンディングの内容が変化するだけでなく、冒険の途中で仲間に加わる、または味方パーティから離脱するキャラクターが変わるのも特徴で、一度クリアした後でも繰り返し遊べるのも推薦した理由のひとつだ。

仲間たちとの友情を育むシーンや、親子や兄弟同士での裏切りや復讐、虐殺など、さまざまな人種や国の思惑が交錯する会話イベントが随所に登場するのも、本作ならではの大きな見どころ。また、デニムが物語の途中で、今までの行動と矛盾するかのような自身の過去を知らされるシーンは、画面内で思わず両膝を突くデニムとともにプレイヤーも崩れ落ちるほどのショックを受けることだろう。

敵軍ユニットの種類や配置、地形などを頭に入れたうえで、味方ユニットにどんな指示を出すのかを考えながら戦うバトルシーンも実に楽しい。現在はWii U、およびニンテンドー3DSのバーチャルコンソール版で配信されている。

随所で血なまぐさい争いが展開される「タクティクスオウガ」(※プレイステーション版より)
随所で血なまぐさい争いが展開される「タクティクスオウガ」(※プレイステーション版より)

3:「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」(任天堂/1996年)

こちらは現在でも新作が出続けている、シミュレーションRPGの定番シリーズ。本作では、プレイヤーの行動次第で自軍の仲間同士が恋に落ち、やがてその間に生まれた子どもたちが両親の遺志を受け継ぎ、世界の平和を取り戻すべく戦うという、親子2代にわたる物語が描かれている。

本作の見どころは、やはり第5章で主人公のシグルドと多くの仲間たちが敵の罠にかかって命を落とすシーンになるだろう。第6章以降は息子のセリスが主役の座を引き継ぐが、第6章で流れるBGM(曲名は「光をつぐもの」)が、亡き両親たちの遺志を受け継いだセリスたちの決意がひしひしと伝わってくる曲で、鳥肌が立つほど素晴らしい。

シナリオは全11章で構成され、いずれも敵に倒された味方ユニットは原則として二度と復活しない、「ファイアーエムブレム」シリーズならではのストイックなバトルも健在。終章でラスボスを倒し、親子2代にわたる死闘を経てエンディングに到達したときには、必ずや胸が熱くなることだろう。

現在でもNintendo Switch Online版と、ニンテンドー3DSのバーチャルコンソール版が配信中だ。

「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」は、親子2代にわたる感動の物語を堪能できる逸品だ
「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」は、親子2代にわたる感動の物語を堪能できる逸品だ

4:「ヘラクレスの栄光IV 神々からの贈り物」(データイースト/1994年)

ギリシャ神話の世界を舞台にした、コマンド入力方式のロールプレイングゲーム。前回の拙稿で紹介した「ヘラクレスの栄光III」の続編にあたるが、登場人物もストーリーもまったく異なる。

主人公は、かつてアトランティスに住んでいたが、やがて町はアテネ軍によって攻め滅ぼされ、仲間たちとともに恩師アールモアに殺められてしまう、衝撃的なプロローグから物語が始まる。それから9000年後、自らの体を持たない主人公たちは、行く先々で出会う人や動物たちの体に乗り移る、その名もトランスファーシステムを使用して冒険を進めるという、実にユニークな作品だ。

なぜ主人公たちは9000年もの間、魂だけを残して生き永らえたのか? その答えを探すべく、物語の途中で味方に加わる勇者ヘラクレスの協力も得て、神々の住む天界や冥界、海底、時にはペルシアやエジプト(テーベ)にまで足を運ぶことになる、壮大な冒険が楽しめるのも本作の魅力だ。

そしてゲーム終盤、滅ぼされたアトランティスを目指す主人公たちに待ち受ける運命とは? 9000年の時を経て迎えるクライマックスの場面では、大きな衝撃と感動が得られることだろう。Wii Uのバーチャルコンソールで配信中。

「ヘラクレスの栄光IV」より。アトランティスの民が負った過酷な運命が涙を誘う
「ヘラクレスの栄光IV」より。アトランティスの民が負った過酷な運命が涙を誘う

5:「MOTHER2 ギーグの逆襲」(任天堂/1994年)

1989年に発売されたファミコン用ソフト「MOTHER」に続く、コマンド入力方式RPGのシリーズ第2弾。シナリオはコピーライターの糸井重里が手掛け、テレビCMには木村拓哉が出演していたことをご記憶の方も多いことだろう。

コミカルなデザインのキャラクター「どせいさん」との出会いなど、見どころは随所にある作品だが、筆者としてはクライマックスの場面を推したい。ネタバレ防止のため詳しい説明は省くが、主人公の少年ネスたちが世界を救うため、命を投げ出す覚悟でラスボスが待つ最終ダンジョンに挑む悲壮な決意を迫られるシーンは、何度見ても胸を引き裂かれるような思いに駆られる。

クライマックスの場面が非常にショッキングなこともあり、ラスボス戦に勝利した後に流れる、実にほのぼのとしたエンディングの演出を見られたときの充実感と安堵感は格別だ。現在はWii Uとニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで配信されている。

見た目はコミカルだが、衝撃のクライマックスが待っている「MOTHER2」
見た目はコミカルだが、衝撃のクライマックスが待っている「MOTHER2」

6:「ファミコン探偵倶楽部PartII うしろに立つ少女」(任天堂/1998年)

プレイヤーは私立探偵の助手を務める主人公となり、女子高生の殺人事件の謎を解き明かしていくコマンド入力方式の推理アドベンチャーゲーム。元々は1989年に発売されたファミコンディスクシステム用のソフトで、スーパーファミコン版はグラフィックやサウンドを大幅にパワーアップさせたリメイク作品にあたる。

被害者の少女が通っていた丑美津(うしみつ)高校が主な舞台で、スリリングな学校の怪談と殺人事件の推理をまとめて楽しめるところに、本作ならではの面白さがある。事件の核心に迫るヒントが得られたり、物語が進展したりするとキャラクターの表情やBGMが突然変わったりして、恐怖感をぐっと高める演出も秀逸だ。

そして、「うしろに立つ少女」の意味が明らかになるクライマックスのシーンも「ナルホド、そういうことだったのか!」と唸るとともに、思わず目頭が熱くなってしまうことだろう。

現在はWii Uとニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで配信されているほか、今年5月にはNintendo Switch用の再リメイク版も発売された、実に息の長い作品だ。

シナリオ、サウンド、グラフィックスのどれを取っても素晴らしい「ファミコン探偵倶楽部PartII うしろに立つ少女」(※Wiiバーチャルコンソール版)
シナリオ、サウンド、グラフィックスのどれを取っても素晴らしい「ファミコン探偵倶楽部PartII うしろに立つ少女」(※Wiiバーチャルコンソール版)

7:「スーパーメトロイド」(任天堂/1994年)

こちらもファミコン時代から現在に至るまで、長年にわたりシリーズ作品が出続けているアクションアドベンチャーゲーム。ビーム、ミサイルなどで敵を倒しつつ、あちこちに隠されたアイテムや秘密の通路を探し出すところに本作ならではの楽しさがあるが、まるでプレイヤー自身がSF映画の主人公になったような気分にさせてくれる演出もまた素晴らしい。

スタート直後、主人公サムスが敵に襲われたスペースコロニーを辛くも脱出し、宇宙船に乗り込んでゲームの舞台となる惑星ゼーベスへとたどり着くオープニングのシーンを見るだけでも、テンションが大いに高まることだろう。

もうひとつ、筆者が本作を選んだ理由が、冒険の途中で出会う謎の動物、ダチョウのような姿をしたダチョラと、サルに似たエテコーンの両キャラクターの存在だ。どちらとも直接会話をすることはできないが、それぞれ攻略に大いに役立つ特殊なアクションの使い方を、自ら手本を示す形で教えてくれるのが何とも可愛らしい。

惑星が爆発する制限時間までに、宇宙船に急いで戻って脱出を図るクライマックスのシーンはスリル満点。また、ダチョラとエテコーンを救出したうえで脱出に成功するとエンディングの内容が変わり、さらなる感動が得られる粋な演出も必見だ。

先月には、シリーズ最新作の「メトロイド ドレッド」が発売されたが、本作とのストーリーの関連性を比較しながら楽しむのもまた一興だろう。現在でもNintendo Switch Online版のほか、Wii Uとニンテンドー3DSのバーチャルコンソール版でも配信中で、ニンテンドークラシックミニスーパーファミコンにも収録されている。

「スーパーメトロイド」より。緑色のキャラクターが、プレイヤーに貴重なヒントをくれるダチョラだ
「スーパーメトロイド」より。緑色のキャラクターが、プレイヤーに貴重なヒントをくれるダチョラだ

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表

1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などにも参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は「ファミダス ファミコン裏技編」「ゲーム職人第1集」(共にマイクロマガジン社)、「ナムコはいかにして世界を変えたのか──ゲーム音楽の誕生」(Pヴァイン)、共著では「デジタルゲームの教科書」(SBクリエイティブ)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)などがある。

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