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今でも遊べて面白い! スーパーファミコンの傑作ソフト7選

鴫原盛之ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表
「パネルでポン」のゲーム画面(※筆者撮影。以下同)

1990年11月21日に発売され、間もなく31周年を迎える任天堂の家庭用ゲーム機、スーパーファミコン。およそ1500タイトルのゲームが発売され、「スーパーマリオカート」など現在でもシリーズ作品が出続ける数々の名作が誕生した、歴史に残るハードであることは論をまたない。

そんな発売されて久しいスーパーファミコン用ソフトだが、実は今でもNintendo Switchなどに移植されて遊べるタイトルがいくつもある。中には販売本数が芳しくなかったタイトルもあるが、たとえ発売当時あまり話題にならなかったタイトルであっても、今遊んで面白い作品が少なからず存在するのだ。

以下、筆者の独断と偏見で選んだ、今でも遊べてなおかつ今遊んでも面白い、おすすめ7タイトルを紹介させていただく。

1:「パネルでポン」(任天堂/1995年)

隣り合った左右2個のパネルの位置を入れ替え、同じ種類のパネルを3個以上タテまたはヨコに並べて消していくアクションパズルゲーム。ルールはいたってシンプルだが、一度遊び始めるとついついやみつきになってしまう面白さがある。

数あるゲームモードの中でも、筆者が特にオススメしたいのがパズルモード。本モードは、規定の手数(パネルを入れ替える回数)以内で、すべてのパネルを消すとステージクリアとなるルールだ。

一見すると簡単にクリアできそうなのに、いざ遊んでみると正解手順が簡単には見つからない、絶妙のトリックを仕込んだステージが次々と登場する。またパネルの動かし方によっては、同時に多くのパネルをまとめて消去できる、いわゆる「連鎖」が発生する。いっぺんに10個、20個と大量のパネルを消す「連鎖」を完成させたときの快感もすこぶる大きい。

パズルモードは全60面で、全面クリアするとさらに60面が遊べる裏モードがプレイ可能になるサプライズも用意されている。腕に自信がある人は、ぜひ完全制覇にチャレンジしていただきたい。

本作はNintendo Switch Onlineと、Wii Uバーチャルコンソールで配信中で、2017年に発売されたニンテンドークラシックミニスーパーファミコンにも収録されている。

「パネルでポン」のパズルモードより。連作を完成させてクリアしたときの爽快感が格別だ(※Nintendo Switch Online版)
「パネルでポン」のパズルモードより。連作を完成させてクリアしたときの爽快感が格別だ(※Nintendo Switch Online版)

2:「ヘラクレスの栄光III」(データイースト/1992年)

不死身の体の持ち主を主人公とする、コマンド入力方式のロールプレイングゲーム。ギリシャ神話の世界がゲームの舞台で、ゼウスをはじめウラノス、ハデス、アトラスなどの神々が登場し、味方パーティには助っ人として勇者ヘラクレスが加わるのが特徴だ。

主人公と、ヘラクレス以外の仲間たちは過去の記憶を失っているが、冒険を進めていくと少しずつ記憶がよみがえってくる。主人公たちの過去の行動とともに徐々に明らかになる、人間が住む地上界をどのように治めるのか、神々たちの思惑が交錯するストーリーがとにかく面白い。

そして、主人公たちが冒険を続けるそもそもの理由はいったい何だったのか? クライマックスの場面で、あっと驚く衝撃の事実が明かされる演出は必見だ。なお、本作は現在Wii UバーチャルコンソールとプロジェクトEGGで配信されている。

あっと驚くストーリーが必見の「ヘラクレスの栄光III」
あっと驚くストーリーが必見の「ヘラクレスの栄光III」

3:「スーパーパンチアウト!!」(任天堂/1998年)

主人公のボクサーを操作して、3ラウンド以内に相手ボクサーをKOまたはTKOで倒すと勝利となるボクシングゲーム。

反則攻撃を繰り出すマスクマンやカンフー使いなど、およそボクサーとは思えない個性的な攻撃を繰り出す対戦相手が次々と登場し、それぞれの弱点を探しながら攻略パターンを作っていくのがとても楽しい。やり方次第では、30秒もかからずに相手を「瞬殺」することも可能だ。

本作はゲームショップなどの店頭では発売されず、かつて「ニンテンドウパワー」(※コンビニのローソンに設置された「Loppi」を使用してゲームソフトを書き換えるサービス)でのみ発売され、また当時はニンテンドー64が登場して久しいタイミングだったこともあり、メディアやプレイヤー間でもあまり話題にならなかったと記憶している。

しかし、ゲームの出来は掛け値なしにたいへん素晴らしい。Nintendo Switch Onlineで配信されたこの機会に遊ばない手はないだろう。

個性的なボクサーたちとの対戦が楽しい「スーパーパンチアウト!!」(※Nintendo Switch Online版)
個性的なボクサーたちとの対戦が楽しい「スーパーパンチアウト!!」(※Nintendo Switch Online版)

4:「悪魔城ドラキュラ」(コナミ/1991年)

主人公シモンを操作して、ムチなどの武器を使って敵を倒していくアクションゲーム。

スケルトン、フランケン、死神など、怖さと美しさとが同居した敵キャラたちをムチで叩いたり、十字架や斧などを投げ付けて粉砕するのが実に快感で、ムチをリングに引っ掛けてぶら下がったり、遠く離れた足場に飛び移るアクションも楽しめる。

当時のハードでは最新の技術だった、背景やキャラクターが拡大、縮小あるいは回転する演出は見ているだけでも楽しい。ホラー映画をほうふつとさせる、不気味な世界観をさらに引き立てるBGMも秀逸だ。本作はWii Uバーチャルコンソールで配信されている。

美しいビジュアルとサウンドも必見、必聴のスーパーファミコン版「悪魔城ドラキュラ」
美しいビジュアルとサウンドも必見、必聴のスーパーファミコン版「悪魔城ドラキュラ」

5:「スーパーファミリーテニス」(ナムコ/1993年)

弾丸サーブとボレーが得意な「ブンブン」、高速ロビングが打てる「ピロシキノフ」など、それぞれ異なる能力を持った選手を選んで遊べるテニスゲーム。

状況に応じてトップスピンやスライス、ロビングを打ち分けたり、ネット付近にダッシュしてボレーやスマッシュを狙うなど、相手と駆け引きをしつつ、いかにポイントを取るかを考えながらプレイするのが実に面白い。コートの種類によってボールのバウンドや軌道が変わるので、各コートに応じた戦略も求められる。

当時から、本作以外にも能力の異なる選手を使って遊べるテニスゲームはいろいろあったが、相手とボールを打ち合いながらさまざまな駆け引きができる面白さは、本作が抜きん出ていたように思う。1人で遊ぶCPU戦はもちろん、ダブルスやプレイヤー同士での対戦も白熱する、テニスゲームの名作だ。Nintendo Switch Onlineで配信中。

「スーパーファミリーテニス」(※Nintendo Switch Online版)
「スーパーファミリーテニス」(※Nintendo Switch Online版)

6:「コズモギャング・ザ・パズル」(ナムコ/1993年)

L字型に並んだコンテナ(ブロック)またはコズモ(敵キャラ)を操作してフィールド上に積み、コンテナは横のラインに1列並べて、コズモは時折出てくるボールを当てて消していくアクションパズルゲーム。1992年に登場した、同名のアーケード版を移植した作品である。

ブロックだけが落ちてくる「テトリス」などとは違って、本作はコンテナとコズモの2種類が登場することで、コンテナを先に消すのか、それともコズモを先に倒すのかを考えながら遊べる、ほかにはない独特の面白さを生み出している。

特に、コンテナの積み方を工夫してボールが転がる軌道を作り、1個のボールでまとめてたくさんのコズモを倒したときは気分爽快だ。フィールド上のすべてのコンテナとコズモを消すと、高得点の「全消しボーナス」が加算されるなど、いろいろな裏技も用意されている。

本作はWii Uバーチャルコンソールで、元祖アーケード版とともに配信されている。

「コズモギャング・ザ・パズル」(※Wiiバーチャルコンソールアーケード版より)
「コズモギャング・ザ・パズル」(※Wiiバーチャルコンソールアーケード版より)

7:「プロ麻雀 極(きわめ)」(アテナ/1993年)

「日本プロ麻雀連盟推薦」とパッケージに描かれた、発売当時としては珍しかった実在のプロ雀士が登場する麻雀ゲーム。プロ雀士はそれぞれ打ち筋が異なり、最強戦や阿佐田哲也杯など、プロの公式タイトル戦と同じルールで対局できるのが特徴だ。

今となっては笑い話だが、昔の麻雀ゲームはプレイヤー対CPUの2人打ちが当たり前で、本作のように4人打ちができるだけでも貴重だった。また、勝利すると相手の女性キャラクターが服を脱ぐ、いわゆる「脱衣」の要素がないのも当時としては珍しかったように思う。

そんな時代にあって、純粋に麻雀だけを楽しめるようにしたストイックな作風の本作は、今遊んでもなかなかどうして面白い。特に「ムツゴロウ」こと畑正憲氏が創設した、なんと予選25回、決勝10回もの半荘戦の総合成績で順位を競う超長丁場のタイトル戦、その名も「雀魔王戦」が遊べるのも、本作ならではの魅力と言えるだろう。

本作はプロジェクトEGGで配信中で、さらに同プロジェクトでは続編の「プロ麻雀 極II」などのシリーズ作品も配信されている。

プロ雀士たちとのタイトル戦が楽しめる「プロ麻雀 極」(※プロジェクトEGG版より)
プロ雀士たちとのタイトル戦が楽しめる「プロ麻雀 極」(※プロジェクトEGG版より)

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表

1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などにも参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は「ファミダス ファミコン裏技編」「ゲーム職人第1集」(共にマイクロマガジン社)、「ナムコはいかにして世界を変えたのか──ゲーム音楽の誕生」(Pヴァイン)、共著では「デジタルゲームの教科書」(SBクリエイティブ)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)などがある。

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