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『龍が如く 極2』など東京を舞台にしたゲームが一堂に 異例の展示が7月に開催

鴫原盛之ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表
「MANGA都市TOKYO」記者発表会(会場:国立新美術館)にて筆者撮影

国立新美術館は、7月8日から9月22日にかけて展示イベント、「MANGA都市TOKYO ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020」(以下、「MANGA都市TOKYO」)を開催することを、2月26日の記者発表会で明らかにした。

本イベントは、文化庁と独立行政法人日本芸術文化振興会、国立新美術館が主催し、「都市(東京)を映し出してきた日本のマンガ・アニメ・ゲーム・特撮作品と、それらフィクションを注入された現実の『東京』の、複合的体験を提供する企画展示」(※記者発表会の配布資料より引用)するというもので、見どころは下記の4点としている。

  1. 全93タイトルを横断的に展覧が可能
  2. マンガの原画、アニメ・特撮制作資料などを500点以上出品
  3. 1/1000巨大都市模型と、映像による大迫力の展示空間
  4. キャラクターが浸出する大都市、東京の現実を体験できる展示

展示内容は、2018年にパリで行われた「MANGA⇔TOKYO展」とほぼ同内容となる予定とのこと。開催期間を東京オリンピックのタイミングに合わせることでインバウンド需要も見込み、展示パネルは日本語のほか英語および中国、韓国、フランス語にも対応するという。

筆者は当初、タイトルに「MANGA」とあったのでマンガのみを対象とする展示イベントなのかと思っていた。だが、スタッフに尋ねたところ、実は「MANGA」とは「マンガ」「アニメ」「ゲーム」の頭文字を取った造語であり、最初からゲームも出展の対象になっていたとのこと。これらに特撮も含めた日本のポップカルチャーを、フランスでは「MANGA」と呼ぶこともあることから、本イベントのタイトルを決めたそうだ。

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2018年にパリで行われた「MANGA⇔TOKYO展」(写真提供:国立新美術館) (C)MANGA ⇔ TOKYO Japonismes 2018
2018年にパリで行われた「MANGA⇔TOKYO展」(写真提供:国立新美術館) (C)MANGA ⇔ TOKYO Japonismes 2018

東京がゲームに与えた影響や、作中に東京を描いた意味などが学べる場に

では、ゲームを使用したうえで、具体的にどのような展示をするのだろうか?

本イベントでゲーム部門のキュレーターを務める、株式会社ダズの今泉真緒氏にお話を伺ったところ、「展示タイトルは、有識者のみなさんにラインナップのご相談やヒアリングをさせていただいたうえで、約200タイトルの候補のなかから13タイトルを選びました。単に東京の町を背景に描いただけでなく、現実の都市の構造がゲームに反映されたことによって、どんな遊びが生まれたのかを紹介できるものを選んでいます」という。

「例えば『がんばれゴエモン2』は、ゲームの舞台は現実の都市そのものではありませんが、(江戸などの)町並みが横スクロールの画面に描かれ、縦に移動するときは川にかかった橋を渡るというマップデザインに特徴があります。『すばらしきこの世界-Final Remix-』は渋谷を、『龍が如く 極2』は新宿を舞台にしていることで選んでおり、ほかのマンガやアニメ作品も、これらのゲームといっしょに展示されます。

 会場内には、東京タワーと東京都庁のコーナーがあるのですが、これらの東京の発展のシンボルとして建設された場所を舞台にしたゲームということで、ここでは基地が都庁になって、最後のボス戦の舞台が東京タワーとなる、『セブンスドラゴン2020』を展示します」(今泉氏)

なお、本イベントではゲームを遊ぶことは一切できないが、今泉氏によれば「スクリーンショットやプレイ動画を見せることで、ゲームの中で東京という都市を舞台にして、どのように遊べるのかが見られる面白い展示になっていると思います」とのこと。今までのゲーム展示イベントは、ゲーム開発・産業の歴史やキャラクターなどにフォーカスしたものがほとんどだったが、東京を舞台にした作品だけに絞り、なおかつプレイアブルではないイベントは非常に珍しい。

東京という都市がゲームなどの作品にどのような影響を与え、同時にこれらのタイトルが東京を舞台にすることで、どんな特徴を持つ作品となり、ユーザーにどんな体験を提供するに至ったのかなどが学べるという、非常に斬新かつ面白いイベントとなりそうだ。

なお、本イベントに展示されるゲームのタイトルは以下のとおり。新型コロナウイルスの影響が心配される昨今ではあるが、開幕までに終息宣言が発表され、予定どおりに開催されることを願ってやまない。

歌舞伎町をモデルにした神室町などが舞台となる「龍が如く 極2」 (画像提供:国立新美術館)  (C)SEGA
歌舞伎町をモデルにした神室町などが舞台となる「龍が如く 極2」 (画像提供:国立新美術館) (C)SEGA
秋葉原を舞台にした「STEINS; GATE」(画像提供:国立新美術館) (C) MAGES./Nitroplus
秋葉原を舞台にした「STEINS; GATE」(画像提供:国立新美術館) (C) MAGES./Nitroplus

「MANGA都市TOKYO」に展示されるゲームのタイトル

  • 「ガンスリンガー ストラトス 2」
  • 「ガンスリンガー ストラトス 3」
  • 「グランツーリスモ6」
  • 「グランツーリスモSPORT」
  • 「STEINS; GATE」
  • 「電車でGO! FINAL」
  • 「東京23区制服Wars」
  • 「がんばれゴエモン2」
  • 「サクラ大戦」
  • 「JSRF ジェットセットラジオフューチャー」
  • 「すばらしきこのせかい-Final Remix-」
  • 「セブンスドラゴン2020」
  • 「龍が如く 極2」

<「MANGA都市TOKYO ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020」>

・会場:国立新美術館 企画展示室2E(東京・六本木)

・会期:2020年7月8日(水)~9月22日(火・祝)10:00~18:00(毎週金・土は21:00まで)※入場は閉館の30分前まで

・休館日:毎週火曜日(ただし7月28日、8月4日、25日、9月1日、22日は開館)

・観覧料(税込):当日 一般1600円、大学生1200円、高校生800円 / 前売・団体 一般1400円、大学生1000円、高校生600円

 ※中学生以下、障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料

 ※8月14日(金)~16日(日)は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要)

 ※前売券は2020年2月27日(木)~7月7日(火)まで、国立新美術館では3月16日(月)(予定)~7月6日(月)まで販売

 ※団体券は国立新美術館のみ販売(団体料金の適用は20名以上)

「MANGA都市TOKYO」の公式サイトはこちら

公式Twitterアカウント: @manga_toshi_tyo

ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表

1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などにも参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は「ファミダス ファミコン裏技編」「ゲーム職人第1集」(共にマイクロマガジン社)、「ナムコはいかにして世界を変えたのか──ゲーム音楽の誕生」(Pヴァイン)、共著では「デジタルゲームの教科書」(SBクリエイティブ)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)などがある。

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