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「どこでもセーブ」できるのに「巻き戻し」 Nintendo Switchの新機能を試してみた

鴫原盛之ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表
「Nintendo Switch Online」のメイン画面(筆者撮影)

Nintendo Switchで懐かしのファミリーコンピュータ用ソフトが遊べる配信サービス、「ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online」が7月17日にアップデートされ、「ドンキーコング3」と「レッキングクルー」2タイトルに加え、新機能の「巻き戻し」が追加された。

「巻き戻し」とは、プレイヤーが任意のタイミングで、時間を少しだけ戻した状態からゲームを再開できるというもの。もし途中でミスをしてしまっても、時間を戻すことで帳消しにできるという、とても便利な機能だ。

筆者の計測では、どのゲームでも中断した時点から約1分前の状態にまで戻すことが可能。「スーパーマリオブラザーズ」であれば、ちょうどゲームを始めてから最初のステージをクリアするまでの時間(※ノーミスでスムーズに進んだ場合)になる計算だ。

「スーパーマリオブラザーズ」より。画面右下に、「ZL+ZR中断メニュー(長押しで巻き戻し)」と表示されている(筆者撮影)
「スーパーマリオブラザーズ」より。画面右下に、「ZL+ZR中断メニュー(長押しで巻き戻し)」と表示されている(筆者撮影)
「巻き戻し」を起動すると、画面下部に表示された過去の場面を自由に選んで再開できるので、何度でもミスを帳消しにできる(筆者撮影)
「巻き戻し」を起動すると、画面下部に表示された過去の場面を自由に選んで再開できるので、何度でもミスを帳消しにできる(筆者撮影)

実は「Nintendo Switch Online」には、サービス開始時点でプレイデータをいつでもセーブできる、「どこでもセーブ」機能がすでに搭載されている。それにもかかわらず、今回のアップデートで「巻き戻し」機能をわざわざ実装したのはなぜなのだろうか?

パズル、シミュレーション要素のあるゲームで絶大な効果を発揮

いろいろなゲームで「巻き戻し」を試したところ、パズルまたはアクションパズルゲームにおいては、従来の「どこでもセーブ」よりも明らかに便利なことがわかった。

例えば、前述した「レッキングクルー」では、手順を間違えるとクリア不可能になってしまうステージがいくつも登場する。途中で手詰まりになっていることに気付いたら、すぐにクリア可能な状態まで「巻き戻し」てやり直せるのはもちろん、新たな解法を思い付いたときにも、「失敗したら、元に戻せばいいや」と、ミスやゲームオーバーを恐れずに新しいアイデアを試すことができる。

「レッキングクルー」の99面より。壊さなければいけない壁を残したまま、敵のキャラクターに画面下へ叩き落されると、即クリア不可能になってしまう(筆者撮影)
「レッキングクルー」の99面より。壊さなければいけない壁を残したまま、敵のキャラクターに画面下へ叩き落されると、即クリア不可能になってしまう(筆者撮影)
「巻き戻し」を使えば、直前の状態にすぐに復帰できる(筆者撮影)
「巻き戻し」を使えば、直前の状態にすぐに復帰できる(筆者撮影)
直前の状態に「巻き戻し」てもなかなかうまくいかない場合は、さらにそれ以前の状態に「巻き戻し」てから、新たな攻略法を試しつつ遊べるのも大きなメリットだ(筆者撮影)
直前の状態に「巻き戻し」てもなかなかうまくいかない場合は、さらにそれ以前の状態に「巻き戻し」てから、新たな攻略法を試しつつ遊べるのも大きなメリットだ(筆者撮影)

シミュレーションやRPG(ロールプレイングゲーム)においても、「巻き戻し」が絶大な効果を発揮する。

例えば、一度死んだキャラクターは原則として生き返らない、「ファイアーエムブレム」のようなゲームでは、もし味方がバトルに敗れて死んでしまっても、その直前の状態にすぐ「巻き戻し」ができるメリットはとてつもなく大きい。また、複数の武器を持つキャラクターでバトルをする場合は、どの武器を使えば最も多くのダメージを敵に与えられるのか、その都度試しながらプレイできるのもうれしい。

従来の「どこでもセーブ」を利用して、同様の方法で攻略を進めることももちろん可能だが、本機能では最大4個までしかセーブデータを作ることできない。よって、過去の任意の場所から、なおかつ何度でも再開できる「巻き戻し」を使ったほうが、より効率よく攻略パターンが作れると言えるだろう。

ほかにも、「マリオオープンゴルフ」でも本機能を使えば、クラブやボールのスピン方向などを変えながら、ベストショットが打てるまで何度でも試し打ちができるので重宝するハズだ。これを利用しない手はない。

シミュレーションRPGの「ファイアーエムブレム」より。写真は敵に半分ほどのダメージを与えた時点でバトルが終了したところ(筆者撮影)
シミュレーションRPGの「ファイアーエムブレム」より。写真は敵に半分ほどのダメージを与えた時点でバトルが終了したところ(筆者撮影)
バトル開始前の状態に「巻き戻し」て、武器を変えて敵を攻撃したら一気に倒すことに成功。本機能が最も生かせる場面と言えるだろう(筆者撮影)
バトル開始前の状態に「巻き戻し」て、武器を変えて敵を攻撃したら一気に倒すことに成功。本機能が最も生かせる場面と言えるだろう(筆者撮影)

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ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表

1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などにも参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は「ファミダス ファミコン裏技編」「ゲーム職人第1集」(共にマイクロマガジン社)、「ナムコはいかにして世界を変えたのか──ゲーム音楽の誕生」(Pヴァイン)、共著では「デジタルゲームの教科書」(SBクリエイティブ)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)などがある。

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