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20代で一生分稼いでセミリタイア 累計800万部の人気作家・本田健が伝授する「夢を叶える習慣」

佐藤智子プロインタビュアー、元女性誌編集者
15歳から描いていたビジョンが実現している本田さん(写真提供/アイウエオフィス)

 経営コンサルタント、投資家を経て、29歳でセミリタイア生活を経験した後、34歳で作家デビューした本田健さん。著書は、『ユダヤ人大富豪の教え』『20代にしておきたい17のこと』など、計160冊累計発行部数は800万部を突破。

 2019年6月には、初の英語での書き下ろしの著作『happy money』を米国・英国・豪州で同時刊行。世界40カ国以上での発売が決定している。

 長年の夢であった世界出版を数年前から公言していた本田健さんの「夢の叶えかた」とは?(3回連載の第2回目)

―― 著書『happy money』が世界出版されました。これは、1つの夢だったということですが、それを予言されていますよね。2016年ぐらいの動画を見たときに、「2018年はこういうふうに本を書く。2019年に発売する。2020年は世界に」と。それで有言実行している。

「そうですね」 

―― それを、公の場で言うことがすごいなと思って。

「もし夢を言って叶わなかったとしても見ている人も少ないし。うまくいかなかったって別にいいじゃないですか。それで捕まるわけじゃないですし」

―― でも、言ってうまくいかなかったら、信用ガタ落ちになる、とは思わなかった?

「確かにそうですね。でも、取りあえず言ってみました(笑)」

2019年6月にアメリカ、イギリス、オーストラリアで同時出版された英語版の『happy money』。40カ国以上での出版が予定されている(撮影/佐藤智子)
2019年6月にアメリカ、イギリス、オーストラリアで同時出版された英語版の『happy money』。40カ国以上での出版が予定されている(撮影/佐藤智子)
帰国子女でもなく、留学経験もなく、英語を一から勉強した末の英語での書き下ろしを果たした(撮影/佐藤智子)
帰国子女でもなく、留学経験もなく、英語を一から勉強した末の英語での書き下ろしを果たした(撮影/佐藤智子)

―― 世界出版するというのはどれくらい前からの夢だったんですか。

「本を書き始めたときから、いずれ世界デビューしたいという気持ちはありましたね」

―― 本を書き始めたというのは作家を始めた、34歳のときに?

「そうですね。2002年の時点でそう考えていました。僕は29歳でセミリタイアして、今度仕事をするなら、すごく大げさな言い方ですが、人類に貢献する仕事をしたいというふうに思っていました」

―― それはなぜ?

「元々小さい頃からのビジョンでしたが、いずれ国連で働いたりとか、この地球をよくすることにすごく興味がありました」

人に影響を与えられる人になりたい。15歳から抱いた夢をどう実現させたか

―― それは誰かに何か言われたりとか、何かを見たとかではなくて?

「学生時代にカトリックの学校に行っていたのですが、そこで月に1回そういう授業があって、その中でシスター・渡辺がいらっしゃったんです。中学3年生のときだったと思います。世界について話しているのを聞いてすごく感銘を受けました。そのシスターは『置かれた場所で咲きなさい』を書かれた」

―― 渡辺和子先生。

「はい、そうです。あの方が僕の中学校にいらっしゃったんです。その先生の話を15歳で聞いたので、もう37年前の話になります。そのときに、こうやって話で人をワクワクさせる人になりたいと思いました。作家よりもそれが先ですね」

「世の中をよくしたい」。15歳のときに抱いた想いが今につながっている(写真提供/アイウエオフィス)
「世の中をよくしたい」。15歳のときに抱いた想いが今につながっている(写真提供/アイウエオフィス)

―― 人に影響を与える人に。

「はい。それで政治家になろうと思いました」

―― 中学3年のときに。

「当時は政治家か、国連で働きたいと思っていましたね」

―― では、中学生ぐらいのときに世界に貢献したい、人類に貢献したいと思って着々と。

「でも、そういった夢が次々と破れるんですよ。結局、政治は派閥とかあるし、首相になったとしても、そんなに多くの人たちを変えられるわけでもなく。どちらかと言うと、いろんな利益団体の調整役が政治家であって、ビジョンを実現する人ではないという当たり前のことに気付きました。現実的にこの人とこの人の利益をどうやって調整するのかなど、言ってみれば交渉役です。そして次に今度はビジネスマンになろうと思いました。そうすると、僕のメンター(師匠)が、ビジネスは基本的に魂が奪われるものなんだと言っていました」

―― そう言い切っていいですか(笑)。

「一回ビジネスに入り込んだら。なぜかと言うと、優秀な人ほど新しいビジネスや新しいビジネスプロジェクトを立ち上げることに中毒になってしまうからです」

―― 夢を追いかけすぎると。

「はい、そうです。ビジネスがブラックホールみたいになって、本人もそうですが、家族ごと食われるぞ、ということをずっと言われていたので、僕は20代でセミリタイアをしました。そういう意味で僕はすごく優秀なメンターにいろいろ助けてもらいました」

政治家もビジネスマンも宗教家も違う。自分にできることは何かを探して

―― では、ビジネスマンも違うとなると、今度は?

「宗教家はどうか、と思い、宗教をいろいろ研究しました。でも結局、日本の新興宗教を作るのがせいぜいで、世界的なインパクトを与えられるわけじゃない。いろいろ考えているときに世界的にインパクトを与えるとしたら、やっぱり音楽か、本のどちらかしかないなと思いました。僕は音楽の才能がないので、文章だったらなんとかなるんじゃないかと思い、この能力を高めようと決めました」

―― その、「なんとかなるかな」というのは何ですか、好きだったということですか。

「そうですね。本が大好きだったので、文章なら書けそうじゃないですか。歌は『あー』と言ってちょっと外れたら駄目だと分かりますが(笑)。でも、文章ならなんとかなるかもと思いました」

―― それは学生のとき、文章を人に褒められたとか、難なく書けたとか。

「ありました。そういう意味で文章なら頑張ればいけるんじゃないかなというふうに思ったのがきっかけです」

好きなことなら難なくやれそうな気がすると早い段階で気付いたという本田さん(撮影/佐藤智子)
好きなことなら難なくやれそうな気がすると早い段階で気付いたという本田さん(撮影/佐藤智子)

―― それははっきりとは何歳のときに思いました?

「18歳ぐらいですね」

―― では、そのときに作家になろうと。

「変な話、作家とかそういうものではありません。何か分からないですが、文字を通じて世界を癒やそうと思いました」

―― それが何かは分からないけれども。

「文章だというのは思っていたんです。とにかく手当たり次第に本を読み始めたというのが僕の若い時代です」

―― それは文章を書くための何か参考になるということではなくて? どういう意味で。

「当時、受験のための塾には行かなかったんですが、エッセイストの先生がやっている国語塾に通っていました」

―― そういうところにも行かれていた?

「はい、17歳のときですね」

―― 早いですね!

「それはすごく役に立つと思いました。チャーチルがノーベル文学賞を取りましたが、政治家は話すこともそうですが、文章もできなければ駄目なんだ、と気付きました。そのときから文章が持つ力をすごく意識し始めましたね」

―― じゃ、そのときはまだ政治家も捨て切れていなくて。

「そうですね」

―― で、文章も、と思っていたら、意外と文章を書くのは楽しいと気付いた。

「はい。そして、作家という仕事を選べば、家族と一緒にいられますよね。だから、セミリタイアした後も毎晩基本的に夜はご飯を家に帰って食べるという生活をしていました」

願望達成のやり方とは。自分の夢をどうやって実現するか

―― 夢がビジネスで成功してお金持ちになるとかじゃないから。人類に貢献するためには自分もやっぱり幸せでいたいということですか?

「そうです。だから、大きな組織を作って、忙しくならずに、スタッフはもう本当に数人。ビジネスオーナーのような感じです。そうすることによってセミリタイアが実現できました」

「作家という仕事を選べば、家族と一緒にいられると思いました」。家族との時間を大切に考えている本田さん(撮影/佐藤智子)
「作家という仕事を選べば、家族と一緒にいられると思いました」。家族との時間を大切に考えている本田さん(撮影/佐藤智子)

―― 自分は将来こんな感じの生活をしてこうなりたいという青写真は何歳ぐらいにあったんですか。

「まずは20歳のときに、ユダヤ人の大富豪のメンターに出会って、30歳までに僕が一生食べていける財産を作って、そして、セミリタイアすると決めました。実際に29歳でセミリタイアしましたが、基本的にそのときに教えてもらったのは願望達成のやり方です。自分の夢をどうやって実現するのかということです」

―― それを聞きたかった。

「それをずっと自分でもやっていたわけです」

―― 実験をしていた。

「そうですね」

―― デビュー作の『ユダヤ人大富豪の教え』の内容があまりにもすごくて、作り話? と思われるほど素晴らしい話なんですが、あれは20歳ぐらいのときに、そういうメンターになる人を探していたわけではなくて?

「そういう人を探していました」

―― ほんとに探していたんですね?

「はい。ユダヤ人大富豪のゲラーさんが言ったことは、3分の1ぐらいは本当に本人が言っているのですが、それ以外はいろんなお金持ちの人に教えていただいた話です。ゲラーさんに、いろいろな難題を突きつけられて、『おまえ、これ、できるのか?』ということをされたりしたのは本当のことです。本はちょっと小説風になっていますが」

―― あれがやっぱりすごくストーリーとして面白かったんですが、実際にアメリカを放浪されて? 何カ月ぐらいですか。

「1年間です。最後がフロリダでした」

―― その1年間放浪するときに、自分はこういう人に会っていこうと意識していた?

「はい。成功している人と会いたいので、ロータリークラブとか、そういうところに手紙を書いて、無料でいいから、スピーカーとして招いてくれないかということをしました」

「できないはずがない」ではなく、「できるまでやってみる」が僕のやり方

―― その発想がね、20歳ですごいですね。

「そうやって僕は17歳ぐらいから生きていますからね。今でもそうですが、小さな箱の中で生活しない、ということにすごく気を付けているんです」

―― それは発想として、「できないはずがない」という思いなんですか。

「いや、『できないはずはない』じゃなくて、『できるまで、とにかくやってみる』。それで行けるところまで行ってみようというのが僕のやり方ですね」

―― とにかくトライする、挑戦をすることが楽しいみたいな。

「そうです、そうです」

―― ユダヤ人の大富豪に「こうやったらお金がもうかるよ」と教えてもらえる話じゃなくて、いろんなテストをされるじゃないですか。でも、そんなのはできないよ、終わり、ということもできるのに、それを全部クリアしていく。その中には失敗ももちろんあるだろうけれども、そうやっているのが最後は功を奏して。

「はい、あの本は100%実話です。写真も全部残っています。そういうふうな生き方を僕はずっと人生を通じてしてきました。これを2019年にやると言って、実際、それをやりました。そして、2020年は世界中で出版すると。契約しているので本当に多くの国で僕の本が出版されます。こうして、普通の人じゃあり得ないことを次々と実現してきたんです」

未来を書くことで、どんどん夢は実現する

願望達成の本も多く出されている本田さん。その細かいやり方の伝授は実際に実現してきた経験に基づくもの(写真提供/アイウエオフィス)
願望達成の本も多く出されている本田さん。その細かいやり方の伝授は実際に実現してきた経験に基づくもの(写真提供/アイウエオフィス)

―― 自分の心の中でひそかに「2019年はこうしよう」と言うんだったら分かりますが、それをセミナーで言ったり、動画で言ったり。それは、自分はできると、あえて言葉にしているんですか? 

「『未来を書くことで、どんどん夢は実現する』という本の中でも書きましたが、結局何かを考えただけではまだ幻想の段階です。例えば、ケネディ大統領が『月に人間を送る』と。そのときは幻想なんです。何もプランもない。やり方も分からない。でも、一回目標を設定したら、国家レベルのプロジェクトだと予算を付けて、どういうふうな人材を集めたらいいのか。やれる保証もない中で、それをやる前提でプロジェクトが行なわれています」

―― では、本当に宣言してしまうことですね。

「宣言してしまうことが鍵ではないですが、目標を設定したことをやっていくというのが鍵なんです」

―― なるほど。よくある間違いのパターンとして、有言実行は、言いさえすれば夢は叶うというのではなくて。

「それはスタートです。言うのは誰でもできますが、大切なのは言った後に何をするかです」

―― 逆に言えば、ひそかに思っていたら、途中で修正することもできるじゃないですか。○○しようと思ったけれども、できないから2025年にしよう、とか。でも、2019年と言ってしまっているから。それは自分で行動し始められるように仕向けているんですか。

「そうですね。最初のうちは精度が低いと思いますが、それを高めていくコツがあります。それを今、本に書いたり、セミナーで教えているんですが、そのコツを知ることはすごく大事です」

夢を言うのは誰でもできる。大事なのは言った後

―― ちょっとだけ教えてください。どういうことをするんですか。

「簡単に言うと、例えば、世界的ベストセラー作家になるには、それが叶う前から、そういう人物になっていることが重要です」

―― なるほど。

「日本のベストセラー作家の場合も同じです。ベストセラーを出すにはそういう人物になっていないとなれないものです。本当のパートナーを見つけようと思ったら、そういう人に自分がなっている必要があります。自分はこういう彼氏がよくて、年収3,000万で早稲田とか慶応とかを出ていて、身長180センチでイケメンですごくモテるけれども、絶対浮気しない人。そんな人がいるかもしれないけれども、いたとしても、あなたを選びますか? ということなんです」

―― そうですよね。

「そういう人にふさわしい自分になっていなかったら、きっと選ばれないですよね。それと同じでベストセラー作家になる。これは誰でも言えます。じゃあ、ベストセラー作家とはどういう生活をしているのか。どれだけ原稿を書いているのか。どういう人と付き合って、何を考えて、どういう行動をしているのか。その人たちがやっているようなクオリティーで仕事ができたら当然売れるわけです。なのでベストセラー作家にふさわしい自分になる必要があります」

―― では、自分はもうあたかもそれになったかのように、そういうつもりで生活をしていく。

「そして、生活だけじゃなくて実際にそのクオリティーのアウトプットも欠かせません。だから、才能も必要です。例えば、僕が歌手で『紅白に出る』ということは言えますが、でも、僕はそれに対してワクワクしていないし、僕が信じていないので叶いません」

―― 本田さんはベストセラー作家になる、世界の人に貢献するというのはワクワクもするし、ちょっとできそうな気がする?

「ちょっとじゃなくて、『できる』と思っています。僕は自分がそう思っていることしかやりません」

できると確信するぐらいじゃないと夢は叶わない

―― それは「できる」と無理やり思っているのではなくて。

「無理やりじゃなくて、『できる』というふうに確信を持てるぐらいになれないと難しいでしょう。『オリンピックに出る』と言っても無理じゃないですか。だから、本人が少なくとも『行ける』と思わないと、本人が思っていない夢は叶いません」

―― 確かにそうですね。

「そして、周りも『あの人だったら、やるかもね』と思ってもらえることが大切です。僕がいろいろ言ったときに、『健さんだったらやっちゃうかもね』というふうにみんな言ってくれたんです」

周りの「あの人だったら、やるかもね」が大事

―― それまでにいろんな実績があるし、実行力もあるし、奇跡も起こしていますしね。

「はい。2009年から2010年に掛けて『20代にしておきたい17のこと』をシリーズで書くことにしました。それを、2年で100万部にしますと、2010年4月に宣言したのですが、ぴったり2012年4月に100万部になりました」

―― すごい。

「僕はシリーズ5冊でいけると思いましたが、結局7冊かかりました。でも、ばっちり7冊で100万部にもっていったんですよ。そして、今はもう200万部なんです。そうやって、言ったことが本当に確実にできる人は少ないじゃないですか。それはやっぱり、言ったこととやっていることが、ズレているからなんです。自分の言ったこととやっていることがかっちり合っていると、その夢は実現するんです」

―― それを17歳ぐらいからやっているところで土壌があるわけですね。

「そうですね」

―― 「こうなりたい」と言っても一足飛びになろうとみんなは思いますが。

言ったときにはすでにスタートしている

言っていることとやっていることをかっちり合わせていくと夢が実現する(写真提供/アイウエオフィス)
言っていることとやっていることをかっちり合わせていくと夢が実現する(写真提供/アイウエオフィス)

―― でも実際、本田さんは、スピードが速いですね。決める、即決。このスピード感というのは昔からですか。

「昔よりも加速はしていますね。なぜかと言いますと、例えば、ドナルド・トランプさんとか孫正義さんみたいな人がそうだと思いますが、決めたら動くと知っているから。『さあ、やろう』と言ったら、もうそのときはビーッとスタートしているんです。ほとんどの人たちは『やろう』『いや、やれるかな』『そもそもお金が……』とか言っている間に、ぐるぐる回って行動ができていない場合がほとんどでしょう」

―― スピード感で言えば、具体的に言うと、例えば、全く新しいお店に入って、メニューを見て、どれくらいで決めます?

「昔は『2秒で決める』とか言っていましたが、今はわざと迷うんです(笑)」

―― それはなぜ?

「『どれにしようかな』というのは楽しいじゃないですか。『これ』とすぐに言うのはつまらない(笑)。そういった意味ではプライベートとは分けないと、人生の楽しみが減ってしまいます」

―― 何でも、全部パンパンと即決してしまうんじゃなくて。

「そんなことを言えば、食事は1分で食べたほうがいいじゃないですか。でも、家族との食事は2時間、3時間でゆっくり、たわいもない話をしながら。そこは能率を上げてやることとは切り替える必要があります。なぜかというと、そういう家族との時間を楽しむために能率的にこなしているからです」

―― なるほど、なるほど。じゃあ、やらなければならないとか、そういうことはパパパッとやって、楽しいことはあえて時間を掛けてやる。

「はい。だから、能率の時間と全く関係ない時間を分けないとおかしくなってしまうと思います」

能率的にやる時間とそうでない時間を分けないと幸せを逃す

―― 時間も操っているというか、自分なりにコントロールしているような感じがします。

「それをやらなかったら、能率重視の人というのは全てが速いんですよ。例えば、トイレも1分とか」

―― 生き急いだ感じになってしまうから。

「そう。じゃあ、なぜなのか、というふうなことじゃないですか」

―― そういうことを効率よくやって、家族の時間はゆっくりすると。素晴らしい。素敵。

「そういうふうに、180キロで走っていても、ピタッと止まるような感覚がないと幸せを逃してしまうと思います」

―― 速いばかりがいいわけじゃないということですね。

「何のための人生かということです」

―― よかった。本田さんは「今年は100冊どんどん出すんだ!」ということじゃなくて、気がついたらこれだけ出していたぐらいの感覚ですかね。

「時間を圧縮できることと、できないことがあります。妊娠して子どもが生まれるまではやっぱり約10カ月は掛かります。スピードアップ! とか言っても無理なわけですし、やっぱりある程度時間が掛かるものもあります。僕の一番の才能は、実は、待つ才能なんです」

―― 意外。

「結局2005年にアメリカで出版しようと思って、アメリカに行き始めて、2006年に実際にアメリカに移住しました。そこで本当は2006年ぐらいに本を出すこともできたんです。でも、そこではタイミングじゃないと思って、結局そこから13年待ったわけです。そういう意味で僕は待つのが得意です」

―― 世界で出版するというのも早けりゃ早いほうがいいというんではなくて、満を持してという感じですか。

「はい。なのですごく時間を掛けました」

―― この時間は想定内ですか。

「思っていたよりも遅くなりましたね。でも、別に長い人生で見たら誤差みたいなものじゃないでしょうか」

―― ベストタイミングと言えますか。

「それが起きたということはベストだったと思います」

起きたときがベストタイミング。「今だ」というときに動けるかどうか

―― 無理やり自分が2019年と言ったから、「急いで!」ということじゃなくて。

「そうですね」

―― ぴったりそれにかなったということですね。

「『今じゃない』とずっと思っていて、『今だ!』というときにはすぐ飛び込めるかどうかということだと思います。チャンスの神様の前髪をつかめと言うじゃないですか。それはチャンスの神様がどんな顔をしているかが分かっていることが大切です。ただ単に髪の毛が長いだけじゃつかめません。その辺の通り掛かりの人をつかむかもしれないじゃないですか」

―― 全然違う話ですけれども、流しそうめんをやったときに、あれはつかもうと思うと、つかめないですが、箸を持って待っていればつかめるんですよ(笑)。待ち構えていると。例えば、そういう感じですか?

「そういう感じですよ。どういうふうにしたらチャンスをキャッチできるのかを考えておく必要があります」

今もお気に入りのペンでお気入りのノートに「書くこと」を習慣にしている(撮影/佐藤智子)
今もお気に入りのペンでお気入りのノートに「書くこと」を習慣にしている(撮影/佐藤智子)

―― 夢を叶える方法として、「書く」ということが大事と言われていますが。

「夢を紙に書くと、そこにエネルギーが入ります。例えば、『2021年ハワイに移住する』と書いただけでは、何も起きません。でも、本気でそう思って書いたら、エネルギーは動き始めます。友達でハワイに行ってきた人とか、親戚のおじさんが実はハワイで事業をやっているとか、そういうキーワードがポンポン、ポンポン飛び込んでくるようになります。そして、実際に自分でも調べていったら、ハワイで移民法ビザをやっている弁護士を先輩が紹介してくれたりとか、そういうことが始まっていきます」

―― いろんな偶然が起こってくる。シンクロですね。

「はい。それで、実際にハワイに移住することが現実味を帯びてくる」

―― 実は、チャンスを持ってきてくれる人はいっぱいいるということですね。

「お金さえあればなんとかなる、と多くの人が思うと思いますが、そのお金をどうするか。それにはビジネスが必要だったり、あるいは親がお金を出してくれるかもしれないし。ハワイに行きたいと思っていたら、誰か知り合いが『実はハワイで事業をやろうと思っているんだけど』と言って、社長として赴任した人を実際に知っていますよということもあるし、学生時代の先輩が『実はハワイ支店を出そうと思っていて』と言っていて、そうやって行く人もいます」

―― だから「お金を稼いでハワイに行かなきゃ」じゃなくて、いろんな誰かがプレゼントしてくれるかもしれないし、たまたま出会った人のつながりで実現するかもしれないと。

「そうやって紙に夢を書くことで初めてそれが実現し始めます。適当にイメージしていただけだったら弱いです。紙に書いて、言葉にして、いろんな人に言う。『ハワイに移住したいんだけどさ』『そういえば、知り合いが……』などといった展開になるでしょう」

今もずっとペンで夢を書くようにしている

―― 本田さんは最近夢を何か書かれましたか。どういうふうな感じで書かれたりします? お気に入りのペンとかで?

「例えば、僕のペンのコレクションがあって、『この気分はこれだな』みたいなものがあります」

―― ペンが何本もあって?

「そうですね」

―― 近々で言うと、どんな望みを書きました?

「『2020年は世界を旅する旅人になりたい』と思っているんですが、いろんな人たちを勇気づけたり、楽しくさせたりしながら、大道芸人のようにいろんなステージに立とうと思っています」

―― そういうことを書くときにはイメージが出ています?

「『それができたら、いいな』みたいな気持ちで書いてます。『絶対これをやるぞ』というより、『それ、いただき』みたいな形で書いています」

―― 作家になるときも、まずは自費出版で冊子を作って、無料で配って、それを出版社の人が目を付けてくれたという話があるじゃないですか。本田健というのは、本名じゃなくて、「本だけ(ホンダケ)で食べていけるようになる」ために、ホンダケンだっていう話を聞きました。

「そういう説もありますが、『Ken Honda』というのは世界でどの文化でも通用する名前。日本の名前でもOKで海外の名前でもOKの名前というのはどういう名前があるのかというのを娘が生まれたときに調べました。最終的に『本田健』というのは日本人でも普通にいるし、そして、海外でも『Ken Honda』と言ったら、ほぼ一発でいろんな人が覚えてくれると気付きました」

―― 覚えやすいし、日本人らしい名前。

「はい。中国の人でもヨーロッパの人でも、ドイツでもアメリカでもフランスでもスペインでも覚えてもらえる名前です」

楽しくイメージしながらワクワクした気持ちでノートに書いている(撮影/佐藤智子)
楽しくイメージしながらワクワクした気持ちでノートに書いている(撮影/佐藤智子)

―― 世界に通用する名前。まさに、それが現実になりました。夢を叶えるということで、実際に、叶った気分としてはどうですか。

「僕は『叶った』という過去形じゃなくて、現在進行形なんです。夢が叶いつつあるといった感じで、今も、現在進行形で夢が叶っています。例えば、アメリカでの出版という夢は叶いました。でも、それは世界的に本が出ていくという1つの通過点で『夢が叶った、ゴール』ではありません。今でもある意味、夢の中にいるという感じです」

―― ではまだまだ、次々と夢が出てきそうですね。

「はい。2019年6月に英語での出版はできましたが、今度は、スペイン語、ドイツ語、フランス語、イタリア語版で出版という形で僕の本が世界に広がっていくことが、今の僕の夢が叶うということなんです」

●第3回目「人間関係」についてのインタビュー記事はこちら

●第1回目「幸せなお金」についてのインタビュー記事はこちら

プロインタビュアー、元女性誌編集者

著書『人見知りさんですけど こんなに話せます!』(最新刊)、『1万人インタビューで学んだ「聞き上手」さんの習慣』『みんなひとみしり 聞きかたひとつで願いはかなう』。雑誌編集者として20年以上のキャリア。大学時代から編プロ勤務。卒業後、出版社の女性誌編集部に在籍。一万人を超すインタビュー実績あり。人物、仕事、教育、恋愛、旅、芸能、健康、美容、生活、芸術、スピリチュアルの分野を取材。『暮しの手帖』などで連載。各種セミナー開催。小中高校でも授業を担当。可能性を見出すインタビュー他、個人セッションも行なう。

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