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武豊、吉田豊、田中博康が、ドバイで

平松さとしライター、フォトグラファー、リポーター、解説者
ドバイで集まった左から田中博康調教師、武豊騎手、吉田豊騎手

現地、ドバイで顔を揃えた3人

 現地25日、ドバイ、メイダン競馬場で行われるのがドバイワールドカップデー。当日はメインのドバイワールドカップ(GⅠ、ダート2000メートル)を筆頭に8つのサラブレッドのレースが行われる。今年はそのうち6レースに実に27頭の日本調教馬がエントリー。各陣営が続々現地入りしている。

 そんな中、顔を揃えたのが、武豊騎手、吉田豊騎手、そして、田中博康調教師。日本勢の決起集会といった大袈裟なものではなく、和気あいあいとした時間ではあったが、それぞれ思いを語った。

 ダート1200メートルが舞台になるドバイゴールデンシャヒーン(GⅠ)にフェブラリーS(GⅠ)の覇者レモンポップを送り込むのが田中博康。武豊から調子を聞かれると「元々手のかからない馬で、今回も順調に来ています」と答えた。

ドバイでのレモンポップ
ドバイでのレモンポップ

 同じレースでリメイク(牡4歳、栗東・新谷功一厩舎)の手綱を取るのがその武豊。22日の朝には最終追い切りに騎乗。感触を次のように語った。

 「ドバイのダートもしっかり走れていたし、馬自身、なかなかポテンシャルが高く感じました」

リメイクに跨った武豊騎手
リメイクに跨った武豊騎手

 そして、3人で“ドバイのダート”について、会話を続けた。

 経験豊富な武豊が「メイダンはキックバックがキツくて、サウジとはまるで違う。自分はキックバックを受けた腕が痣になった事があるし、目を負傷した馬もいました。日本で、芝の塊が飛んできてそうなる事はあるけど、ダートでそんな事態になるのはドバイくらいですね」と言うと、驚いた表情を見せたのが吉田豊だ。メイダンの前身であるナドアルシバ競馬場時代にはリージェントブラフでドバイワールドカップに騎乗したものの、昨年、参戦したのは芝のドバイターフ(GⅠ)。今年はその時の覇者パンサラッサと共にドバイワールドカップに挑む。“逃げてこそ!”の同馬だけに、次のように言った。

サウジCを逃げ切ったパンサラッサと吉田豊騎手
サウジCを逃げ切ったパンサラッサと吉田豊騎手

 「ただでさえ砂を被りたくないのに、そんな感じのダートだったら、尚更嫌ですね。何が何でもハナに行きたいです」

 武豊が「意外とあの馬、スタート自体は速くないもんね?」と言うと、首肯した吉田が応える。

 「そうなんです。前走のサウジC(GⅠ)もそれが不安だったんですけど、あそこだけは抜群のスタートを決めてくれました。今回もそうなれば良いけど、モタモタして砂を浴びるような形になったらキツいですね……」

ベテラン・吉田豊騎手
ベテラン・吉田豊騎手

 逆に言うと、キックバックを浴びないで済む先頭で走れる事が好走の条件か。今年こそ差して良いアルジールスなど強い馬がいるものの、ドバイワールドカップでは例年、先行決着になる事が多いのも、そのあたりが影響しているのだろう。武豊は頷いて言う。

 「それは大いに関係していると思います」

 もっとも、リメイクとレモンポップが出走するドバイゴールデンシャヒーンに関しては、差し決着になる事もしばしば。アメリカのシーズィーロケットやガナイトら、前で競馬を出来る有力馬相手に、どのくらいの競馬が出来るのか。期待したいところだ。

若手調教師の有望株・田中博康調教師
若手調教師の有望株・田中博康調教師

 侍ジャパンの世界一に沸いた日本のスポーツ界だが、今度は中東から朗報を届けられるのか。そして、その中にこの3人がいるのか。応援しよう!!

レジェンド・武豊騎手
レジェンド・武豊騎手

(文中敬称略、写真撮影=平松さとし)

ライター、フォトグラファー、リポーター、解説者

競馬専門紙を経て現在はフリー。国内の競馬場やトレセンは勿論、海外の取材も精力的に行ない、98年に日本馬として初めて海外GⅠを制したシーキングザパールを始め、ほとんどの日本馬の海外GⅠ勝利に立ち会う。 武豊、C・ルメール、藤沢和雄ら多くの関係者とも懇意にしており、テレビでのリポートや解説の他、雑誌や新聞はNumber、共同通信、日本経済新聞、月刊優駿、スポーツニッポン、東京スポーツ、週刊競馬ブック等多くに寄稿。 テレビは「平松さとしの海外挑戦こぼれ話」他、著書も「栄光のジョッキー列伝」「凱旋門賞に挑んだ日本の名馬たち」「世界を制した日本の名馬たち」他多数。

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