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米女優バーブラ・ストライサンドが反ユダヤ主義に警鐘:SNSで溢れる反ユダヤ主義の投稿

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

2024年2月、SAG賞 (全米映画俳優組合賞)の授賞式で女優のバーブラ・ストライサンドに生涯功労賞が授与された。その際のスピーチで彼女は反ユダヤ主義が台頭していることを危惧して、アメリカの映画産業を築いてきた東欧出身のユダヤ人らを例に出して反ユダヤ主義をなくすように訴えていた。

イスラエル大使館の公式Xでも動画を掲載して「私たちはあらゆる形の反ユダヤ主義に立ち向かいます」とコメントしている。

▼イスラエル大使館の公式Xより

SNSに溢れる反ユダヤ主義の投稿

以前から欧米や中東では反ユダヤ主義は根強かったが、2023年10月の武装集団ハマスのイスラエル侵攻以降、反ユダヤ主義に関してXやインスタグラム、TikTok、Facebook、YouTubeといったSNSで大量に投稿されるようになった。

日本にはユダヤ人が多くないので、日本語での反ユダヤ主義の投稿を目にすることはあまりない。だが欧米や中東諸国などでは反ユダヤ主義の投稿がデジタル空間には溢れている。そしてSNSでは、あっという間に情報が拡散されるし、エコーチェンバーの影響で、反ユダヤ主義的な投稿をするフォロワーがいて、投稿を見た人には反ユダヤ主義の投稿がタイムラインに流れやすくなっている。

過激で刺激的な偽情報やフェイクニュース、反ユダヤ主義のような特定民族を侮蔑するような内容ほどSNSでは、多くの人が事実確認もしないで、面白がって興味本位と他人に伝えたいという欲求で拡散してしまう。そのような反ユダヤ主義の投稿を自身のSNSのタイムラインで次々と目にすると、いつの間にか「イスラエルが一方的に悪い」といった反ユダヤ主義的な思想になってしまうこともある。

収益に直結でやめられない反ユダヤ主義の投稿

過激で刺激的な偽情報、陰謀論、フェイクニュースは拡散されやすいため、インプレッション数が上がったり、再生回数が増えたりするので発信者の収益につながる。つまり、ネット上で反ユダヤ主義の発言を積極的にしている人の中には、実は反ユダヤ主義的な思想を持っていなかったとしても、反ユダヤ主義やホロコースト否定に関する過激な内容の発信が収入につながるのでやめられないという人もいる。多くのSNSではホロコースト否定や民族憎悪に関する投稿は禁止されており、投稿が発覚すると削除されたり、特定のワードを使用して配信すると収益化の対象から外される。だが、反ユダヤ主義や民族憎悪、ホロコースト否定の投稿や配信は機械的には発覚しにくいような隠語や仲間内でしかわからない言葉で書かれたり、発信されるものが多く、発覚しにくく削除されないものも多い。

利用者が通報してYouTubeで動画が一時的に見られなくなることもあるが、そのような反ユダヤ主義の動画を支持する人からのコメントや支持で動画が復活することもある。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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