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イスラエル軍、ハマス偵察と監視のために米国製「犬型ロボット」導入:戦場での4D業務に最適なロボット

佐藤仁学術研究員・著述家
(Ghost Robotics提供)

「4D業務」(単調:dull、汚い:dirty、危険:dangerous、人間が入れないところ:distance)

2024年3月にイスラエル軍がアメリカの軍事企業Ghost Roboticsから「犬型ロボット」を購入したことを現地や欧米のメディアが報じていた。2023年10月7日に武装集団ハマスがイスラエルに攻撃を行い、現在でもイスラエル人が武装集団ハマスの人質になっている。イスラエル軍では「犬型ロボット」を活用して、武装集団ハマスやガザ地区の偵察や監視を行うと報じられている。1台165,000ドル(約2500万円)と高価である。

「犬型ロボット」はカメラやセンサーを搭載しており遠隔地で人間の兵士が操作できる。小回りも利く。

「犬型ロボット」の背中に火炎放射器を搭載したり砲塔を搭載したりして攻撃ロボットにすることもできる。また地雷の除去などにも活用することも物理的には可能である。

ウクライナ紛争でも既に多くのリモート操作のロボットタイプの無人車両が物資の運搬や監視目的で利用されており、戦場の無人化が進んでいる。戦場で人間(軍人)が行っていた「4D業務」(単調:dull、汚い:dirty、危険:dangerous、人間が入れないところ:distance)の任務の多くは既にロボットが行っている。

このような戦場での「4D業務」は人間の軍人よりもロボットの方が適している。もちろん動物の犬よりも優れている。動物の犬のように餌代もかからないし、怪我もしないし、老齢化して働けなくなることもない。疲れることもないし24時間稼働できるし、壊れたら代わりの軍事ロボットを持って来ればよい。

今回、イスラエル軍が武装集団ハマスの監視や偵察に「犬型ロボット」を活用すると報じられているが、イスラエル軍の人間の兵士が行けない、危険な業務なので「犬型ロボット」の方が適している。遠隔地からコントロールができる「犬型ロボット」も「4D業務」には最適である。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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