高度なドローン操縦スキルで輸送車の前方に回り込んだり、脇道に追い詰めたり、迎撃を回避

2023年11月にウクライナ軍のFPV神風ドローンが走っているロシア軍の輸送車に向かって突っ込んでいく動画を公開していた。FPV（ファースト・パーソン・ビュー）で撮影しており、輸送車の前方席ではロシア兵が迎撃しようとしている様子も撮影されている。そしてドローンで輸送車の前方に回り込んで、前からFPVドローンでロシア軍の輸送車を挑発したり道路の脇まで追い詰めたりするようなシーンも撮影されている珍しい動画である。

FPVはドローンに搭載されたカメラからの風景が操縦者に見える。標的に突っ込んでいき爆発するシーンをFPVで撮影することも多い。2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。ウクライナ軍では監視・偵察目的で調達した民生品ドローンに爆弾や手りゅう弾を搭載してロシア軍の上空から落下させたり、ドローンごと突っ込んでいき爆発させたりしている。FPVドローンに爆弾や手榴弾を搭載して、標的に向かって突っ込んでいき攻撃するタイプがFPV神風ドローンである。

高齢者や負傷兵らもFPVドローン操縦でロシア軍攻撃に貢献

ウクライナ軍では上空からFPV神風ドローンで戦車や大砲、塹壕などに突っ込んでいき爆発させている。そのような攻撃シーンの多くはFPVで撮影して公開している。ウクライナ軍では攻撃にFPV神風ドローンを多用しており多くのウクライナ兵がドローン操縦の訓練を行い、実戦で攻撃を行っている。ドローン操縦の初心者は動かない監視塔や置き去りにされた戦車、塹壕など不動の標的を攻撃している。ウクライナ軍では多くの兵士がドローン操縦の訓練を受けている。ロシア軍に侵攻されるまではドローンを触ったことがなかった人がほとんどだが、訓練すれば誰でもすぐに実戦で活用できるので、すぐに上達する。また最前線の塹壕などから攻撃しないで基地や部屋の中からもドローンを操縦して攻撃を行うことができることから、高齢者や負傷兵で最前線に行けない人でもドローン操縦でロシア軍を攻撃してウクライナ軍に貢献している人は多い。

動いている戦車や逃げようとしているトラックなどはドローン操縦のスキルがそれなりに必要なので、ドローン操縦に慣れている兵士が行っている。今回、公開されたようなロシア軍の普通の速度で道路を走行している輸送車の前方に回って挑発したり、道路の脇まで追い詰めたり、ロシア兵の迎撃を避けてさらに攻撃をするのは、ある程度のスキルを要する。

今回公開された動画ではロシア軍の輸送車がウクライナ軍のFPV神風ドローンの標的になっていた。ウクライナ軍では2022年2月にロシア軍が侵攻してきてから、ほぼ毎日ロシア軍の破壊状況を報告しているが、2023年11月にはロシア軍の輸送車や燃料タンクの破壊数が10,000台を突破した。ロシア軍の輸送車の多くがこのように神風ドローンに突っ込まれたり、ドローンから爆弾を投下されて破壊されている。

▼ウクライナ軍のFPV神風ドローンによるロシア軍の輸送車への攻撃