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ウクライナ軍、ロシア軍の侵略直後から多連装ロケットシステム700機を破壊「Zも終わりだぜ」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

ウクライナ軍によると2022年2月24日から2023年8月2日までにロシア軍の多連装ロケットシステム(Multiple Launch Rocket System:MLRS)700機を破壊した。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ウクライナ軍では2022年2月24日にロシア軍に侵攻されてから殺害したロシア軍の兵士の数、破壊した戦車、戦闘機など兵器の数をほぼ毎日公表している。

ロシア軍が一方的にウクライナに侵攻してきてから1年半以上が経ち、ウクライナ軍はロシア軍の輸送車を7300台以上、戦車4200台以上、歩兵戦闘車8200台以上、大砲4800門以上、ドローン4000機以上を破壊してきた。そのようななかで、多連装ロケットシステムの700機は他の兵器に比べるととても少ない。2023年6月12日に破壊したロシア軍の多連装ロケットシステムは600機を超えていたので、1か月強で100機を破壊しているので、ロシア軍侵攻直後1年半の中では、ここ1か月程度での多連装ロケットシステムの破壊数は多いほうだ。

ウクライナ軍は公式SNSで「Z(ロシア軍)も終わりだぜ(Z's dead, baby. Z's dead.)」とアピールしていた。ロシア軍の多連装ロケットシステムに「Z」のマークが書かれていることが多いことから、このような表現でアピールしているのだろう。

ウクライナ軍はミサイルや砲弾などで攻撃して多連装ロケットシステムを破壊している。ロシア軍が侵攻開始した直後にはウクライナ軍はトルコ製の「バイラクタルTB2」という大型ドローンを使用していたので、「バイラクタルTB2」で多連装ロケットシステムを攻撃して破壊していた。

神風ドローンで突っ込んでいったり、小型民生品ドローンからの爆弾投下も行っている。爆弾を搭載しただけの小型民生品ドローンが突っ込んでいったり、爆弾を投下するだけでも多連装ロケットシステムを完全に壊滅することはできなくとも、一部分だけでも破壊してダメージを与えることはできる。多連装ロケットシステムのような高額で強度な兵器を安価なドローンで破壊するのはウクライナ軍にとってもコストパフォーマンスが高く効果的である。

▼ウクライナ軍の公式SNS「Z(ロシア軍)も終わりだぜ(Z's dead, baby. Z's dead.)」

▼「Z」のマークがついたロシア軍の多連装ロケットシステムを破壊するウクライナ軍の神風ドローン

(ウクライナ軍提供)
(ウクライナ軍提供)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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