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ウクライナ軍、軍事施設建設中のロシア軍の油圧ショベルに小型ドローンから爆弾投下して破壊

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

2023年7月にウクライナ軍が、ロシア軍が防衛用の軍事施設を作るための油圧ショベルに小型ドローンから爆弾を投下して、油圧ショベルを破壊した動画が公開されていた。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻してから、ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

ウクライナ軍では小型の民生品ドローンから手りゅう弾や爆弾を投下して地上のロシア軍の戦車、軍事施設、塹壕などを攻撃して破壊しており、その様子を動画や写真で撮影して公開している。油圧ショベルに爆弾を投下して破壊している動画はあまり見られない。2023年4月には塹壕を掘っている掘削機にドローンから爆弾を投下して破壊する動画を公開していた。

ロシア軍はウクライナに侵攻してからウクライナの草原や土地に勝手に塹壕を掘ったり、防衛用や攻撃用の施設を建設している。そのような軍事施設や塹壕を拠点にロシア軍は、ウクライナ軍と攻防をしたり兵器を保管したり、休憩したり食事をしたりしている。軍事施設や塹壕はロシア兵がシャベルなどで手で掘ったりはしない。ロシアから持ち込んできた油圧ショベルのような掘削機で地面を掘っている。油圧ショベルや掘削機を破壊すれば塹壕を掘ったり軍事施設を作ることもできない。

小型ドローンで手りゅう弾や爆弾を投下するだけで油圧ショベルは簡単に損壊できる。建設機械は全壊しなくとも一部分破壊するだけでも動作できなくなり使い物にならなくなるのでコストパフォーマンスが高い。

爆発して破壊されたロシア軍の油圧ショベルや掘削機はウクライナでは簡単に修理できない。油圧ショベルや掘削機が破壊されれば、ロシア軍は軍事施設を作ったり、塹壕を掘ったりできなくなる。そのため油圧ショベルや掘削機を破壊しておくことは重要である。

▼ロシア軍の油圧ショベルに爆弾を投下して破壊(2023年7月)

▼塹壕を掘っているロシア軍の掘削機に爆弾投下して破壊(2023年4月)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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