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ウクライナ軍、世界中からの寄付で購入したウクライナ製の偵察&攻撃ドローン12機をドネツクの戦場へ

佐藤仁学術研究員・著述家
監視・偵察ドローン「SKIF」攻撃ドローン「STEN-2」(ウクライナ政府提供)

世界中の市民からの寄付で1577機調達:ウクライナ製だけでなく中国製・ポーランド製も

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民用品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。

ウクライナ政府はウクライナ軍が監視・偵察、攻撃で使用するためのドローンを調達するために、政府が運営しているメディアを通じて世界中に寄付を呼びかけている。「drone(ドローン)」と「donation(寄付)」を掛け合わせて「dronation(ドロネーション)」という造語も作っている。

ウクライナ政府は2022年12月31日に調達したドローンが1577機に到達し、既に928機が戦場に投入されたと報告していた。2022年10月から12月の3か月間で1400機のドローンを購入。

そして2023年1月には、世界中からの寄付で購入された12機のドローンをドネツクの戦場の最前線に送った。監視・偵察ドローンの「SKIF」7機と、攻撃ドローンの「STEN-2」5機で両機ともにウクライナ製である。ウクライナの副首相のミハイロ・フェドロフ氏も自身のSNSで「ウクライナ軍の技術力は向上していく、強くなっています」とコメントして感謝を伝えていた。

ウクライナ軍が世界中の市民からの寄付で調達しているのは「PENGUIN C-MIL MK 2 UAS」(監視・偵察)、「PUMA-LE」(監視・偵察)、「UKRJET」(監視・偵察)、「SKYETON」(監視・偵察)、「SKIF」(監視・偵察)、「DJI MAVIC 3 FLY MORE COMBO」(監視・偵察)、「DJI MATRICE RTK 300」(監視・偵察)、「FLYEYE 3.0」(監視・偵察)、「FLIRT CETUS」(監視・偵察)、「WARMATE 3.0」(攻撃)などウクライナ製のドローンだけでなく中国製やポーランド製など民用品ドローンから軍事ドローンまで様々なドローンである。特に中国製のドローンが多い。

民用品ドローンは監視・偵察としての使用だけでなく小型爆弾や手りゅう弾を搭載して標的のロシア軍に投下したり、突っ込んでいき爆破したり、攻撃ドローンにもなる。民用品ドローンと攻撃ドローンの境目がなくなったことはウクライナ戦争における戦術の特徴の1つである。

ウクライナ軍だけでなく、ロシア軍もドローンを監視・偵察、攻撃で多く使用している。「上空からの目」として戦場では欠かせない兵器の1つになっている。上空から敵の様子を探り、敵を発見したら、その場所をめがけてミサイル攻撃を行ったり、ドローンから爆弾を投下したり、神風ドローンが標的に突っ込んでいき爆発している。これほど多くのドローンが戦場で活用されているのは人類の戦争の歴史上でも初めてである。

ロシア軍はロシア製の監視・偵察ドローンや攻撃ドローンだけでなく、ウクライナ軍と同じように民生品ドローン、さらにイラン政府が提供している攻撃ドローン「シャハド136」などを大量に導入してウクライナ領内で監視、攻撃を行っている。戦場においてはドローンは検知したら、すぐに機能停止させられたり、破壊されたりしている。そのためドローンは何機あっても足りない。ウクライナ政府はさらに多くのドローンがこれからも必要になることから世界中に寄付を呼びかけている。

▼12機のドローンをドネツクの戦場の最前線に送ることを報告

▼ウクライナ副首相のSNS「ウクライナ軍の技術力は向上していく、強くなっています」

▼2022年12月には1577機のドローンを調達していたことを報告

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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