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ウクライナ軍ドローン部隊が開発した「R18」からの爆弾投下でロシア軍の軍事設備など数百億円相当を破壊

佐藤仁学術研究員・著述家
エアロロズヴィドカが開発した「R18」(エアロロズヴィドカ提供)

「ウクライナ戦争は隣にいる敵との戦いではなくて、数キロメートル先にいる敵との距離のある戦い」

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

最近ではロシア軍が使用しているイラン製の攻撃ドローンによる首都キーウやオデーサ近郊の民間施設や電力施設への攻撃が目立っている。

ウクライナ軍もドローンでロシア軍に攻撃を行っており、ドローン部隊「エアロロズヴィドカ(Aerorozvidka)」が開発しているウクライナ製の攻撃ドローン「R18」による爆弾投下はロシア軍攻撃に貢献している。

ウクライナのメディアUATVがドローン部隊「エアロロズヴィドカ」が開発した「R18」の貢献を報道していた。「R18」は10キロメートルの飛行が可能で、5キログラムまでの爆弾が搭載できる。上空100~300メートルを約40分間飛行できる。静かに飛ぶことが可能で、探知されにくいので目視で見つけないと迎撃されにくい。そして報道によると、ロシア軍が侵攻してから「R18」で爆弾投下をしてきて、数億ドル(数百億円)相当のロシア軍の軍事施設や戦車などを破壊してきた。

ウクライナ兵は「ドローンは私たちの命を救ってくれます。ウクライナでの戦争は隣にいる敵との戦いではなくて、数キロメートル先にいる敵との距離のある戦いです。またドローンで攻撃をしたら、すぐに敵の反応や影響を確認することができます」と語っていた。

▼ウクライナのメディアUATVが伝える「R18」

多くの戦車、装甲戦闘車をドローンで破壊

ウクライナ軍では2022年2月24日にロシア軍に侵攻されてから殺害したロシア軍の兵士の数、破壊した戦車、戦闘機など兵器の数をほぼ毎日公表している。2022年12月25日までに破壊された装甲戦闘車両が約6010台、戦車が約3011台、大砲が約1991門である。これらの戦車や大砲の多くも上空からウクライナ軍が「R18」や小型民生品ドローンなど様々なドローンで爆弾を投下したり、ドローンごと突っ込んでいき破壊したりしている。

「R18が皆さんの安眠を守ります」

さらに「R18」は夜間の攻撃に適している。サーマルカメラが搭載されており夜間にロシア軍の歩兵戦闘車などを攻撃するのに最適である。もちろん昼間にも「R18」でロシア軍に攻撃を行っている。「R18」を利用して夜間に茂みの戦車や輸送車などを破壊している。

民生品ドローンは監視・偵察のために利用されていることがほとんどだが、ウクライナ軍では以前から民生品ドローンに爆弾を搭載してロシア軍に投下させたり、ドローンごと突っ込んでいき爆破している。民生品ドローンが使用されるのはほとんどが昼間で、夜間は「R18」が活躍している。もちろん「R18」で昼間も攻撃をしている。

「エアロロズヴィドカ」はクリスマスイブの2022年12月24日には「おやすみなさい!R18が皆さんの安眠を守ります」と公式SNSに投稿していた。また「夜の戦いは簡単ではありません。でもその分、昼間には良くなります。ウクライナの皆さん、気を付けてください!私たちは必ず勝ちます」とも投稿して、夜の「R18」での攻撃でウクライナを防衛する抱負も語っていた。

▼「おやすみなさい!R18が皆さんの安眠を守ります」

▼「夜の戦いは簡単ではありません。でもその分、昼間には良くなります。ウクライナの皆さん、気を付けてください!私たちは必ず勝ちます」

▼ウクライナ軍が発表しているロシア軍の兵器やロシア兵の破壊(12月25日まで)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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